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「物流2024年問題」に挑む 社員平均年齢29歳、三重の運送会社が親子向け職業体験会を開催

月刊総務オンライン

「物流2024年問題」に挑む 社員平均年齢29歳、三重の運送会社が親子向け職業体験会を開催

物流の担い手不足が深刻化する中、社員の平均年齢が29歳という若手主体の運送会社・カワキタエクスプレス(三重県亀山市)は、次世代に物流への理解を促す取り組みを進めている。

同社は8月9日、三重県トラック協会主催の「物流見学会(亀山会場)」に参加し、親子向けの職業体験を実施。そのようすを8月20日、プレスリリースで公表した。

顕在化する「物流2024年問題」 人材育成と柔軟な制度設計に取り組む

同社の社員の平均年齢が29歳という構成は、業界全体と比べても極めて若い。というのも、トラック運送業界ではドライバーの平均年齢が45から48歳程度とされ、29歳以下の若年層は全体の1割未満にとどまっている。同社の年齢構成との間には、数字上でも大きな開きがある。

国土交通省「トラック運送業の現況について」より抜粋(※)

物流業界では、長時間労働や人手不足を背景に「2024年問題」が顕在化している。そんな中、若手人材の育成と柔軟な制度設計に取り組む同社の姿勢は、持続可能な物流の在り方を考える上で一つのヒントとなり得る。

「物流の仕事」を知る入り口に 親子参加型の職業体験会を開催

「物流見学会」は、物流業界の仕事や役割を親子で学べる場として毎年開催されている。今回、受け入れ先を務めたカワキタエクスプレスでは、過去最多となる39人の親子が参加。職業体験を通じて物流の仕事を身近に感じる一日となった。

当日は、以下のようなプログラムを実施。

 ・子供用ミニトラックの運転体験

 ・フォークリフトの操作体験

 ・大型トラックの乗車体験

 ・物流の仕組みを学ぶ座談会 など

同社の真っ赤なトラックをモチーフにしたミニサイズトラックを用意

参加者は実際の物流施設を訪れ、商品の保管やピッキング、積み込み、車両点検といった業務を見学・体験。子供たちはミニトラックの運転や大型トラックへの乗車などに挑戦し、物流の現場に触れる貴重な機会となった。

「物流の2024年問題」にどう向き合うか 若手育成と制度改革

6月、国会で「トラック新法」が可決された。これは運送事業許可の更新制導入や、適正運賃以下での契約制限、再委託の制限など、業界の構造的課題に切り込む内容だ。

こうした中、カワキタエクスプレスは「労働環境の改善が物流業界の未来を左右する」との考えの下、若手人材の積極採用と育成に注力している。

同社では16年前から業界未経験者、特に高校新卒者の採用を推進。現在、社員の7割以上が10から20歳代で、平均年齢は29歳。給与体系も従来の「歩合制」から「月給制」に改め、安定した収入を保証している。

未経験者を採用する理由について、同社は「先入観のない状態から、安全や品質を徹底できる」と説明。点検や運行前のチェックなど、「当たり前の業務」を丁寧に教えることで、ベテランよりも高い安全意識を保ちやすいという。

また、同社は「トラック新法」の影響で小規模運送会社の廃業が進めば、緊急物資や備蓄米など不定期配送への対応が困難になると警鐘を鳴らす。若手の育成を通じて、こうした変動にも柔軟に対応できる体制づくりを進めている。

SNSで発信する「運送会社らしくない会社」 ユニークな福利厚生に反響

若手社員が多い同社では、ライフスタイルに寄り添った独自の福利厚生制度も整備している。

 ・男性社員の育休取得率は100%(平均取得期間1か月)

 ・女性社員限定「コスメ手当」(年間1万円)

 ・「推し活」応援制度(推しのコンサートは平日休みOK)

 ・夏季の猛暑対策として、空調服・冷却スプレー・塩あめ・アイスクリームの支給

これらの取り組みをTikTokやInstagramなどのSNSで日々発信。結果として県外からの求人応募も増加し、三重県に移住して入社する社員も生まれている。

代表取締役・川北辰実氏は、「昔のように『長時間労働で少し無理をしてでもお金を稼ぐ』というやり方では、今の若者はトラックドライバーになりたいとは思えない」とし、人的資本経営の重要性を強調する。

「物流の2024年問題」が注目される今、同社のように若手人材の育成と働きやすい制度づくりに取り組む姿勢は、現場で働く人々にとって職場の在り方を見直す契機となり得る。

発表の詳細は、同社の公式リリース(PR TIMES)やSNSで確認できる。

※国土交通省「トラック運送業の現況について」

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