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速く広がるフェイクニュース、届かない訂正情報。AI時代が抱える問題

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、8月1日の放送にITジャーナリストの三上洋が出演。本物ではない画像、動画を簡単に生成できるようになり、危険性も高まってきたAI(人工知能)について解説した。三上は新刊『深掘り! IT時事ニュース──読み方・基本が面白いほどよくわかる本』が発売中でもある。

長野智子「きょうのテーマは『ディープAI』ということです。どういうものですか?」

三上洋「もともとディープラーニング(深層学習)というんです。要するにAIが自動プログラムで一生懸命、学習していって、自分で学ぶ。人間が教えなくてもいいよ、というところが発端になっています。ただディープラーニングという手法はAIだと少し前の技術で。これが圧倒的に速くなったのがここ2年です。いわゆる生成AIの出現から」

長野「はい」

三上「おおむね2022年の夏からガラッと変わったんですね。チャットGPTの登場以降、各社が天文学的な投資をして、AIに使うチップを大量に買い込んでデータセンターをつくります。そこでメチャクチャ速い学習、速い生成をすることで出力がワッと上がった。この2年は劇的に伸びているかたちで」

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「ああ……」

三上「結果として誰でも生成AIで長野智子さんそっくりの画像を作ること、鈴木さんそっくりのニュース読みをできるようになる、という時代が来てしまった」

長野「いやあ……」

三上「2022年の夏に、画像生成AIがまず出てきました。キーワードを入れるだけで画像ができる、ということが衝撃だったんですね。そこで使われている、あるひとつの技術というのが急激に伸びていて。これの困ったところが、大きいほど有利、大きいほど頭がよくなる、という仕組みなんです。金を持っていてAI用の半導体、1個200、300万するものを数千、数万、買えるところが勝つ、という非常に良くない仕組みになっているんですね」

長野「そうなんだ……。イーロン・マスクが、カマラ・ハリスの声を似せたニセ動画をリポストした、という問題がありました。フェイクによる例はほかにもあるんですか?」

三上「たくさんあります。パレスチナ出身のお父さんを持つ有名なモデルさんの方の動画がXで流れる。『イスラエルを支持します』というスピーチが3000万回視聴される、これがまったくのフェイクでした。ウクライナの戦争のときゼレンスキー大統領のニセの声明文みたいなものも山と出てきた。本当に『ニセモノのほうが多いんじゃないか』という感じになってきています」

長野「恐ろしいですね。(番組)冒頭で私が言ったイギリスのサウスポートの暴動も、ディープフェイクとは違うかもしれないけどニセ情報、フェイクニュースですよね」

三上「アメリカの大学の研究でも、フェイクニュースのほうが、ちゃんとしたニュースよりも拡散スピードが速い、ということが明らかになっています。私たちの実感でもそうですよね。岸田首相のフェイク動画、テレビ局のアナウンサーのニセ動画も広がる。ファクトチェックして訂正して、第三者団体が『これ違うよ』と言うことはできます。でも圧倒的に遅くなってしまうんです」

長野「そうですよ……」

三上「テレビやラジオでこれは違う、ウソです、と伝えます。でもそれが届かない層は、たとえば動画だけ見て、信じてしまう。訂正する情報が届かない、という問題があります」

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