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実釣に見る! サクラマスジギングのキモとなるポイント5選!

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実釣に見る! サクラマスジギングのキモとなるポイント5選!

好ポイントには船団が形成される下北半島尻屋崎沖

北海道・東北の春のゲームフィッシングとして、全国的に認知された「サクラマスジギング」が今年も大いに盛り上がっています。2024年シーズンは全国的な暖冬の影響もあってか、1月後半には釣果が上がり、早めのスタートとなりました。例年になく開幕から多くのアングラーで賑わい、遊漁船の船団が形成されるなど盛り上がっています。

サクラマスジギングでは実にさまざまな要素が釣果に結び付くと考えられます。ジグカラーやレンジの捉え方、ジャークパターンなど、サクラマスをキャッチするためのキモは決して1つに絞り込むことはできません。しかし実釣パターンをより多く体験したり、知識として見聞を広げておくことで、好釣果に結び付く糸口が見つかるはずです。
今回はそんな実釣で私が感じた、サクラマスをキャッチするためのキモとなるポイントを解説したいと思います。

実釣でキモとなるポイントは5つ!

(1)スロー系

渋い状況から絞り出した1本のサクラマス

サクラマスジギングが下北半島で始まったその昔は、まだ釣り方が確立されていませんでした。当時は青物ねらいのタックルと釣り方が主流でしたが、そのあとスロー系ジギングがアングラーに浸透していくにつれ、サクラマスもスロー系ジギングでの釣りが主流となりました。しかしご承知の通り、「スロー系ジギング」といってもアングラーの捉え方はさまざまです。

サクラマスジギングにおけるスロー系ジギングは、ゆったりとしたジャークテンポでサクラマスのヒットレンジに長くジグを置きながら、自由自在なジグへの入力で状況に合った釣りを展開できる釣法です。決して、ジグを緩慢にゆっくりと動かすのがスロー系ジギングではありません。
ジグへの入力をシャープに強くすることで、サクラマスの興味をかき立てて口を使わせることができるのが強みです。ジャークの強弱、リールを巻くタイミングでもジグの動きは大きく変化していきます。サクラマスジギングで釣果を得たいなら、スロー系での釣りを中心に据えた戦略がマストパターンとなります。

(2)レンジコントロール

ロングジグでキャッチしたサクラマス

ジギングにおいて、ミドルレンジを釣るのはやはり少しテクニカルな面があります。
カウンター付きリールが市販されたことでレンジコントロールは容易になりましたが、ボトムから30mというように「一方のタナが固定されている場合」と、水深100mのポイントで40~60m(ミドルレンジ)の範囲を繰り返し釣るような「上下のタナをアングラーがコントロールしなければならない状況」では、かなり難易度が違ってきます。

本来、サクラマスはボトムから海面まで、ベイト次第で幅広い水深に適応して生活しています。水圧の変化に強く、海の中を自由自在に泳ぎ回ってベイトを追いかけているのです。こうした泳ぐ水深が変化するサクラマスをキャッチするには、その泳ぐタナをジグで探るのが必然となります。
ジグで探るレンジ幅は遊漁船の船長がアナウンスしてくれますので、その水深に繰り返しジグを通して釣りますが、水深の幅は常に一定ではありません。実際に釣りを経験した感覚をもとにレンジ幅を変えてみるのも、ときとして効果があります。

(3)ローギヤリール

普段通りの釣りをしながらも、レンジを刻むことが可能になるのがローギヤリールのメリットです

サクラマスジギングでは一定のレンジ幅を繰り返しジグで探りながら、魚とのコンタクトを模索します。魚との遭遇確率を上げるには、ジグがヒットレンジにとどまりながらアクションすることが大前提です。
限られたレンジ幅の中でより多くアピールをするには、上げ方向への移動距離を少なくしながらジャークを繰り返すことが、バイトチャンスを増やすことにつながります。

こうした状況では、巻きスピードの遅いローギヤタイプのリールを使って釣りを組み立てるのも一考です。ハイギヤのリールを使って巻きを細かく刻むことで対応も可能ですが、リールの巻き取りパワーを活かしたジャークがしにくくなる…といったデメリットが出てしまいます。

(4)アシストフックセッティング

サクラマスジギングではバイト数が多くても、「フッキングに至らない」「フッキングしてもすぐにバレてしまう」といったことが多いものです。魚の活性やそのときのメインベイトによっても、魚のジグに対する反応はさまざまに変化するので、こうした「バラシ」や「掛け損ない」が出るのだと思われます。

アシストラインの長さを状況に合わせることで、バラシを軽減できることもあります

魚の活性が高くジグに強くアタってくるときはバラシや掛け損ないは少ないものの、即バレなどが多いような場合は、アシストラインの長さや材質、フック形状を変えることで、フッキング率の向上を図ることができます。ただし、アシストラインを長くすることでフックトラブルが多くなることも考慮しなければなりません。また、掛かりを優先して釣り方を調整することも必要になることがあります。ハリ先の鋭さを常に確認しておくのは基本です。

(5)ジグカラー

サクラマスはジグをよく観察しています。バイトに至らなくても、ジグの動きをよく見て追尾していることも多いものです。とくに魚の活性が上がりきらずにバイトがない時間帯でさえも、サクラマスはジグと一緒に泳ぎながらジグの動きに変化があればいつでも襲いかかる体勢でいます。こんな場面では、ちょっとしたことがバイトのトリガーとなるのです。
ジグカラーを変えるとすぐにバイトが出たり、ジグそのものを替えた直後にバイトがあったり…といった経験を何度もしています。

ホロベースをメインにグローカラーなど、サクラマスに有効なカラーは多岐にわたります

釣果を伸ばすためのポイントはこのほかにもたくさんあると思います。また、1つのポイントよりも複数のポイントが組み合わさると、より釣れる確率は高まり強いパターンとなるはずです。

実釣に見るそれぞれのポイント

次に、今年の私の釣行から、その日の釣りのキモになったポイントを解説したいと思います。あくまで実釣後の私の主観による釣行分析です。ほかにも私が気付いていないポイントがあるかもしれませんが、ぜひご参考に。

3月上旬・大間港「第三十二金比羅丸」にて

この日のエリアは函館沖でした。大間港から1時間の行程

この日は私の2024シーズンの初戦でした。お世話になった釣り船は、大間港の「第三十二金比羅丸」伊藤船長です。
結論から言うと、キモは「スロー系ジャーク」「ジグカラー」でした。しかし、スロー系ジャークといっても、この日は初速の強いジグへの入力がカギ。船中8人ほどのアングラーが同じように釣りをするなかで、自分のジグにどうやって魚の興味を向けさせるかを考慮したとき、第1にジグのアクションがありました。

より魚にアピールできればバイト数が多くなり、ヒットチャンスは格段に上がります。この日は、前述したように強い初速をジグに入力するとバイトが多くなった印象です。ロッドの振りだけでなくリールの巻きをジャークにシンクロさせ、コンパクトに強く振る。ジグを素早く動かして釣るのがよかったように思います。

中盤以降、船中のバイト数が減少するなかでミヨシのアングラーが連発でヒットさせる場面がありました。私もそのアングラーが使用するジグのカラーに合わせてみると、やはりバイト数が増えました。快晴でピーカン、ベタ凪のまったりした状況でしたが、カラーチェンジで魚の反応が大きく変わったのはよい経験になった気がします。
結果、船中のトップ賞は20数本で、同様に私もよく釣れて20本超えとなりました。

「ジャックアイ エアジャーク スケイル(ハヤブサ)」の150gでキャッチ3月中旬・野牛港「第二十大盛丸」にて

今季の下北サクラマスジギングの第2戦となった3月中旬。遊漁船は野牛港の「第二十大盛丸」圓子船長にお世話になりました。この日のキモは「レンジコントロール」でした。
朝から魚の活性は高くよく釣れた日でしたが、私はなかなかリズムに乗れずに少し出遅れ、朝のいい時間帯に2本キャッチしたのみ…。それでも、そのあとのバイトが減る時間帯に上手く対応できてコツコツと数を伸ばすことができました。そして、魚の活性が下がった時間帯にはレンジを下げて対応。上手く魚を誘いあげてバイトにつなげることができました。

船長からのタナ指示はもちろん大切ですが絶対ではありません。実釣ではヒットした深さを考慮して探るレンジを深め、あるいは浅目にシフトして魚の反応を見ることもあります。
この日の魚の活性が下がった場面では、船長の指示したレンジよりも深めを探って釣ると良好な魚の反応が返ってきました。釣れない時間帯に上手く対応できたことで数を伸ばし竿頭をいただきましたが、バイト数のわりにキャッチ数は伸びず課題が残りました。

第二十大盛丸の竿頭ステッカーいただきました3月中旬・野牛港「第三十六朝日丸」にて

東通村野牛港の朝日丸は第十五朝日丸、第三十六朝日丸の2隻体制で遊漁船を営んでいます

先の釣行から2日後、下北サクラマスジギングの3戦目となる日。「第2回下北サクラマスミーティング ジギング大会」に参加しました。お世話になった遊漁船は野牛港の「第三十六朝日丸」学船長で、当日のキモは「アシストフックセッティング」「ローギヤリール」でした。
この日は、先日の状況から釣りを修正して挑んでみました。先日はバイトを出せてもバラシが多く、思うように数を伸ばすことができませんでしたので、アシストフックの長さを調整して釣ってみたといった具合。その結果、先日の釣行よりもさらにバイト数が少なくなったタフなコンディションでしたが、数少ないバイトをしっかりとキャッチすることができました。

第三十六朝日丸の竿頭ステッカーゲットです

サクラマスとのコンタクトを増やすために取った対策はもう1つ、ローギヤリールを使用してレンジを刻んで釣ることでした。魚がいるであろうレンジにジグを長く留めて誘うことで、上手くバイトを得ることができたと思います。

「第2回下北サクラマスミーティング ジギング大会」は50名ほどのアングラーの参加があり、3本のサクラマスのトータルウェイトで競い合う大会でしたが、ポイントを押さえられたことで幸運にも4位に入賞することができました。さらに、その日乗船した第三十六朝日丸での竿頭もいただけました。

とはいえ状況は毎回変化する!


サクラマスジギングで陥りやすいミスとは?

スピニングタックルもサクラマスジギングには有効です

3月からスタートした私の下北サクラマスジギング。1戦~3戦目までは順調な滑り出しでした。しかも3回の釣行のうち2回は竿頭を獲得できましたので、上手くその日のコンディションに釣りを合わせることができていたと感じています。
しかし、サクラマスジギングの難しさは毎回毎回、状況が変わるということです。昨日釣れたから今日も釣れるとは限りません。

実は私の3戦目の釣行後、翌週もサクラマスジギングに出掛けたのですが、その日は何をやっても全くダメな1日でした。船中釣果は悪くなかったものの、「釣れる人は釣れる。でも、釣れない人はとことん釣れない…」といった状況。私は釣りの正解を見つけられずに迷走しました。
後から振り返ると、その原因は過去の成功体験から抜け出せなかったことだと考えられます。アングラーは(=私は)釣れた日の印象を強烈に記憶しますが、釣れなかった日のことは記憶から消し去ろうとします。この、頭に焼き付いた成功体験のお陰で、その日の状況に合わせて柔軟に対応することよりも過去の成功体験で得た釣り方を優先しようとしてしまいます。その結果は必ずしも上手くいかないことが多いものです。とくに爆釣などしようものなら、そのときの釣りを繰り返してしまいがちです。
その日の状況に釣りを合わせることは、最も考慮しなければならない事柄だと思われます。

ちょっとしたことがバイトに結びつくことも多いサクラマスジギング。自分なりの解釈で答えを探ることが次回の釣りにつながります

一つ一つのサクラマスジギングのキモとなるポイントを押さえることも大切ですが、必ずしも正解が1つとは限りません。1つのことにこだわるあまり、より大切なポイントを見落としてしまう危険性もあります。いつも広い視野を持って釣れた要因を考えておくことで、次回の釣りに活かせることも多いものです。ときには机上の釣り(普段から考えておく釣りの理論や攻略)も有効だと思いますよ。

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レポーター

プロフィール:堀籠 賢志
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ

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