いつまで続く?出勤前の登校付き添いに葛藤…小5娘が一人で登校できた意外なきっかけ
監修:初川久美子
臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
「学校に行けない」状態から、付き添い登校へ
次女が小学校への通学を再開できてからは、次女の希望で朝はずっと付き添い登校でした。
私自身仕事もあったので、毎朝次女に付き合って登校するのは負担に感じていましたし、正直いつまで一緒に登校するのか?やめ時はいつなのか?というのがよく分かりませんでした。
結局、次女の気持ちを最優先にして、次女が納得いくまで付いていくしかないと思い、付き添い登校を続けていました。
運動会の練習を機に、朝起きられなくなってきた次女
5年生の1学期から五月雨登校ながらもなんとか学校に通っていた次女。夏休みでゆっくり休めて、2学期は比較的スムーズに登校することができていて安心していました。
ただ、運動会の練習が始まってからは、胃痛を訴えるようになったり、朝起きられなくなってきたりと、あまり良くない状態が続くようになりました。
それでも、次女の休みは増えることなく(週1回くらいでキープ)、なんとか運動会の練習に参加することはできていたし、運動会自体は楽しみにしていたのでした。
私が見ている限り、この時の次女は以前より少し身体面でも精神面でも体力がついてきたように感じていたので、心配ながらも見守っていくことにしました。
朝起きられないことで険悪な雰囲気に…
次女が不安ながらも運動会を楽しみに練習を頑張っていて、でも疲れて朝起きにくくなっているというのは見ていてよく分かりました。ただ、次女が朝起きられずに出発時刻が遅くなると、私が仕事の時間に遅れてしまうことになります。それでは困るので、次女に私の仕事のことも伝え、少し早めに起こすことに。
次女もそのことについては理解してくれていましたが、私が焦ってイライラしていると、次女も急かされていることでイライラ……。朝の時間が険悪なものになってしまったのでした。
今となっては、疲れている次女に対してもっと余裕をもった対応ができれば良かったと思いますが、この時は変わらず五月雨登校が続いている次女の状況をストレスに感じていたり、仕事への責任感もあったりで、どうしても余裕のある対応ができませんでした……。
次女が一人で登校するようになったきっかけ
そんな中、次女が一人で登校するようになったきっかけは、私の寝坊でした。
朝に大寝坊をしてしまい、「このまま次女を送って行ったら確実に仕事に間に合わない……!」となり、次女に一人で行けるか聞いてみたところ、少し戸惑った様子でしたが了承してくれました。
こうして5か月ぶりくらいに、次女は一人で学校へ行くことになりました。翌日の朝、一緒に登校しようと次女を誘うと、「大丈夫、一人で行ける」とここで急に付き添い登校が終わりを告げることになりました。
その後…
最初は、イライラしていた私に気を遣っているのかな?無理してないかな?と思い、何度か次女と話し合いましたが、「もう大丈夫」と。
ストレスを感じながらも運動会を無事にやり遂げ、その後も現在まで一人で登校を続けています。
たまたまの無理やりなきっかけでしたが、次女の気持ちを切り替える良い機会になったようでした。このきっかけがなかったらいつまで付き添っていたのか、何をきっかけに変化が訪れていたのかは全く分かりませんが、なにかしら良いタイミングだったのかもしれません。
人生ではじめて、寝坊して良かったと思いました!
執筆/まりまり
(監修:初川先生より)
付き添い登校の終わりについてのエピソードをありがとうございます。五月雨登校や付き添い登校は、まりまりさんも書かれているようにいつまで続くんだろうか……と大人が焦ったり、途方に暮れたりすることもあると思います。朝は大人も子どもも気持ちに余裕がないことが多く(だって、これから長い一日が始まるので、よほど楽しみであれば別ですが、そうでないなら、おっくうな気持ちがあることも多く、ましてや行きたくないなぁという気持ちがあるとなおのこと。そして大人の場合仕事は責任が伴うので時間を気にする度合いが高まりますね)、落ち着いている時なら話し合えることも、ついとげとげイライラつんつんしてしまうこともあるでしょう。
さて、次女さんの場合には、まりまりさんが予期せぬ大寝坊をしたことをきっかけに一人で登校できるようになったとのこと。わざとではないその大寝坊が奏功したのでしょう。そして、一人で行ってみたら意外と大丈夫だったからこそ、翌日以降も一人で行けたと感じます。そこまでの付き添い登校でエネルギー的にも十分に充電されていたのだなと感じます。もし、一人で行ってみて、とてもつらい思いをしたというのであれば翌日はまた付き添い登校になるかもしれないですし、もしかしたら休みたいと言うかもしれません。こういう局面では、予想しきれない、想定しきれない要素がたくさんあるので、単に保護者が寝坊したらお子さんが一人で登校できるというほどの法則性はないでしょう。何がきっかけでお子さんがステップアップするかは、予想しきれないですが、しかし、一つ言えるのは、ずっと同じことが永遠に続くほうがよほど難しいというか、良くも悪くも何かしらハプニングやぐんと成長するタイミングが来るのではないか、という感じがします。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。