広報誌の再印刷で300万円 督促状を誤送付 相次ぐ人的ミスに静岡市の解決策は?
■広報誌の印刷に毎月300万円 誤情報判明で26万5000部を再印刷
静岡市の人的ミスが相次いでいる。今月20日に納税の督促状を誤って送付していたことを明らかにし、その5日後には広報誌に誤った情報が掲載されていたため再印刷したと発表。今年度は他にも介護保険サービス利用者への課題給付など、毎月数件のペースでミスが公表されている。
静岡市は20日、7月1日までに市民税や県民税を納付していない市民に督促状を送った。しかし、約1万2000件のうち、577件はすでに納付した人に誤って送付していた。ミスが起きた原因について、市は以下のように説明してる。
「委託業者が誤ったシステム改修を行ったことで、納付書のバーコード情報が誤っており、納付されたことが正しく確認できなかった。その結果、バーコード情報に基づいて納付を行った市民(コンビニで納付した市民)について、納期内に納付したにもかかわらず未納扱いとなって督促状を誤送付してしまった」
この5日後には広報誌の再印刷と配送遅延を発表した。記事担当課の確認不足により、広報誌8月号に誤った情報が掲載されていたことが19日に判明し、23日に約26万5000部を印刷し直したという。広報誌は当初、22日から自治会などへ順次発送し、自治会長から各世帯へ配布する予定だったが、スケジュールに遅れが生じた。
市は「記事を最終確認した担当者の確認不足です。また、広報課も確認作業を徹底させることができませんでした」と説明した。広報誌の印刷は毎月300万円ほどかかっているため、再印刷にも同額の費用が必要になるとみられる。
■「しつこくやっていく」 チェック体制の強化が最善策?
静岡市では今年度、介護保険サービス利用者への過大な給付や遠距離通学補助者にかかる保護者への誤った通知、さらには水道事業収入の一部を不課税取引として処理するなど、不適切な事務処理を次々と明らかにしている。こうした事態に対し、難波喬司市長は26日の定例会見で次のように述べている。
「ミスは必ず起こるので、なかなかゼロにはできません。組織的にチェックするシステムができていないところがあります。チェックできる人がチェックする形を全庁的に継続して、しつこくやっていくことが必要だと思っています」
人間がチェックする以上、ミスは避けられない。また、複数の職員によるダブルチェックやトリプルチェックは効率的な手段とは言い難い。人の手を介さないITやAIを活用したシステムの構築、さらには毎月300万円の印刷費を使う広報誌のデジタル化など、根本を見直す必要がある。
(SHIZUOKA Life編集部)