働きながら親の介護はできる?「ビジネスケアラー」は4割…不安に寄り添う相談相手とは
「終活」という言葉がめずらしいものではなくなった、人生100年時代の今。
大切な人だからこそ、「最期」や「いなくなったあと」を想像することはどうしても後回しにしてしまいがち…。
だけど、大切な人だからこそ、大切に考えたい、大切なことが「終活」には詰まっています。
連載「親の「終活」を考える」では、Sitakke編集部も自分事で「親世代の終活」に向き合います。
介護をする人の4割が「ビジネスケアラー」
全国で家族を介護している人は、推計でおよそ795万人。
このうち仕事をしながら介護をしている人を「ビジネスケアラー」といいます。
介護をしている人のおよそ4割にあたる、307万人にのぼるとみられ、10年前と比べ、70万人ほど増えました。
こうした中、課題となっているのが「介護離職」です。
母親を介護しながら働いていた女性は、一時は退職も考えましたが、出勤時間を減らし、きょうだいが協力することで、介護と仕事を両立できました。
しかし、介護を理由に仕事を辞めてしまう人は、全国で毎年およそ10万人いるとみられていて、ビジネスケアラーへの支援は全国的な課題です。
ワークサポートケアマネージャーとは
札幌市でケアマネジャーとして働く秋場隆章さんです。
この日は、相談を受けた人の様子を見に施設を訪れました。
今の生活に不安や足りない点などがないかを汲み取ることを心掛けています。
実は秋場さん、ケアマネジャーとして、もう一つの顔があります。
それが「ワークサポートケアマネジャー」。
ワークサポートケアマネジャーとは、実務経験が5年以上ある人が取得できる民間の資格。
企業のなかで、社員の介護に関する相談を受けるのはもちろん、社内の環境や体制づくりにもアドバイスするなど、介護を理由に離職しないよう、橋渡しをする役目を担っています。
札幌市にある建設コンサルタント会社では、秋場さんと契約して、仕事と介護の両立に関するセミナーを開いたり、介護に悩む社員の相談に応じたりしています。
建設コンサルタント会社の総務部・帰山励起事務長は「ワークサポートケアマネジャーを活用すれば介護離職も防げるし、仕事を続けながら介護することを具体的にできると思った」と話します。
実は帰山さん自身が、介護と仕事の両立を迫られた経験をもっています。
認知症の母親を介護していた父親が、去年4月に急逝。
突如、母親の介護をしなければならないことになったのです。
「同じ部署の人に、非常に迷惑をかけながら私は何もできないけれども、今度は母親と2人で介護の生活を半年間ぐらい続けた」
介護休業も取得して在宅介護をしながら、母親が施設に入る準備などを進め、半年後、ようやく仕事に復帰しました。
「私の場合は、半年だったけれども半年で済まない場合は、そのままなし崩し的に離職につながるのではないかなと」
ワークサポートケアマネジャーの秋場隆章さんは「仕事も大事、家族もみんな大事だと思うので、その人らしく暮らしていけるような手助けができるような資格だと思っている。皆さんぜひ相談していただきたい」と話します。
国は、育児・介護休業法を改正し、4月からは介護離職を防ぐため企業側に「仕事と介護を両立」できる環境を整備することを義務付けます。
しかし、まだスタート地点。介護をする人も企業も、介護職の人たちもいろいろな人が協力し支え合っていく仕組みづくりが必要になってきます。
連載「親の「終活」を考える」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年1月21日)の情報に基づきます。