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ふるさと納税のポイントが廃止される!?いつから?その理由は?

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総務省は6月25日、ふるさと納税について「仲介サイトによる競争が激しくなっている」として、2025年10月からポイントを付与するサイトを通じた寄附の募集を禁止する方針を明らかにしました。

楽天グループが運営する「楽天ふるさと納税」では、寄附額の最大31%がポイントとして還元されるなど、多くの仲介サイトでは寄附額に対して一定のポイントを還元しています。それが来年の10月からゼロになるというのです。なぜこのタイミングでこうしたルール変更が行われるのでしょうか。ふるさと納税のルール変更について、その変遷から理由を考えていきましょう。

2025年10月からポイント付与禁止

【画像出典元】「Cagkan Sayin/Shutterstock.com」

自分が住んでいる自治体以外に寄附ができる「ふるさと納税」。寄附をした人は住民税や所得税の控除を受けられるだけではなく、その地域の特産物などの返礼品も貰えるため、制度を利用している方も多いのではないでしょうか。

2008年に開始されたふるさと納税は、幾度かのルール変更を経て現在のルールに落ち着いていますが、来年からまた大きくルールが変更される見通しになりました。それは、「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること」(総務省ホームページより抜粋)。ふるさと納税の手続きがワンストップで行える仲介サイト、いわゆる「ふるさと納税サイト」は数多くありますが、その中の多くが寄附者に対してポイント還元を行っています。

例えば、「楽天ふるさと納税」では寄附額の最大31%をポイントとして還元。その他のサイトでも、「ふるさとプレミアム」では最大32%、「セゾンのふるさと納税」では最大15%のポイントを還元しています。つまり、こうした仲介サイトを通じてふるさと納税を行えば、よりお得に寄附ができるというわけです。しかしこのルールに今回、国から待ったがかかりました。

規制緩和から規制強化へ

【画像出典元】「KittyVector/Shutterstock.com」

なぜ、国民にとってメリットの大きいポイント付与が禁止されることになったのかは、ふるさと納税のルール変更の変遷を見ていくと理解がしやすいでしょう。2022年時点で、ふるさと納税の受入額は9654.1億円、受入件数は5184.3万件に上りますが、2008年の制度開始直後に利用する人はごくわずかでした。2008年は81.4億円、2009年は77.0億円、2010年は102億円、と受入額は伸びず、「ふるさと納税で地方創生」を掲げる政府としてはより多くの国民から制度を利用してもらいたい、と規制緩和策を取ることにしました。

2011年には自己負担額の下限を5000円から2000円に引き下げ。2015年には控除を受けられる寄附金の年間上限額が約2倍に引き上げられました。さらに、一定の要件を満たせば寄附した人の確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が導入されました。その甲斐もあって、2015年のふるさと納税の受入額は1652.9億円と前年から4倍以上に増えました。

しかし、規制緩和により自治体間で競争が過熱し、過度に高価な返礼品やAmazonギフトカードなどの金券を返礼品とする自治体が現れるようになりました。これにストップをかけるために近年は規制強化策が取られています。2018年には金券を規制するために「返礼品を地場産品とする」要請が総務省から出されました。2019年には、総務大臣による指定を受けていない地方団体に対する寄附はふるさと納税の対象外となる「ふるさと納税指定制度」を導入。これにより、過度に高価な返礼品をする自治体にはふるさと納税ができない仕組みになりました。

また昨年10月から返礼品に関して、さらに厳格な以下のルールが適用されています。

1. 募集適正基準:ふるさと納税の経費は、寄附額の5割以下とする
2. 地場産品基準:熟成肉と精米は、原材料が都道府県内産である場合に限り返礼品と認める

なぜ、ポイントが禁止されるのか?

【画像出典元】「stock.adobe.com/Nuthawut」

こうした流れを受けて、仲介サイトのポイント付与が禁止となりました。規制強化策の一環となりますが、なぜ今回仲介サイトのポイントに目がつけられたのでしょうか。この理由について、松本剛明総務大臣は記者会見の中で次のように述べています。

「寄附額の中からポイントのお金も、流れから見たら出ていると言ってもいい部分もあるのではないか」

つまり、総務省は仲介サイトが付与するポイント分のお金を自治体が負担しているのではないかとみているわけです。筆者は個人的には、将来的には仲介サイトをふるさと納税という仕組みから排除する方針なのではないかと見ています。仲介サイトを排除し、仲介サイト側に支払う手数料やポイント負担分を無くすことで、各自治体が自由に使えるお金をより増やそうと考えているのではないでしょうか。

しかし、仲介サイトを運営する多くの企業は「ポイント原資は自社負担」と発表しています。「楽天ふるさと納税」を運営する楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、自身のSNS(X)に次のように投稿し、今回のルール変更に強く反発しています。

「ふるさと納税にポイント付与を禁止! プラットホームが負担しているポイントも禁止とか、意味が不明だ。小さな自治体が自助努力で財源を確保しようとして、一般の方が楽しみにしている、創意工夫、地方に恩返しという思いをぶっ潰そうとしている。断固反対する。傲慢すぎる。」

ポイントという魅力が無くなれば、必然的に仲介サイトを利用する人は減っていくでしょう。仲介サイトを通じての寄附額が減ってしまった場合、各自治体が寄附額を伸ばしていくためには独自のマーケティング戦略が必要になってきます。大都市ならば専属の部署や人を用意することはできるでしょうが、地方の小さな都市では難しいでしょう。マーケティングの専門知識がある人が自治体内にいない場合、外部に発注することになるのでしょうが、それはそれで余計な負担が生じます。

ふるさと納税という制度は、専門的な知識を持つ各仲介サイトが自治体に代わって効率的なマーケティング活動(TVCMなど含む)を行ってきたため、利用者が順調に伸びてきたという側面があると筆者は考えます。そうした仲介サイトの功績を一切無視し、まるで邪魔者のように扱う今回のルール改正には首をかしげたくならざるを得ません。

楽天グループはふるさと納税へのポイント付与禁止に反対するネット署名を募っており、8月1日時点で署名総数は185万件を超えたといいます。来年の10月までに一旦出した方針が変更されるのか、そのまま実施されるのか注目したいところです。

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