中年太りの正体!お腹の脂肪より怖い「肝臓の脂肪(脂肪肝)」
日本人の成人の3人に1人が脂肪肝と推計される現在。肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来「スマート外来」の担当医・尾形哲先生が、肝臓脂肪を落とすためにすすめているのが、「脂肪燃焼スープ」です。これは、鶏むねひき肉を使った「スープストック」を活用し、一食で必要なタンパク質をしっかり摂取できるスープのこと。先生の著書『肝臓から脂肪を落とす 脂肪燃焼スープ』(KADOKAWA)では、豊富な食物繊維と、代謝を高める食材を組み合わせることで、低糖質なのに満腹感が持続する脂肪燃焼スープの数々を掲載しています。今回はこの本の中から、体の内側から健康を取り戻し、元気な毎日を送るためのヒントをご紹介します。
※本記事は尾形 哲(著)による書籍『肝臓から脂肪を落とす 脂肪燃焼スープ』から一部抜粋・編集しました。
【脂肪が燃えるヒミツ】スープ一皿でタンパク質20g以上無理なく筋肉量をアップ
若いころは食事を減らしたり、ちょっと運動すれば体重が落ちたのに、「今は何をしてもやせない!」というのが、40代以降の体あるあるでしょう。やせないどころか少しずつお腹が出っ張りはじめて、体重計に乗るのが怖い方もいるかもしれません。
太るというのは"体に脂肪が増える"ことです。
私たちは食事からエネルギーを摂ります。一方で、歩いたり、話したり、心臓が動いたり、寝ていたってエネルギーは使われています。
ここで、食べたエネルギーよりも使うエネルギーが少なければ、余った分が脂肪となって体にたまるのです。そして、お腹や背中、二の腕などに脂肪が増えて、外見上でも目立つようになると「太った」と実感するわけです。
ちなみに、見た目では気付かなくてもじわじわ脂肪を増やしているのが"肝臓"です。
なんと、体と同じように肝臓も太るのです。
肝臓の細胞に脂肪が増える「脂肪肝」は、成人の3分の1にのぼると推計されています。しかし、初期症状はほとんどなく、気付いてすらいない人がたくさん。
ですが、放置すれば肝炎に進んだり、さらに悪化して「肝硬変」や「肝がん」になったりすることもある怖い病気です。
少し脅かしましたが、とにかく脂肪が増えすぎるのは健康によくありません。
ここからが本題です。増えてしまった脂肪をどう落としていくかです。
"食事を減らす"という単純な話ではありません。
栄養不足が脂肪を増やす原因になる からです。
20代の体と40代以降の体で大きく変わるのは、"代謝が下がる"ことにあります。
代謝とは、体の中で起きているエネルギーのやりとり全体を指します。食事から得た栄養素を分解してエネルギーを取り出したり、分解された物質から体に必要な物質を合成したり、老廃物を排出したり......、そのすべてが"代謝"です。このうち、体温を保ったり、呼吸など、寝ているときでも行われるのが「基礎代謝」で、全体の6〜7割を占めます。この基礎代謝をたくさん行う臓器が、肝臓と筋肉(骨格筋)です。
そして、40代以降の代謝ダウンに大きく影響するのが、"筋肉量の減少"です。
40代を過ぎると筋肉を合成する力が弱まって筋肉量が減り、代謝が落ちるのです。