植物に好き嫌いがある!? 光合成で使われやすい光の色とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】
Q 光合成は、どんな光で行われる?
A 植物は赤と青の光が大好き
太陽光はさまざまな色の光からできていますが、基本的には光の3原色とよばれる赤、青、緑の光からすべての色の光がつくりだせます。光合成で使われる光もこの3色で考えればよいことになります。実験によれば、光合成には、いわゆるゴー・ストップの色、赤と青がよく使われ、緑はあまり使われないことがわかっています。
赤や青の光は、植物が光合成をするエネルギーとなります。緑の光は葉の表面で反射して、葉が緑色に見える原因となります。さらに緑色光は、葉の中をジグザグと寄り道して葉の外へと出ていきます。この寄り道の際に、一部は光合成のためのエネルギーとなります。
光合成は、葉の中で起きている化学反応です。根から吸収した水分と、空気中から吸収した二酸化炭素で、太陽光のエネルギーを使って糖分などの栄養分と酸素をつくります。葉の中には、葉緑体(クロロプラスト)とよばれる緑色の粒が無数にあり、その中で光合成が行われています。葉緑体の中にクロロフィル(葉緑素)が多数あり、光のエネルギーを吸収する役割をもっています。
光合成を詳しく調べると、「明反応」と「暗反応」分けられます。明反応には光が必要で「光化学反応」といいます。暗反応は光を必要としない反応です。暗反応は、「カルビン・ベンソン回路」ともよばれています。
明反応で水が分解されて酸素とエネルギーが出てきます。このエネルギーは暗反応で使われ、取り込まれた二酸化炭素から糖が合成され、エネルギーもまた出てきます。この時のエネルギーがまた、明反応で使われるというように、葉緑体の中で2つの反応がうまく回っていることが光合成の正体です。
葉が緑に見えるのはなぜか
緑色に見える= 緑色の光が反射する
葉が緑に見えるのは、緑の光が葉で反射されるため。また、葉の中を寄り道したり、素通りしたりするが、寄り道した光は、光合成のエネルギーとなる。青や赤の光は葉の葉緑体の中に多数あるクロロフィルに吸収されて光合成のおもなエネルギーとなる。
光合成は、葉の中の葉緑体で行われている
右図の葉緑体の中に、チラコイドとよばれるものが多数あり、その膜の中にクロロフィルがある。ここで 明反応が行われ、糖をつくるエネルギーを出す。
①明反応で酸素とエネルギーができ、それが暗反応で使われて糖が合成される。
②暗反応で起きている反応をカルビン・ベンソン回路という。
すごい!光エネルギー
光が強いと、葉緑体がダメージを受けるので、光を受けすぎないように光から逃げる。葉緑体がこうした微調整を行うことにより、光合成は滞りなく行われる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋