フランス人醸造家が仕掛ける南房総の酒蔵インバウンドツーリズム CHIBAビジコン2024「ちいき新聞賞」受賞
海岸線から約1.5km、周囲には、田んぼや畑が広がる「海岸醸造」。2022年からここでビール造りに励むフィリップさんは、醸造所を起点にした観光ツアーを企画中です。
※CHIBAビジコンちいき新聞賞とは…千葉県発の起業を応援する「ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション」。ちいき新聞賞は、その中でも「ユニークなアイデアで地域社会につながりをつくるビジネスプラン」を選考基準としています。
クラフトビールに魅せられて
「私が生まれ育ったフランスでお酒といえばワイン。ワインはブドウが育つ土壌や風土によって個性が変わる興味深い飲み物です。クラフトビールを初めて飲んだ時に、ワインと同じ魅力を感じました」と目を輝かせて語るのは、「海岸醸造」(千葉県南房総市安馬谷218)オーナーのフィリップ・ギュレさん。
ビールの材料は、酵母・麦芽・ホップ・水が基本。
しかし、麦芽の種類や配合、酵母を造る温度、ホップを入れるタイミングなどにより、その味わいは変化します。
そんなクラフトビールの奥深さに魅せられ、2019年に下北沢にビアバーをオープン。
さらに自身でも本格的にビール造りに取り組みたいと、別荘として所有していた古民家と蔵を改修し、仲間と一緒に醸造家としての道を歩み始めました。
現在は定番5種と期間限定品を展開。
「近隣で採れた野菜や果物も活用しています。この前は、ご近所さんから頂いたしいたけを使ったポーター(黒ビールの一種)に挑戦しました。どんな味か想像つかないでしょう?」といたずらっぽく笑うフィリップさん。
しいたけのうまみが意外にマッチし、好評だったそう。
自然・食・人…魅力を体感
自由な発想でビール造りを楽しむフィリップさんは現在、新たなアイデアを企画中です。
「醸造所の見学希望者が増えてきたので、出来立てのビールが味わえるタップルームを併設しました」。
そして南房総の観光資源にも着目。
「絶好のサーフポイントがあり、歴史あるお寺もあり、おいしい魚や野菜もたくさん。海外から大勢の観光客が日本に来ていますが、この魅力を知らないなんてもったいない」と熱を込めます。
5月末のタップルーム完成を機に、醸造所見学の受け入れも本格化。
今後は、周辺の酒造所や観光施設、宿泊施設と連携を進めていきます。
「国内からの参加も大歓迎。むしろ、千葉の人にこそ南房総の良さに気付いてほしい!」。
朗らかな人柄のフィリップさんとの交流も、このツアーの目玉となりそう。