どうする?災害時のペット同行避難。ペットフードやトイレなど、日頃から備えておくべきことを防災士に聞きました。
最低7日分。食欲不振に備え、嗜好性の高いペットフードも
災害時、大切な家族の一員であるペットとの避難について、静岡県災害時動物愛護ボランティアリーダーで日本防災士機構の防災士、久永公子さんにSBSアナウンサー新城健太が話を聞きました。※2024年3月5日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。新城:まず、静岡県災害時動物愛護ボランティアリーダーについて教えてください。
久永:災害発生時に避難所のペット飼育に関する課題を解決し、飼い主や避難所運営者と行政の仲介役となる役割があります。静岡県が養成し、23市町で89人が登録しています。
新城:災害に備えてペット用品や食料はどれぐらい必要ですか。
久永:最低でも1週間分ですね。被災すると人もペットも食欲が落ちるので、嗜好性の高いペットフードを準備しておくことが大切です。
ペットに持病がある場合は予備の常備薬を準備し、療法食のローリングストックをお願いします。健康なペットでもフィラリア症やノミ・ダニ対策が必要です。
日頃からケージやキャリーバッグでトイレができる訓練を
新城:ほかに準備しておきたいことは?
久永:まず、飼い主が助からないとペットの命が守れないので、家屋の耐震化が重要です。家具や電化製品、ピアノなどを固定してください。
ペットと共に避難するため、日頃からクレート(箱型の移動に使えるハウス)やキャリーバッグに入る練習や、クレートやケージ(柵で全面が囲われている据え置き型のハウス)に入ったまま食事やトイレができる練習も必要です。
受け入れ可能な避難所を調べておく
新城:静岡県は飼い主がペットと一緒に避難する「同行避難」を求めていますね。
久永:まずは避難所がどこにあるのか調べてください。風水害や地震など、災害の種類によって避難場所が違う場合があります。
新城:避難所でペットを受け入れてもらえるかが重要なポイントですね。
久永:避難場所にペットを連れていってもよいのか、役所の危機管理や動物愛護関係の部署に確認をお願いします。
避難先で求められる飼い主のマナー
新城:避難先で飼い主が気を付けたいことは?
久永:避難者にはペットが苦手な人やアレルギー症状を持つ人がいると思います。好奇心からペットに興味を示して、不用意に手を出してくる子供もいることを覚えておいてください。
飼い主のマナーも求められます。車中泊を選択する人がいますが、これには夏場だと熱中症やエコノミークラス症候群などのリスクがあることを心に留めておいてください。
避難訓練はぬいぐるみと一緒に
新城:ペットとの同行避難の訓練は行われていますか。
久永:静岡県動物保護協会のホームページを見ると、県内でも行われていることが分かります。ただし、訓練にペットを連れて行くと参加者に驚かれることがあるので、例えばぬいぐるみをクレートやキャリーバッグに入れて参加してみるのも手でしょう。参加者には「ペットも避難するんだ」という気づきにもつながるでしょう。
災害後はペットの心を落ち着かせるケアを
新城:ペットへの災害後ケアについて気をつけることはありますか。
久永:まずは飼い主が心を落ち着かせることです。普段の生活でも飼い主の不安や悲しみ、辛さなどはペットに伝わってしまいます。なるべく、いつも通りの態度、言葉掛けで「大丈夫、大丈夫…」という感じで、ペットに接していただくのが、身近なケアにつながります。
新城:ペットの災害対策はどこに相談すればよいですか?
久永:市町の危機管理や動物愛護担当の部署に問い合わせてください。持病のあるペットの場合は、かかりつけの動物病院に相談するのもよいでしょう。
新城:もっと知識を深めたいという方に向けた情報サイトなどはありますか?
久永:例えば「防災 ハムスター」と検索するとさまざまなサイトが出てきます。基本的な知識は環境省、静岡県動物保護協会、静岡市の動物指導センター、浜松市の動物愛護教育センターのホームページから得られます。
新城:この機会に災害への備えを見直していただきたいですね。ありがとうございました。今回お話をうかがったのは……久永公子さん
静岡県災害時動物愛護ボランティアリーダー、日本防災士機構の防災士。磐田市在住。