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「5年に1回、いや、10年に1回出会えるような名作の舞台になるのでは」~江口のりこ、那須凜、三浦透子ら出演の舞台『星の降る時』が開幕

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パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』が2025年5月10日(土)から東京・PARCO劇場で開幕した。
本作は、イギリスのかつて栄えた炭鉱町を舞台に、変わりゆく社会と折り合いをつけようともがく家族を、イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールが情熱的かつユーモラスに描いたヒューマンドラマ。2023年に英国ナショナル・シアターで上演されるやいなや、深い人間観察と巧みな劇構成が絶賛され、2024年度ローレンス・オリヴィエ賞のBEST PLAYなどにノミネートされた。今回、小田島則子の翻訳、栗山民也の演出のもと、江口のりこ、那須凜、三浦透子らが出演する。
初日を前にした10日(土)、同劇場で本作を30分ほど上演するプレスコールと、作家のベス・スティールによる会見が行われた。公表されたキャストのコメントともに、その様子をレポートする。

【ストーリー】
イギリスのかつて栄えた炭鉱町に生まれ育った三人娘。今では二人の娘を持ち変わらず倉庫勤務の長女ヘーゼル(江口のりこ)と、町に嫌気がさして実家を遠く離れていた次女マギー(那須凜)、そしてポーランド移民と恋に落ちた三女シルヴィア(三浦透子)。
今日は三女の結婚式。母親代わりに叔母キャロル(秋山菜津子)と共に、パーティの準備をしている。早くに妻を亡くしたが三姉妹を守ってきた父親トニー(段田安則)、その兄とは長年に渡る絶縁状態の叔父ピート(八十田勇一)、移民に職を奪われ失業状態の長女の夫ジョン(近藤公園)も久しぶりに顔を合わせ、三女の夫マレク(山崎大輝)を迎えて祝いの宴が催されるが...人生で最も幸せなはずの1日が、問題を原んだ家族間の扉を開けてしまうことになり...果たして家族は再び向き合い、新しい朝を迎えることができるのか...

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

まずは演出の栗山民也とキャストのコメントをお伝えする。

栗山民也(演出)

この芝居、稽古が始まる前に決まって胸の鼓動が激しくなるのです。いったいどこへ向かっていくのかわからぬ物語の、その流れの過激さからでしょうか、それぞれの登場人物の思いも行動もチグハグで、気持ちいいほどに勝手気ままに見えて、実は極めて真剣、必死なのです。ちょっと遠くから俯瞰してみると、小さな輪の中にみんながしっかりといて、まるで太陽を中心にそれぞれの惑星が周りをぐるりと巡っているような家族の光景が続くのです。
すぐ目の前にある大切なものを見過ごしたり、後悔するくせにあえて強がりをぶつけてみたり、大事なところで思わず滑って転んでしまう登場人物ばかりなのですが、確かにこの人たち、機械じゃなく素敵な生きものです。そんな彼らの必死に激しく求め合うそれぞれの愛のカタチに、またドキドキと鼓動が高鳴るのです。

三浦透子、江口のりこ、那須凜(左から)

江口のりこ

那須凜

三浦透子


江口のりこ

本当に面白い芝居です。人間の面白さが存ります。是非是非劇場に足を運んで下さい!!

那須凜

家族という生き物はなんと不思議なんだろうと、思いを巡らせる稽古の日々でした。愛し合いながら憎み合う。どんなに離そうと思っても離れられない手と手。それは決まった法則で永遠と動き続ける宇宙の惑星のようです。遠いイギリスの話ですが、全ての世界の人々に通づるであろう家族の物語になりました。『星の降る時』、皆様に心から見て欲しいお芝居です! 是非劇場にお越しください。

三浦透子

学びと笑いに溢れた、とても充実した稽古の日々でした。読むたびに発見と気づきがあって、なんと恐ろしい脚本だろうと感じております。稽古場で紡いだ時間を信じて、最後まで全力で作品に取り組んで参ります。ぜひ劇場に観にいらしていただけると嬉しいです!

近藤公園

山崎大輝

八十田勇一


近藤公園

もともと素晴らしい戯曲なのですが、栗山マジックによって素敵な演劇が出来上がりました。三姉妹の個性が炸裂していて、本当に魅力的です。そこにキャロル叔母が入った時の、かしましさ! さらに娘たちが加わった時の、金平糖みたいな形の面白さ! 男性陣も負けじと奮闘したいと思います。ただ、色んな角度から刺さる作品です。是非とも覚悟して、ご覧いただきたい。

山崎大輝

台本を読んだ時から面白い作品になると思っていましたが、稽古が進んでいくほど新しい面白さに出会いました。丁寧に並べたドミノをひと押しするだけで全部が倒れてしまう、変わってしまう。その瞬間に何を思うのか…。この時間をお客様と共有できることを嬉しく思います。劇場でお待ちしております。

八十田勇一

ストーン家の大変な一日を皆さまにのぞき見してもらうために、いつもより“慣れない”“頭をフル回転させながら無意識に体を動かす”ことを徹底的にやってます。なので初日を迎えるのがいつもより怖いです。でも皆さまにお会いできるのは楽しみです! でも初日は怖い…そんな思いが行ったり来たりしてる今日この頃です。

秋山菜津子

段田安則


秋山菜津子

なんだかとてもワクワクする芝居です。稽古中もずっと新鮮な時間を感じていました。この感覚を持ったまま、観客の皆様にもワクワク、ライブ感のある素敵な作品をお届けできたらと思っています。

段田安則

いつも一応「是非ご覧下さい」と言うのですが、今回は本心から「是非ご覧下さい」です。台本を読んだときも面白かったのですが、実際に稽古をし、俳優が動きだすと、もっと面白くなりました。どのシーンも面白い。どの役も面白い。何本も芝居をしていますが、そうですね、5年に1回、いや、10年に1回出会えるような名作の舞台になるのではないでしょうか。

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

ベス・スティール

続いて、作家のベス・スティールの会見をお伝えする。
ーープレスコールの一部をご覧になって、いかがでしたか。
ベス・スティール:とても喜んでいますし、いい意味でとても驚いています。というのは、違うんですけれども、同じであるということに非常に強く感銘を受けます。もちろん違うんだけれども、スピリットやエッセンスが同じものを感じることができたということ、そして、一人ひとりのキャラクターが本当に素晴らしく、プロダクションがとても美しく、本当に言葉を失ってしまうぐらい、圧倒されました。素晴らしかったです。
ーーイギリス以外の海外での上演は日本が初めてだそうですが、日本で作品が上演されることについてどう思っていますか。
ベス・スティール:イギリス以外の国で上演されるのは今回が初めてとなりますが、本当にこの作品が日本で上演されることをとても誇りに、そしてとても光栄に思っています。

初日を迎えて、そこで劇場にいらっしゃる日本のお客様たちがどんな風にこの作品を受け止めてくださるか。この舞台上の人々や家族を、自分と結びつけてみたり、自分の家族のことを思い返してみたり、どんなふうに感じられるのか。イギリスから遠く離れた日本のお客様がどのようにこの作品を感じられるか、とても楽しみにしております。

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

ーー2024年度ローレンス・オリヴィエ賞のBEST PLAYにノミネートされたり、7月からはウエストエンドでの上演も発表されていたりしています。この作品が評価されている理由は何だとお考えですか。
ベス・スティール:実際にこの戯曲を書いているときに、それを意識して書いていたわけではないんですけども、大きな理由は、この作品が結婚式を舞台にしているというところだと思います。というのも、文化が違っても、結婚式というものは、人間らしい喜びや愛、未来があったり、みんなが一堂に会したり、祝祭やセレモニーがあったり、お酒を飲んで酔っぱらってみたりするもので、多くの人が結婚式を経験をしているからこそ、自分たちを結びつけることができる大きなイベントなのではないかと思います。
もちろん、この戯曲は、そういった喜びだけではなく、悲しみも捉えた戯曲ですが、喜びも悲しみも含めて、人間らしい感情を捉えることができているというところ、そして、お客様たちが、文化に関わらず、何か自分たちに通じるものを作品の中に見出してくださっているところが、この作品が広く皆さまに愛されている理由なのかなと感じています。

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

ベス・スティール

ーーベスさんご自身が生まれ育った土地や出会った人々がどのように作品に影響を与えているのでしょうか。
ベス・スティール:この戯曲の中にいろんな形で登場する、いわゆるおばさんたちが家族にも数名おります(笑)。なので、この戯曲は、自分の生まれ育った町の人々を祝して、その人たちを讃えて書いた戯曲という言えると思っています。
ーーこの戯曲の中の登場人物に、ご自身を投影されていますか。
ベス・スティール:私は、この3姉妹の全員が私だと思っていて、全員に私は自分を投影してると思います。で、日によってはキャロルおばさんになっている日も私はあると思っています。
ーー来日されて、日本や日本の演劇界に対する印象をお願いします。
ベス・スティール:もうなんか頭が爆発しそうなぐらい、とにかく圧倒されてます。これは来る前からもちろん知っていたことではあるんですけれども、とにかく、日本の皆さんが人として美しく、心が優しい。この地球上で1番素敵な美しい場所だと思います。昨日来日して、まだ24時間も滞在してないんですけれども、それでも、そう思います。
日本の演劇界ということで言いますと、ずっと長らく興味を持っておりましたので、今回の滞在中に、ぜひ伝統芸能を見たいと思っています。

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

ーー最後に観客の皆さんへメッセージをお願いします!
ベス・スティール:まずは、この作品を劇場でご覧になりたいと思ってくださっているお客様に、本当に心から感謝を申し上げます。ぜひ見に来ていただいて、この作品を愛していただけたらとても嬉しいです。ロンドンでお客様たちが愛してくださったように、皆様にもこの作品を愛していただけるととても嬉しく持っています。
そして、もし劇場でこの作品をご覧いただいて、気に入ってくださったら、ぜひ7月にロンドンのウェストエンドでも上演がございますので、ぜひ見に来ていただいて、この日本での素晴らしいプロダクションと、ロンドンでのプロダクションがどんなふうに違うか、ぜひ見比べていただけたら、とても嬉しいです。

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

パルコ・プロデュース2025『星の降る時』プレスコールの様子

八十田勇一、秋山菜津子、三浦透子、江口のりこ、那須凜、段田安則、近藤公園、山崎大輝(左から)

この日は、本作の第1幕終わりから第2幕の約30分間が公開された。「結婚式」という家族にとって最も幸せな時間であるはずなのだが、ポーランド移民のマレクへの視線やキャロルの自分本位な態度などなど、いろいろと家族の「問題」が見え隠れする。同時多発的に会話が始まったり、飲み食いをしながら喋ったり、険悪なムードから和やかなムードに一変したりと、とてもリアルな描写で、本当に結婚式を覗き見しているような感覚に。どういう物語展開になるのか、全編を通して見てみたい。上演時間は休憩20分を含めて約2時間30分。ぜひお見逃しなく!

取材・文・撮影=五月女菜穂

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