捨てられないものづくり
「私たちの未来は、私たちで作る!」
「サステバ」は、あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、
もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。
今回も、リスナーのみなさんからいただいたメッセージからご紹介♪
「カサンドラ症候群」という言葉を知っていますか?
私は最近、職場の同期に教えてもらって知りました。「カサンドラ症候群」とは、発達特性のある同僚やパートナーとの間でコミュニケーションがうまく取れないことから孤立感や無力感を感じ、そのストレスから心身に不調をきたす「状態」のことらしいです。
私の職場にも発達特性に当てはまる人がいて、ネットで調べると、今の自分の状態は「カサンドラ症候群」なのではないかと感じています。
その特性に当てはまる彼は、表面上は問題なく会話できているため、上司は彼のことをそこまで問題視していません。
彼のことについて相談しても、話を聞いてくれるだけで動く気配はありません。私は「なんとかなるでしょ」と27年間生きてきたタイプで、 悩んだりするキャラでもないし、もう、どうすればいいか分からないです。
同じ悩みを持っている人にラジオを通して届いてほしいと思いメッセージを送りました。
今の状態をどうにか改善したいです。
小泉:カサンドラ症候群というのは、どういうことなんですか?
上村:主にパートナーや家族など近しい関係の人が、自閉スペクトラム症など「共感性の低い特性がある場合」に起こる心身の不調のことです。コミュニケーションがうまくいかずに、強いストレスを抱えることが原因と考えられています。
2000 年代に広まった言葉ですが、正式な病名ではありません。周囲から理解されにくい、というのが特徴で「見えない苦しみ」とも言われています。
小泉:なるほど。
上村:ちなみに、「カサンドラ」という名前は、古代ギリシャ神話の王女から取られているそうです。彼女は「正しい予言をしても、誰にも信じてもらえない」という呪いをかけられました。このエピソードが、カサンドラ症候群の象徴と言われています。
小泉:なるほど。まあ、職場とかっていろいろな人がいて。私たちもそうだけど、言葉が合わない人とか、気が合わない人、何度説明してもお互いが理解できないことって、普通にあることだと思うんですよね。
大石:ありますね。
小泉:なので、そうだな…いいところもきっとあって。「これはできないけど、こっちは上手」っていう人っているじゃないですか。
大石:はい。
小泉:みんなが普通にできることがそんなに上手じゃなくても「ここが抜群なんだよね!」みたいな人もいるじゃない。そういうところを見てあげるとか。でも、彼女(投稿主)がストレスを感じているから…だけど、職場を変えるわけにもいかないのなら、自分もちょっと変わってみることも必要かもしれない。
大石:うん。
小泉:私もね、家を出る前に何かを探さない日がない。ずっと探してます。今日も2回探しました。まず家の鍵を探して、その後に…何探したんだっけ…
上村:それも忘れちゃった。笑
小泉:もうね、猫に話しかけるんです。「また探してるのよ、どこだと思う?」って。
大石:そうなんですか。笑
小泉:苦手なことって結構あって、でも、得意なこともあるから楽しく生きている感じだから。
大石:うん。
小泉:みんなそうなんじゃないかなぁ~と思ったりしていますけどね。
上村:上司に相談しても動く気配がない、とありますけど、上司の方もどう対応していいかわからないかもしれないですし。誰か共感してくれる人がいたらいいのかもしれないですけど。まずは、自分のケアを最優先にして欲しいと思います。
小泉:そうだね。
上村:うつや不安、無気力などの症状がある場合は、早めに専門機関へ行くようにしてください。信頼できる第三者やカウンセラーを交えた対話が、孤立から抜け出す一歩になるかもしれません。
小泉:「なんとかなるでしょ!」って生きてきたっておっしゃってるから…なんとか、なるんじゃない?っていう無責任なことを言ってしまいますけど。きっと、新しい環境に行ったら、どこに行ってもこういうことって起きるから。自分の中で大問題にしすぎちゃうと自分が疲れちゃうから、なんとなく見方、視点を変えることからやってみたらいかがでしょうか。
それで、本当に心が辛かったら、きちんと専門家の人に相談してみるとかね。
大石:職場のコミュニケーションって、気がある人と合わない人っているからね。
小泉:いるの。絶対にいるの。
大石:気が合う人と時間を多く使ってもらったらいいかもしれないですね。
東京・葛飾区の町工場
捨てられないものづくり
番組後半は東京・葛飾区の町工場ミヨシが手がけているResinaという商品をピックアップ♪
紹介のきっかけはリスナーの方からのメッセージでした。
小泉さん、大石さん、上村さんこんばんは。
「未来を感じさせるアクション」についてメッセージを送ります。
それは、東京・葛飾区にある町工場の 「ミヨシ」という会社がつくった「Resiina(レジーナ)」という商品です。
れは、デザイナーや設計者の方が使うための「立体形状サンプル」で、
デザインが、
板チョコレートの形をしています。
元々は別の形状だったようですが、捨てられずに愛着を込めて使ってもらえるよう、
板チョコレートのデザインに変えたそうです。
未来を見据えて、
捨てられないものづくりを実践している会社はそうそうないのでは?
と思って投稿しました。
Resiinaという製品、一言で言うと…「板チョコの形をした、デザインの角(かど)のサンプル集」です。
家電も、家具も、スマホのケースも、私たちの身のまわりにあるモノには、すべて、「角(かど)」があります。
その角をどれくらい丸くするか、どれくらい斜めに削るか。
デザイナーや設計者は、わずかな違いをミリ単位で調整していきます。
Resiina は、板チョコのように並んだブロックのひとつひとつが、 微妙に異なる角の形をしています。 つまり、感覚で思い描いている形を、実際に触って確かめられる道具なんです。
株式会社ミヨシの代表・杉山耕治さんにお話を伺っています。
設計者とかデザイナーは、最近はパソコンで設計やデザインをしてしまうので、実際の立体の形状が確認できずに品物が出来上がると。
画面上で見ていたものと実物が違うという現象が最近は起こるようになっていて、それをどうやったら解消できるかって考えた時に「立体のサンプルが必要だ」と考えたんですね。
実物を見て、手で触って、たとえば、「手で当たっても痛くない」とか。
あとは、光を当ててみて、これぐらいの光のハイライト、反射だったら、格好良く見えるね、とか。
それを立体で確認できるサンプルがあれば、デザインや設計者も、個数を減らして良いものが作れる、そういう想いで、レジーナが作られています。
最初は、チョコレートの形ではなく、無機質な立体形状だったんです。
ただ、それを手に取った方が、面白いねとは言ってくれたんですが、大切にされない、すぐに捨てられてしまう、ということが起こってしまい、ちょっと考えたんですね。
デザイナーと一緒に、チョコレート型にしたらいいんじゃないかと話し合って、一緒にデザインから金型製作を進めていったんです。
パッケージに関しても、一案を出して終わりではなくて、かなりの量の案を出して、数十個、パッケージを試作してみたりしながら、製品を好きになってもらえるような形状であれば長く使ってもらえるんじゃないかと、そういう考えで、チョコレート型になっています。
工場は、ものを作ることが本来の仕事ではありつつも、自分たちだけよければいいっていうわけではなく、手に取って、大切に長く使ってもらえるっていうことを考えて作ることが私たちの責任かなと考えています。
地球の資源を使わないと、ものづくりはできないんですね。
地球の資源を使う以上は、最終的にどうなるかっていうところまで考えることが、ものづくりの使命というか責任でもあるかなと考えています。
使う人の心に響くようなものが作れたらいいなと考えながらものづくりをやっています。
スタジオにも現物が!本物のチョコレートみたいでかわいい~
小泉:素敵じゃないですか!
上村:まさにSDGsの考えそのものですね。
小泉:今ここにもあるんですけど…
大石:チョコレートにしか見えないですね。
小泉:RとCがあって、Rの方がチョコレートの中の角が(それぞれのマス目ごとに)丸くなっていて、Cの方は丸くなっているんだけど、溝を作ってかっこいい感じになっているの。
上村:(Cの方は)削り方を比べられるみたいですね。
大石:ほんとだ!
上村:おもしろい。
小泉:デザインがおしゃれで、とっておきたいですよね。チョコレートのパッケージみたいに紙が巻いてあって。商品説明みたいなものも書いてある。
上村:おしゃれ。こうやって見比べてみると、ミリ単位で変わるだけで全然違いますね。物を見る目が変わります。
大石:たしかに。
小泉:ミヨシさんは葛飾区にある町工場だけど、古いんですか?
上村:創業が1972年ですね。
小泉:あら、年下だわ。笑
上村:(笑)
プラスチックを成形するための「金型製作」を中心に手がけています。 企業理念は「人の役に立つものづくり」と「捨てられないものづくり」。
小泉:素敵。
上村:環境に配慮したものづくりを追求していて、2016 年には、「省エネ大賞・中小企業庁長官賞」も受賞しています。
「長く愛されるものを、一つひとつ丁寧に」つくる。そんな想いを形にする場として、工場直販のオンラインショップも展開しています。スタジオにも用意しました!
アニマルクリップ!1枚の金型から4種をくり抜いているそうです。
すくいやすい「SNOPPO」。色や素材も豊富でおしゃれ!
小泉:「SNOPPO」、スプーンなんですけど、持ち手がとても長くて「右利き用」「左利き用」があるんです。スプーンの角が、口に運ぶところが丸くなっている。
大石:こぼしにくいんですね。
小泉:そう。いろいろな色があって。
上村:角の丸みが大きすぎても小さすぎてもすくいにくくなってしまうので丸みをどれくらいにするのかが一番のポイントだそうです。長さがあることで、大きなヨーグルトカップ、そこが深いジャム、袋の調味料など使い道がいろいろあるそうです。
小泉:あとね、さっきさえちゃんが気が付いたんだけど、介護とかで人に食べさせてあげる時もやりやすそう。
上村:すごいなぁ。
小泉:しかも、ミヨシさんにはネーミングセンスが高い人がいるよ!スプーンは「SNOPPO(すのっぽ)」、チョコレート型のサンプルも「Resiina」も。センスいい人がいるのよ。欲しい。
大石:日本でこういう物、作れるんですね。
小泉:やっぱり町工場はかっこいいですよ。大量生産もあって大変だろうけど、こうしてきっちりと誰かが絶対に必要な物をアイデアで乗り越えて作っていらっしゃるのはかっこいいな。
アニマルクリップもかわいいんですよ。
上村:動物の形をしていて、それぞれ名前がかわいくて。
小泉:猫は「ニャオン」たぬきは「ポンポコ」きつねは「キツネン」、くまは「ヒグマル」、ペンギンは「キーペン」、羊は「ウールン」、いるかは「タバネルカ」、ゾウは「パオパオ」。色もいろいろあります。
上村:前はもう少し大きなサイズだったそうなんですが、「小さくすることで使いやすくして欲しい」ということだったんです。メモ帳に挟んでもいいですし、穴が空いているのでキーチェーンを通して他のものにつけることもできます。
小泉:本の栞にも役に立ちそう。
上村
かゆいところに手が届く。
大石:ほんとですよ。
上村:挟んだ紙に跡がつかないように素材の硬さなどを考えたそうです。
小泉:大切に長く使ってもらえる、というモットーが活かされていますよね。
大石:自らできることをしっかりやっていらっしゃる。
小泉:ほんとに。
※一部抜粋 詳しくは本編でお楽しみください!
(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)