【海老名市】海老名市の優成サービス「トイレカー」が国登録の災害対応車両に
海老名市国分南の警備会社「優成サービス株式会社」(八木優社長)の所有する福祉バイオトイレカーが9月5日、内閣府の災害対応車両に登録された。海老名市近隣地域では初めて。今後、有事の際、被災地からの要請に応え、迅速な車両の提供が行われる。
災害対応車両登録制度は、今年6月1日から始まった内閣府による取り組み。災害が発生した際、避難所や被災地の生活を支える車両をあらかじめ登録してデータベース化することが目的。これにより、被災自治体のニーズに応じて、迅速に災害対応車両の提供ができるようになる。
これまでの累計登録台数は134台・登録法人は23法人(9月5日時点)。海老名・座間・綾瀬市内では、優成サービス(株)が所有する福祉バイオトイレカーの登録が初めてとなる。
警備現場のトイレから
警備会社である同社がトイレカーを製造し始めたのは約20年前。自社の警備員が工事現場で使用するためのトイレの必要性からだった。
「当初は、単純にトラックに仮設トイレを積んだようなものだった」と同社の八木正志取締役会長は話す。その後、車いすで現場を通りかかった人からの「私たちにも使いやすいトイレがあれば」という言葉がヒントになり、2008年に福祉バイオトイレカーの開発に至った。
同車両には、トイレやシャワーが備えられているほか、昇降リフトが搭載されているため、車いすの障害者や高齢者も気兼ねなく利用できる。環境への配慮も特徴で、排泄物は水を使用することなく、タンクの中のおがくずに含まれる細菌により分解される。一般的な仮設トイレよりも臭いが少なく、タンク下のヒーターでおがくずを乾燥させることで、定期的な手入れは不要。繰り返し使用されたおがくずは、堆肥として再利用できるという。
東日本大震災でも出動
同社はトイレカーの開発に伴い、福祉車両事業も展開している。これまで、高速道路の渋滞対策用や海老名市内のイベント、東京マラソン・横浜マラソンなどでトイレカーを設置する業務を請け負った実績がある。
また、ボランティアとして、東日本大震災や熊本地震、能登半島地震の被災地へのトイレ支援活動にも参加している。
八木会長は「被災地支援は自分たちの意思で行ってきたこと。これまでの実績が、災害対応車両の登録につながったことは非常に嬉しい。今後は大手自動車メーカーと協力して事業を展開することできれば」と思いを話した。