県立金沢文庫 学芸員の「推し」寺宝展示 95周年記念 5月18日まで
県立金沢文庫では開館95周年を記念した特別展「至高の宝蔵―称名寺の国宝開帳」を5月18日(日)まで開催している。今回は、収蔵する国宝や重要文化財の中でも、同館の学芸員7人が特に見てほしい「推し」の作品約60点を展示。同館学芸課長の道津綾乃さんは「歴史的背景を知らなくても文化財を気軽に楽しんでほしい」と来館を呼び掛ける。
「歴史に興味がないととっつきにくい印象の博物館を多くの人に楽しんでほしい」と、仏教思想史や日本中世史など専門分野がある学芸員7人が、思い入れのある文化財をそれぞれ選択。一部の展示品には、その文化財を選んだ理由や注目してほしい「推し」ポイントを、展示札とは別に掲示。通常の企画展では、「根拠に基づいた解説」が基本だが「学芸員が一言添えることで、博物館を身近な存在に感じてもらえたら」と道津さん。国宝や重要文化財には公開日数が原則年間60日以内という決まりがあることなどから、約1年前から準備を進めてきた。
同館は鎌倉幕府の重鎮として活躍した金沢北条氏創設の「金沢文庫」に起源をもつ歴史博物館。隣接する称名寺に伝来した国宝をはじめ、中世の歴史や文化を伝える貴重な文化財を保管している。称名寺の寺宝を守り伝えるため、1930年に県の施設として復興され、今年で95周年を迎える。
約60点の展示品には、過去・現在・未来の如来と周囲に約千体の小仏を描いた縦3mを超す「三千仏図」(県指定重要文化財)や、称名寺に伝わった平安時代の写本がほぼ世界唯一の存在とされる「文選集注」(国宝)など至高の品々が並ぶ。
GWは四将像展示も
さらに、金沢北条氏の歴代当主、北条実時・顕時、金沢貞顕・貞将の肖像画「四将像」の原本(国宝)を4月29日(火)から5月6日(火)は4枚並べて展示。他の会期中は原本は1枚、3枚は複製を展示しており「貴重な名宝が一堂に介する機会にぜひ来館を」とする。
また、土曜・日曜・祝日の午後2時からと3時からは、ボランティアによる展示解説も。事前申し込み不要、出入り自由。
開館は午前9時から午後4時30分(入館は4時まで)。毎週月曜休館(5月5日を除く)。一般400円、20歳未満・学生250円、65歳以上200円、高校生以下100円、中学生以下無料。問い合わせは同館【電話】045・701・9069。