ワーチャレ決勝でバルサに敗戦もバーモントカップに続いて"日本1位"に輝いた、マルバFCの対応力
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ決勝でFCバルセロナに敗れたものの、準優勝に輝いたマルバFC。8月に行われたバーモントカップ優勝に続く、快挙となりました。
ワーチャレ決勝という大舞台でバルセロナと戦い抜いた選手たちは、この経験を通じて大きな成長を遂げたと言います。試合後、浅野智久監督と選手に話をうかがいました。
(取材・文:鈴木智之/写真:新井賢一)
指導者インタビュー
■世界の壁を痛感した決勝戦
――バルセロナとの決勝戦は1対4の敗戦でした。感想を聞かせてください。
浅野 いやー、疲れましたね。バルサはやっぱり強かった。(8月15日~17日にかけて行われた)バーモントカップから8日目ということで、正直きつかったです。だんだん足が止まってきて、どうしようかなと思いました。相手にやられてしまうリスクがあるので、最終ラインを下げて戦うことも考えました。
一方で点を取りに行きたい気持ちもあるので、中途半端に行って、裏のスペースや選手の間を取られるのが一番心配でした。結果的に、開始直後に1点取られてしまって行くしかなくなり、前に行く選手と行かない選手がいるというセパレート現象が起きてしまいました。
――バルセロナの戦術的な特徴は感じましたか?
浅野 一人の選手を捕まえに行くと、その選手が動くのでスペースが空くんですよね。そうやって真ん中のスペースを空けられてしまいました。正直、戦術だけなら対応できるのですが、サイドの小さい選手がとにかく速いんですよ。そこが難しかったですね。
一度マークがズレると行かなきゃいけなくなって、フリーな選手にパスが出てくる。そこに戻ると今度は違うスペースから攻められてしまう。久保(建英)くんは、早い時期からそういったことを学んでいるので、どこを使って優位にプレーするのかを見つけられているんだなと、改めて思いました。
――後半はチャンスを作る場面もあり、1点返しました
浅野 後半はある程度、相手をハメにいって数的同数を作ったり、逆サイドを締めながらやってみました。そしたら結構ハマって、相手も4-0だったので少しペースを落としたところもあるかもしれませんが、シュート数では押していましたし、実際後半は1-0で勝ったんです。この感じに早めに気づいていれば、もしかしたら戦える可能性もあったのですが、相手の方が上でしたね。
■試合中の対応力と成長
――試合の中で、選手たちが対応していく様子はいかがでしたか?
浅野 子どもたちの順応性の高さを感じました。僕らが選んでいるのは個性的で感度のいい子たちで、「こんな感じかな」とか「ここは面倒だな」っていうのを気づける選手たちなんです。最初の戦い方のままだったら、もっと大差がついてもおかしくなかったと思います。
この点差で収まったのは対応力があったからです。今まで積み上げてきた、彼らの感度を上げる指導は間違いなく正解だったと思いますし、この経験は今後のサッカー人生に大きくプラスになるでしょう。
結果は準優勝でしたが、日本のチームに勝って、バルサとの決勝まで来ました。つまり日本チームの中では1位です。バーモントカップと合わせて5人制と11人制、両方で日本一が取れました! と言いたいです。
――大会を通じて、選手たちの成長はいかがでしたか?
浅野 子どもたちって、すごく変わるんですよね。一人ひとりの感じる力、考える力を積み上げることができました。バーモントカップで主力だった選手の中には、ワーチャレに所属クラブで出場する子もいたので、普段出られない子たちが結構出場できたんです。
15、16人ぐらいが試合に出て、5年生もかなり出ました。全員を試合に出すようにしているので、その意味では全員が成長できたと思います。一人ひとりの課題も見えましたし、本当にハッピーでした。
選手インタビュー
■対戦して気づいたバルサのすごいところ
準決勝、決勝戦で印象的なプレーを見せた、大清水皇輝選手(28番)と大内波論選手(9番)に話を聞きました。
大清水皇輝選手
――決勝戦の感想をお願いします。
大清水 相手と1対1になる場面が少なくて、かわした後にもバルサの選手がどんどん出てきたので、厳しかったです。
――バルサの印象は?
大清水 ポゼッションが上手くて、キーパーやセンターバックがボールを持っている時に、アンカーの選手が降りてきて、そこでターンしてくるので、その時点でこちらのプレスがかわされてしまいました。それが結構きつくて、ボランチがついて来れずに、前にボールを運ばれて、そこからどんどんずれて、逆サイドに展開されて得点を決められてしまいました。
――相手のメンタル面はどう感じましたか?
大清水 海外のチームなので、球際の部分やファールで止めるところが強くて、バルサってすごいと思いました。
――今大会5得点。自分の出来としてはどうでしたか?
大清水 出来としては良かったと思います。準決勝で逆転ゴールを決めたときはすごく嬉しくて、そのまま守備を頑張って勝てたので良かったです。
――この大会の経験を今後どう活かしたいですか?
大清水 僕は(早生まれで)中1ですが、中2のカテゴリーでプレーしているので、上のカテゴリーでも自分のプレーでチームを勝たせるようになりたいです。
大内波論選手
――決勝戦の感想をお願いします。
大内 バルセロナは思ったよりサイドチェンジをしてきて強かったです。
――マルチなポジションでプレーしていたのが印象的でした。
大内 決勝戦では最初はセンターバックで、途中から真ん中やサイドなど、いろんなところでプレーしていました。得意なポジションは中盤です。
――バルサの印象は?
大内 ファーストタッチやボールの置き場所が上手で、周りがすごく見えていて、プレスに行きづらかったです。これほど広い所を見て、使ってくる相手と試合をしたことはありませんでした。
――大会を通じて活躍しましたが、自分のプレーを振り返ってどうですか?
大内 ドリブルやボールを運ぶところ、ミドルシュートは発揮できたと思います。
――この経験を次にどう活かしたいですか?
大内 この経験を活かして、海外のチームと試合をするときに守備の行き方などを考えてやりたいです。
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