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やっぱりサンマは目黒で食べよう。『目黒のさんま 菜の花 権之助坂店』は“3の付く日”がお得!

さんたつ

目黒 菜の花

古典落語の「目黒のさんま」をご存じの方は多いだろう。落語が元となり、目黒では秋にサンマのイベントが開かれて大いににぎわうことも有名だ。サンマが旬になる秋だけでなく、1年中おいしく食べさせてくれる店が目黒駅から程近い場所にある。『目黒のさんま 菜の花 権之助坂店』では、気仙沼から届くサンマが定食や一品料理として食べられると好評。「さんまは目黒に限る」と、殿様のように独りごちたくなるお店だ。

目黒のさんま 菜の花 権之助坂店(めぐろのさんま なのはな ごんのすけざかてん)

落語にちなんだ看板メニュー

まずは、落語「目黒のさんま」をおさらいしよう。

鷹狩で目黒を訪れたお殿様。おなかが減って、付近の民家で何か食べ物を出してほしいと無理を言ったところ、出された料理が大衆魚・さんまだった。お殿様にとって初めて食べたさんまは脂がのっていて美味。その味が忘れられず、屋敷でもさんまを所望したところ、家臣は取り寄せたさんまの骨を抜いて、脂を落として調理した。食べた殿様はがっかりして「さんまは目黒に限る」と言ったというのがこの話のオチだ。

お店は坂を下り始めたら、あっという間に辿り着くので通り過ぎないようにご注意を。

落語自体は創作だが、目黒には3代将軍家光が鷹狩に訪れ、その際何度も「爺々が茶屋(じじがちゃや)」という茶屋に立ち寄ったと伝わっている。「爺々が茶屋」は恵比寿に近い茶屋坂にあったと言われ、『目黒のさんま 菜の花』の本店も茶屋坂から近いところにある。今回は駅を出てすぐ、アクセスのよい『権之助坂店』に伺った。

創業者は、最初はおにぎり弁当などが人気のお弁当屋さん「菜の花」を営んでいたが、夜もにぎわう店にしたいと居酒屋に変更したそうだ。さらに発想力豊かな創業者は、落語「目黒のさんま」にちなんで、さんまを看板メニューに設定した。

2003年にオープンしてもう20年以上。「目黒のさんまを謳(うたう)うことなく、居酒屋を開いていたら、こんなに長く続かなかったかもしれませんね」と店長の小野寺雅(おのでらみやび)さんは語る。

奥にテーブル席もあるが、カウンターがメイン。気取らない雰囲気で居心地がいい。

ついつい行きたくなる! “3の付く日”は「さんまの日」

オープン以来変わらない看板メニューは、目黒のさんま塩焼き。ランチタイムは塩焼きがメインの目黒のさんま定食、夜は単品の塩焼き以外にもサンマの七変化としてつみれ汁、蒲焼、南蛮、ガーリックソテーなど、さんまをいろいろな調理法で提供している。

目黒のさんま塩焼き定食は通常950円。「さんまの日」なら100円引き。

『目黒のさんま 菜の花』では3日、13日など3の付く「さんまの日」に、サンマのメニューが特別価格になる。そもそも通常価格950円とすでに良心的な目黒のさんま定食が、「さんまの日」なら100円引きの850円、目黒のさんま塩焼きを夜に頼むと539円が385円になる。さらなるお得な価格に、「さんまの日」のランチは行列が絶えないとか。「目黒のさんまを店名につけたのと同様、『さんまの日』のサービスも創業者が考えたアイデアなんです」と店長の小野寺さん。

サンマはすべて「目黒のSUNまつり」の縁があって気仙沼の水産業者から取り寄せている。届くのは週に3回。多いときは1週間の合計が360匹ほど仕入れる。近年サンマが不漁だといわれることも多いが、『目黒のさんま 菜の花』では、サンマを切らしたことはないそうだ。

尻尾がピッと上向き! 看板メニュー目黒のさんまの塩焼き

お願いしたのは看板メニュー、目黒のさんま塩焼き。もちろんサンマは注文が入ってから焼き始める。

焼かれるのを待つまな板の上のサンマ。

サンマをグリルに入れる前、調理担当の小幡和夫(おばたかずお)さんが尻尾近くに1箇所だけ包丁を入れるのを見かけた。切れ込みの場所など詳しいことは「内緒」とのことだが、「尻尾が美しくなるようにね」とのこと。

いざ、サンマはグリルの中へ!

ピカピカに磨かれたグリルの中で、サンマは焼かれていく。店内に立ち込める魚を焼く独特の香りに包まれながら、塩焼きのさんまを待つ時間も楽しい。

いい焼き色まであと少し。尻尾が美しくピッっと跳ね上がっている。

さんまの塩焼きはご飯や小鉢、汁物とともにお盆にのせられて目の前に。湯気が立ち上る身を箸で摘んで口に入れると、ふっくらした身の塩加減が最高。ワタの苦味も言うことなし。「機械を使わずにおろすのがこだわり」と小野寺さんが話す大根おろしもたっぷりでありがたい。

焼き上がったさんまは、香ばしくふっくら。

程よくさっぱりした浅漬けは、この日はかぶ入りで紫蘇の風味も効いている。味噌汁が豚汁というのもうれしい。さらにこの店の定食には、小鉢に切り干し大根の煮物、千切りキャベツを添えたマカロニサラダが付いてくる。もちろん、どれも手作りだ。「こういう定食、最高!」と喜びながら箸を運んでいると、「日本人ですからねぇ」と小野寺さん。焼きサンマと小鉢に豚汁、白米。なるほど日本人が思い浮かべる定食のど真ん中ではなかろうか。

常連客から贈られた「目黒のさんま」の切り絵とさんまの実物大マグネット。

カウンターの上には、常連客が寄席で切ってもらったという目黒のさんまの切り絵や、マグネットになったサンマなどが飾られている。さらにその上には、焼酎を中心に名前が開かれたボトルがずらり。いかに愛されているお店か、店内に置かれたちょっとしたものや、話を伺ったお二人の話ぶりからも感じられる。

調理担当小幡和夫さん(左)と店長の小野寺雅さん(右)。

大衆魚ながら貴重な存在になりつつあるサンマ。さらに家庭ではパリッとジュワッとおいしく焼くのはなかなか難しい。ゆっくりできる雰囲気の中で、おいしいさんまの塩焼きが食べたくなったら、またお邪魔します。

目黒のさんま 菜の花 権之助坂店(めぐろのさんま なのはな ごんのすけざかてん)
住所:東京都目黒区下目黒1-1-15 菊ビル1F/営業時間:11:30~13:30LO・17:30~22:15LO(土は夜のみ)/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄目黒駅から徒歩2分

取材・撮影・文=野崎さおり

野崎さおり
ライター
2016 年よりライターとしての活動を開始し、複数のweb媒体で食べ物やお出かけネタを中心に執筆。おいしいものはもちろん、作る人とその背景に興味あり。都内をバスか徒歩で移動するのが好き。

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