離婚時に残った住まいを財産分与する方法とは?【増補改訂版 前向き離婚の教科書】
財産分与の仕組みと手続き①不動産の財産分与
まずは評価額を出す
結婚後に夫婦が取得した不動産は、財産分与の対象となります。不動産は、 金額がはっきりしておらず、現金や預貯金のように簡単に分けることができません。そこで、評価額を算出してから、分けることになります。評価額は時期によって変動します。一般的には、財産分与をする時点での評価額を採用します。
評価額は、国土交通省のホームペ ージにある公示価格や国税庁の路線価などを参考にして調べ ることもできますが、トラブルを避けるため、不動産業者などの専門家に査定依頼したほうがよいでしょう。あまりにも評価額に争いがある場合は不動産鑑定士に鑑定を依頼することもできますが、費用がかかります。
評価額がわかったら、どのように分けるかを話し合って決めましょう。売却して現金を分ける方法、一方が所有し、相手に現金を渡す方法、財産分与の割合に応じて共有する方法などがあります。
住宅ローン付不動産の場合
住宅ローン付不動産は、評価額からローン残高を引いた差額が財産分与の対象となります。評価額がローン残高を上回る場合、差額を分け合います。例えば、不動産の評価額が3000万円、ローン残高が1200万円の場合、差額の1800万円を分けることになります。評価額がローン残高を下回る場合、夫婦の一方が所有し、ローンの名義人が支払いを続けるなどの方法があります。
なお、不動産を分与するときは、渡す側も受け取る側も税金がかかる場合があります。
ポイント
不動産分与は、売却して現金を分けるか、一方が所有して相手に現金を渡すのが主流。
不動産は高額なため、専門家に評価額を出してもらうのが妥当。
不動産はこう分ける!
財産分与の対象になるもの・ならないもの
不動産を分与する方法
【不動産を分与する方法】
売却して現金を分ける一方が所有し、相手に財産分与の相当額を支払う一方が所有権を持ち、もう一方が使用権をもらって住み続ける財産分与の割合に応じて共有する
住宅ローン付不動産の場合
【プラスの場合】
上の4つのなかから自分たちが決めた方法で分ける
【マイナスの場合】
一方が所有して、ローンを支払い続ける売却して、ローンの一部を返済する
【損しない!コツ】不動産の評価額は、築年数や時期によって変動します。また、不動産会社によって査定価格が大きく変わることもあるため、財産分与をする時点で、複数社から査定をとって比較してみるとよいでしょう。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり