あの名画を近くで見て撮影もできる!『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』見どころレポ 神戸市
三宮の神戸市立博物館(神戸市中央区)で、「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が9月20日から始まりました。
同展は、阪神・淡路大震災から30年の取り組みのひとつとして行われ、オランダのクレラー=ミュラー美術館が所蔵するフィンセント・ファン・ゴッホの作品を中心に多数の油彩や素描が一堂に展示されます。
今回開催される第1期(9月20日~2026年2月1日)では、オランダ時代からパリを経てアルルに至る画業を時系列に沿って紹介しており、画家としての前半期に焦点を当てた構成となっています。
入館後、受付では綾瀬はるかさんのナビによる音声プログラムの機器が貸し出されていました。ガイドの対象は19作品で、約40分の解説を聴くことができます。
そしてナレーターは元NHKアナウンサーの登坂淳一さん。豪華な美声ペアの声を聞きたくレンタルしてみました。没入準備万端でいよいよスタートです。
まず階段をのぼり、3階の第一会場へ。第1章「バルビゾン派、バーグ派」では、ゴッホが画家を目指し筆をとったころに影響を受けたヨーゼフ・イスラエルスやジャン=フランソワ・ミレーの油彩5点が並びます。
職を転々としたのちに画家への道を忘れられなかったゴッホは、画家のアントン・マウフェの指導を受けます。第2章の「オランダ時代」では、ハーグ派の師匠による影響を色濃く受けた初期の創作を見ることができます。
その数はなんと45作品。油彩以外に素描も多く、1884年頃に接していたというオランダ南部・ニューネンの農民たちの姿を描いた習作に圧倒。見ごたえのあるゾーンです。
続いて、第3章は「パリの画家とファン・ゴッホ」。刺激を求めパリに移ったゴッホが出会ったのは当時の新技法である印象派の画家たち。
この時期に、ゴッホの作品は暗めの色調から鮮やかな色彩表現へと大きく変化しますが、その強い影響を受けたとされる、モネ、ルノワール、ピサロなどの作品10点をここで見ることができます。
そして、20年ぶりの来日で同展の目玉となる《夜のカフェテラス(フォルム広場)》は、第5章「アルル時代」に登場。こちらは撮影可能のため、カメラを向ける人が多く見られました。
1888年に制作されたこの絵は、明暗の鮮やかな対比を巧みにとらえており、特に夜空に黒やグレーではなく青を使ったことで、西洋美術における夜景表現の概念を刷新した傑作として高く評価されています。
順路の最後には、第4章「パリ時代」の作品が10点並びます。この時代には、モデルを雇うお金がなく人物画を描けなかったため、花や自画像の絵が多く見られます。
ただ、この後に成熟期となるアルル時代を迎えることとなるので、その変化の過程を感じながら、想像するのも楽しいです。
今回の展示で特に注目すべきなのは、一部の絵画が写真撮影可能となっていること。紹介した《夜のカフェテラス》《自画像》に加え、《石膏像のある静物》《レストランの室内》《草地》の5点が個人目的で撮影許可されているのは嬉しいですよね。
初期から成熟期へと至る画業の流れを体感できるよう構成された「大ゴッホ展」。2027年2月から開催される第2期では、有名な《アルルの跳ね橋》や《夜のプロヴァンスの田舎道》も登場。苦難の人生のなかで最後まで芸術と向き合ったとされる晩年までの作品を、1期に続き鑑賞したいと思います。
会期
2025年9月20日(土)~ 2026年2月1日(日)
場所
神戸市立博物館
(神戸市中央区京町24番地)
時間
9:30~17:30(金曜と土曜は20:00まで)
※土日祝は予約優先制
※展示室への入場は閉館の30分前まで
料金
<当日券>
一般 2,500円、大学生 1,250円、高校生以下 無料
問合せ
●チケット・予約につて
0570-08-9929(2026年2月1日までの10:00~18:00)
●展示について
神戸市立博物館 078-391-0035(開館時間中)