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猫への『虐待』につながる飼い主のNG行為5選 実際に法律違反になる場合も

ねこちゃんホンポ

1.暴力行為

猫に対する個人的な感情を根拠として、殴る蹴るなどの暴力行為をすれば、それは虐待そのものです。こうした行為は、動物愛護管理法にもとづいて処罰の対象となり、罰金や懲役が科されることがあります。

気を付けたいのは「しつけ」と称する暴力です。このような暴力をあえてやろうとするわけでもなく、飼い主がよかれと思って猫を苦しめる行為を行うことが少なくありません。

たとえば、トイレを覚えていない猫の粗相や未去勢猫のマーキング行為に対する暴力的なしつけなどです。これは、猫の本能的行動であり、殴って治るものではありません。

また、いかなる理由があっても暴力行為は絶対に許容されないことを念頭におくべきです。

2.極端な栄養不足や水分不足

猫に必要な食事や水を与えず、栄養不足にさせることは、ネグレクト(飼養放棄)という虐待にあたります。

これらの虐待が起きる背景には、所有者の経済的困窮が主な要因にあります。

特に飼い主の収入が不安定な場合には、十分なケアができずに猫がその被害を受けることがあるのです。これは、単身の高齢の方が猫を飼っている場合や病気やけがで働けなくなった状態でおこりやすくなります。

また、経済的に猫の飼育が可能であっても、仕事などで忙しくて世話をする時間が取れない場合や、飼い主自身が痩身美容に強くこだわっている場合などがあります。飼い主の都合だけに合わせる目的で、猫の食事量を意図的に減らす行為は、結果的に虐待につながるおそれがあります。

3.長期間の閉じ込め

猫は、適度な運動や探索行動が必要です。狭いケージに何日も閉じ込めたままで、自由に動けないまま飼育を継続することは虐待行為にあたります。

飼い主が仕事などで不在の家庭では、ケージが使用されることがあります。ケージには、さまざまなサイズがあり、通常市販されている2段3段の猫用ケージであれば十分な上下運動が可能ですし、飼い主の在宅中に開放しているなら特に問題ありません。

しかし、移動用のクレートなど、なかで猫が十分に身動き取れない環境に長時間閉じ込めておくことは、猫を苦しめる行為です。ストレスによって異常行動(過剰グルーミング、無気力、攻撃性の増加など)を起こすこともあります。

4.不適切な飼育環境

猫を飼う以上、大量の抜け毛や毎日の排泄物を掃除する必要があります。清潔を保つ行動を怠り、劣悪な状態で猫を飼った場合には虐待とみなされます。

猫が1匹2匹の飼育状況では、通常一日程度の掃除を怠ったくらいで不適切とまではいきません。もちろんトイレは猫にとって不快な状況になりますが、翌日の掃除で容易に解決する問題です。

しかし、多頭飼育で長期間に清掃がされずに排泄物が溜まり、悪臭や害虫が発生するような状態では、不適切な飼育環境と見なされます。どの程度の期間で虐待と判断されるかは、飼育している猫の数や環境の汚れ具合にもよりますが、衛生状態が極端に悪化して、猫が病気や栄養失調になるような場合には、飼育放棄として虐待と判断される可能性があります。

5.遺棄(捨てる)

人の手で管理されていた猫が、屋外へ遺棄されると食糧の確保や外敵からの身を守る術がなく、衰弱や事故、飢えによって命を落とす可能性が高くなります。このような事件は、いまだになくならないのが現状です。

猫を捨てる人の言い分の多くは、「世話が大変」「転居先で飼えない」「懐かない」「家族がアレルギーになった」「問題行動がひどい」など、いずれも自分勝手な言い訳ばかりです。

いかなる理由であれ、猫を遺棄することは虐待です。動物愛護管理法に基づき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられることがあります。

本来、猫をはじめとした愛玩動物は終生飼養が基本です。しかし、自分ではどうしても飼えなくなった場合には、安易に外へ放つのではなく、猫を最後まで大切にしてくれる新しい飼い主を探すことは、飼い主の責任であり義務です。

まとめ

猫を飼う以上は、愛情だけでなく猫の命と健康を守る責任が発生します。虐待行為はさまざまな形で現れますが、どんな理由があっても猫を傷つけたり、無責任に放置したりすることは許されません。

しつけと称した暴力、栄養不足や閉じ込め、不適切な環境や遺棄などは、いかなる理由であっても虐待です。これらの行為の背景には、飼い主側の管理のなさが問題となります。

法の違反やその罰則がいくらかではなく、猫であっても家族の一員として、最後まで大切にし、適切な飼育を行うことが飼い主の義務であることを忘れてはなりません。

猫を飼う前から「飼えなくなった場合」を気楽に考えるべきではありません。適切な環境で可能な限り終生飼育をする努力をすべきですが、人の生活も予定通りにはいかないものです。

本意ではない状況下でやむを得ず飼養が困難になることも想定し、飼う前に万が一があった場合に代わりに飼育してくれる「後見人」を探しておくべきでしょう。

それができない場合や後見人が事前に見つからない場合も、適切な方法で新しい家族を探し、大切な命を決して放置や捨てることはしないようにしましょう。


(獣医師監修:唐野智美)

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