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「もう一年もらえたチャンス」チームのために声を出し走り続ける【FC琉球 新シーズン開幕前 特別企画#3】高木 大輔 選手(29)

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2月15日に新シーズンの開幕を控える、サッカーJ3リーグのFC琉球。【新シーズン開幕前特別企画】と題し、J2返り咲きを目指す選手やスタッフの想いをシリーズでお伝えする。

第3弾は、今シーズンから副キャプテンを務める高木大輔選手(29)。17歳のとき東京ヴェルディにプロ入りし、レノファ山口FC、ガンバ大阪と、J1・J2の舞台を渡り歩いてきた。 神奈川県横浜市出身の高木選手は、言わずと知れた「高木三兄弟」の三男。2人の兄もプロサッカー選手で、互いに刺激し合いながらそれぞれの舞台で活躍している。物心ついたときから生活の一部にサッカーがあり、「兄たちがきっかけでサッカーを始めざるを得ない環境だった」と朗らかに話す。13年目となるキャリアの中では、プロの厳しさに直面し苦悩や葛藤を抱えながら過ごす時期もあった。昨シーズンFC琉球に加入し、「今すごく幸せなサッカー人生を送れている」と本気で戦える居場所があることに喜びを感じていた。

チームのために声を出し続ける

広い練習グラウンドに響き渡る大きな声。澄んでいてかつよく通る声のほうに目を向けると、仲間を励ましながらチーム全体を鼓舞する高木選手の姿があった。 「たくさんの選手に言われるのが、“高木大輔が5人いる説“。ピッチにいてもロッカールームでもトレーニングルームでも、どこにいても(高木選手の)喋り声が聞こえるみたいな。自分がうるさいのか、目立っているのか、何なのか分からないですけど、でもいいことなのかなと思いつつ」

新シーズンを戦う29人の選手のうち14人が新加入で、監督やコーチ陣も変わり、チーム全体が刷新された。 高木選手は昨シーズンから琉球で戦ってきた一人として、チームの雰囲気作りに努め、士気を高めるために引っ張っていきたいと考えていた。 「新加入の選手ともコミュニケーションをいっぱい取れた。最初はみんな気を遣いながらやっているところもありましたけど、蓋を開ければいい選手も多いし、若くてフレッシュな選手もいれば、経験のある選手も入ってきているので、そういった面ではすごく楽しみなチーム」 若い選手が多く加入した中、チームの中でも年長となった高木選手は「負けないようにしないといけない」と気を引き締める。 自身の性格として、「自然と声を出している」と話す高木選手。父親には「声を出すことが(高木選手の)良さだし特徴だから、どれだけ自分がしんどくても、味方を鼓舞する声は絶対に止めるな」と言われているそうだ。 「新体制が始動したばかりの頃は、平川監督にも“とても助かっている”と言ってもらえた。監督も琉球に初めて来た方でしたし、監督・コーチングスタッフ含め全てが変わった中での“繋ぎ役”になれたのかな」 ベテラン・若手関係なく、みんなが声を出し合うこと、言い合うこと、求め合えることができるようなチームにしたい…。 「一声で変わる場面がある。一声で点が入る、点を守れる、ピンチを防げるということがあるので、積極的になってほしいなというのは正直感じますね」

ときには叱咤激励をすることも。「優しく言うことだけが優しさではない」と、後輩への愛情が滲み出る場面。

“エンブレムのために戦えるか”

平川監督やコーチ・スタッフ陣がこれからの一年を通して「選手たちに求めるもの」として、「琉球のエンブレムのために戦えること」に最も重点を置いている。

新シーズンから副キャプテンとしてチームを引っ張る役目を任された高木選手は、現時点のチームに対しどのように感じているのだろうか。 「まだもう少し足りないかな。今は開幕前なので、開幕したときに全員がその方向に向かっていればいいなと思います。僕は本当に誰よりも強い気持ちで戦いたいなと思います。苦しいときに手を差し伸べてくれたFC琉球に対しての想いというのが、やっぱり強いものがありますから」

「サッカーを辞めて、別の道に進もうという考えがあった」

一昨年まで所属していたレノファ山口FCからの契約満了を突き付けられ、戦えるチームがなくなる苦境に立たされた。 プロサッカー選手としての今後が見通せない中、「練習に参加しないか」と高木選手に声を掛けたのがFC琉球だった。 「昨季の監督の金鍾成(キン・ジョンソン)さんやコーチングスタッフ、昨季にいた選手を含めて、すごく温かく迎え入れてくれて、自分を出しやすい雰囲気を作ってもらえた。このチームがすごく好きだなというか、このチームでサッカーをしたいし、このチームでまだまだ成長したいなと思えた」  FC琉球と正式に契約し、新たなスタートを切った昨シーズン。チームとして目標に掲げていた「J3優勝、J2昇格」を果たせず、「個人としても、最終的にはチームとしてもいい結果を残せなかった」と振り返る。 新シーズンもFC琉球で戦える喜びと感謝の気持ちを胸に、高木選手は「もう一年もらえたチャンス」で結果を残せなければ先はないと、自身を奮い立たせている。 「練習中から結果にこだわりたい。それを試合に反映できたらいいと思うし、自分が試合に出る出ない関係なく、琉球のためにできること、沖縄のサッカーの発展にできることがあるから、率先してやっていきたいなと思っています」

J2昇格へとつながるチームづくりを!

チームの悲願であるJ2昇格を絶対に成し遂げたい。「誰か一人でもぶれていたらどこかで綻びが生じる。本気でチームの勝利のために、仲間の背中を押し合えるようなチームづくりをしたい」と、高木選手の視線は既に“頂点”を見据えている。 一人の選手として、このような目標を掲げている。 「試合に出続けること、コンディションを整えて試合に出続けること。ゴールやアシストを求められるポジションだと思うので、もちろんゴールだけで10点取れたら理想ですけど、ゴール・アシストを含めて10点以上絡めるようにしたいなと思う。キャリアでまだ10点取ったことないので」 30歳の節目を迎える今年、沖縄の地からさらなる成長を目指して新シーズンに臨む。 波乱曲折のプロサッカー人生、これまでに味わった様々な感情、そしてFC琉球へ抱く強い想いと感謝。赤裸々に語ってくれた高木選手。 「チームのためにできることっていっぱいあると思うので、とにかくチームのために全てを捧げたい。身を粉にして、何でもしたいなと思っています」 その姿を見てもらいたいと話す笑顔の背景には、13年間のキャリアの中で積み重ねてきた経験と責任、そして何より「チームのために」という高木選手の熱い想いが溢れていた。

【取材の一コマ】高木選手は園児たちに大人気!!!

園児たちにハイプレスをかけられる高木選手

この日、練習の見学に来ていたのが、豊見城市内のこども園の子どもたち。チーム練習の終了後、積極的に声を掛けて子どもたちを芝生に招き入れ、一緒にサッカーを楽しむ姿が見られた。 その親しみやすさから子どもたちからの人気ナンバーワンを誇る高木選手。練習中には、誰よりも声を出す高木選手に、「たかぎせんしゅ、がんばれ~!」とのかわいらしい大声援が送られていた。

「背番号89」や高木選手のグッズを身に着けている方を見つけたら、このポーズを贈るそう!

取材・執筆・撮影:沖縄テレビ報道部記者 山城志穂

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