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燃える!泣ける!アメコミ好き「じゃなくても」絶対に観るべき映画『スーパーマン』が傑作である理由【ネタバレなし】

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燃える!泣ける!アメコミ好き「じゃなくても」絶対に観るべき映画『スーパーマン』が傑作である理由【ネタバレなし】

予習不要!誰でも楽しめる新スーパーマン映画

ついに新たな『スーパーマン』映画をこの目で観ることができる。その注目度は“24時間で2億5000万回も再生された”予告映像でも痛感させられたが、これまで数々の傑作を生み出し、またそれぞれの人気を立て直してきたジェームズ・ガン監督は、むしろ“アメコミ映画ファン以外”にも訴えかける普遍的なヒーロー物語を作り上げた。

たとえばガン監督の手がけたマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)をきっかけにアメコミ映画にハマったという人は少なくないだろう。そしてDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)はR15指定にもかかわらず、個性的なキャラクターたちの魅力でヒットを記録した。

いまやDCスタジオの共同責任者でもあるガン監督ほど新生スーパーマン映画に相応しい人選はなく、本作は壮大なアクションエンタメ大作として純粋に楽しめる仕上がり。もちろん“DCユニバースの新たなる幕開けを告げる記念すべき1作目”としてアメコミファン視点で観ても、過去作や今後のDCユニバースとの関連を深掘りする楽しみが散りばめられているので満足度が高い。もちろん、「これまでスーパーマンに触れたことがない」「観たことはあるが特に好きではない」という観客も大満足させてくれるだろう。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

そもそも本作は「スーパーマン誕生秘話」とか「その存在を人類に初お披露目」とかいった“もったいぶり”が皆無で、すでにスーパーマンに何度も窮地を救われている世界として存在している。1978年版『スーパーマン』が1時間かけて描いたことすら、わずか数分で観客に飲み込ませてしまう演出はスカッと清々しい。

私たちと同じように傷つき苦しむ“普通の人”なスーパーマン

スーパーマンといえば、全てのヒーローの原点にして、頂点。1978年から始まる初代スーパーマンを演じたクリストファー・リーヴの“クラーク・ケント⇔スーパーマン”表現は見事だったし、ザック・スナイダー版の『マン・オブ・スティール』(2013年)~『ジャスティス・リーグ』(2021年)でもその出で立ち、そしてスーパーパワーから“最強の異星人”として、“完全無欠”な畏怖の対象としても描かれていた。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

かたや今回の新生スーパーマンはスーパーパワーを持つヒーローではあるものの、ヴィランに殴られれば皮膚だけでなく骨や内臓も損傷するし、苦痛にうめき声をあげる。なにしろ登場シーンからしてボロボロ。もちろん人間同士の戦争を単独で阻止するほどの力はあるが、まったくもって「完全無欠」な存在ではない。

同時に、他国の戦争を止めても“勝手に介入して無責任だ”と叩かれ、冷たい視線を向けられ、SNSでディスられまくる。あまりにも人間味のある存在感は、これまでアメコミ映画に触れたことがない人でも感情移入が容易く、だからこそ彼をサポートする存在が不可欠だし、それが物語の大きなテーマにもなっている。

恋人ロイスがスーパーマンをガン詰め! あの同僚たちも大活躍

大手メディア<デイリー・プラネット>の記者でありクラークの恋人でもあるロイス・レイン(演:レイチェル・ブロズナハン)は、彼の両親に次ぐ良き理解者。本作のロイスは恋人クラークがスーパーマンだと知っているので、なんの遠慮もなく記者としてガン詰めする。

「戦争を止めたんだ!」と声を荒げるスーパーマンの姿は、その“人間らしさ”に心が揺さぶられるだろう。とはいえ真剣なシーンであっても、巨大モンスターをロマンチックな演出の背景として駆り出したりするところは、いかにもガン監督らしいユーモアだ。

『スーパーマン』©︎&TM DC ©︎2025 WBEI
IMAX®︎is a registered trademark of IMAX Corporation.

また、スカイラー・ギソンド演じるジミー・オルセンはクラークの良き同僚として、またギャグ要員ポジションとしても大活躍。なにかとクラークに因縁をつけるウザい同僚スティーブ・ロンバードは、「サタデー・ナイト・ライブ」出身のベック・ベネットが演じるだけにドタバタ感がすさまじく、観客に大きな笑いと「???」を刷り込んでくるので要注目だ。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

クセ強な“緑色”ヒーローとは? あの悪役はどう描かれる?

もう一人、本作のユーモアを大きく担うのがグリーン・ランタンことガイ・ガードナーで、金髪オカッパ頭が特徴。「ガイ・ガードナーって誰?」な人にとってはとっつきにくいキャラデザインかもしれないが、最後には彼の大ファンになること間違いなしなのでご安心を。

そんなガードナーの所属する<ジャスティス・ギャング>は、同じくジェームズ・ガンが手掛けるドラマ『ピースメイカー』シーズン2へとつながっていく重要な存在で、ミスター・テリフィック(演:エディ・ガテギ)の無双ぶりは本作のハイライトの一つ。イザベラ・メルセドのハスキーボイスがどハマりなホークガールも“ここぞ!”な活躍を見せ、今後ファンが爆増すること間違いなしだ。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

生粋のオタク体質で知られるガン監督だけにアクションシーンはコミック由来のケレン味たっぷりで、思わず握り拳な展開が満載。そもそも監督自身がスーパーマンの大ファンであるからこそコミックへのリスペクトが感じられるし、スーパーマンの相棒でもあるスーパードッグ<クリプト>の存在もスパイスとして効いていて、ファンが急増しそうな愛らしさ。なかなか荒唐無稽なワンパクぶりを見せてくれるが、その存在はクライマックスへの大きなフリにもなっているので注視しておこう。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

なお、公式玩具の販売CMによって「新作のヴィラン判明か!?」と噂された“KAIJU(怪獣)”もイイ仕事をしてくれるのだが、もちろん真の敵は悪の天才科学者レックス・ルーサー(演:ニコラス・ホルト)。これまでジーン・ハックマンやケヴィン・スペイシー、ジェシー・アイゼンバーグら錚々たる俳優が演じてきた名悪役だが、本作では時代を反映したであろう「粘着的にスーパーマンのことを忌み嫌っている」感がかなり強め。とはいえ、そんな人物にすら「完全に嫌いになれない」感情移入の余地を残しているのがガン監督らしさであり、複雑な人間性を描くことで単純な分断構図を避けようという狙いも感じられる。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

「何を選び、何をするのか、それが本当の自分を決めるんだ」

本作に対して当初、ガン監督らしいシニカルさで“暴走する正義”(という詭弁)にスーパーマンを当てはめたのかな……という危惧もあったが、まったくそういうことではなかった。スーパーマンが心の底から叫ぶ「命が奪われているんだ!」という言葉、その行動原理に勝る政治的・道徳的レトリックなど存在しないのだから。

「正しい・善いこと」を真正面から訴えるのがスーパーマンであり、それこそがスーパーパワーの使いどころじゃないのか? ――本作はそんな想いを、いまやあらゆるフィクションを超えてガラガラと崩壊していく世界に対する抵抗と祈りを、精一杯のユーモアを交えて投げかける。

傷つき帰省した息子クラークに対し、父ジョナサンが言う「何を選び、何をするのか、それが本当の自分を決めるんだ(Your Choices, Your Actions, that’s what makes you who you are)」という言葉に、この映画の本質が詰まっている。ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲がどこで流れるのか、そして本作から新たに始まる今後のDCユニバースがどうなっていくのか、大いに期待しつつ鑑賞してほしい傑作だ。

『スーパーマン』は7月11日(金)より日米同時公開

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