「誰でもおいしく食べられるブラックラーメンを!」とんこつベースでゼロから作り上げた高岡の新しい富山ブラック【らぁめん次元】
麺が見えないほど真っ黒な醤油スープが特徴の富山ブラック。
戦後、富山市のまちなかを復興する肉体労働者らが持参する白飯と一緒におかずとして食べて人気となり、名物となった富山のご当地ラーメンです。
そんな成り立ちから、富山ブラックが好まれるのも富山市が中心。実は富山県西部ではあまり馴染みがなく、ブラックラーメンを提供する店は数えるほどしかありません。
その数少ない県西部のブラックラーメンの中で大きな人気を博しているのが、高岡市にある「らぁめん次元」のもの。客からのリクエストをきっかけに3年がかりで完成させたというブラックラーメンは、県外からの観光客や富山ブラックに馴染みが薄い高岡の地元民にも愛されています。
店があるのは、あいの風とやま鉄道やJR氷見・城端線が乗り入れる高岡駅前の複合施設「ウイング・ウイング高岡」の1階。ブラックラーメンの大きな写真と漫画「左ききのエレン」のイラストが目を引く店構えです。
店内はカウンター席に、小上がりのテーブル席が4つ。
おひとり様から家族連れやグループまで、誰でも入りやすいお店です。
ゼロからレシピを完成させたブラックラーメン
こだわりは ほんのり甘みを感じるマイルドなスープ
黒醤油ラーメン 800円
こちらが「らぁめん次元」の富山ブラック。その名も黒醤油ラーメン。
麺が見えないほど真っ黒なスープに、どっさりのったネギ、分厚いチャーシューにメンマ、そして全体を引き締める黒コショウ… 見た目こそ富山ブラックの定番を踏襲していますが、スープをひと口ふくむと、そのオリジナリティがわかります。
実はこのスープ、見た目の真っ黒な印象とは裏腹に、まろやかで、ほんのり甘いんです。最初のガツン!とくる醤油の味こそ、富山ブラックの魂を感じますが、その塩辛さはどことなくマイルドでコクが深く、やさしささえ感じます。
とんこつスープをベースに、焦がし醤油とチャーシューの煮込みダレをあわせたというレシピは、完成までに3年の月日を費やしたんだとか。
そんなスープに合わせるのは、特注のちぢれ麺です。
水分量が多い多加水麺で、スープを吸いにくく、時間が経ってものびにくいのが特徴。小麦の香りともっちり感を長く味わうことができ、女性や子供、お年寄りなど、食べるのがゆっくりな人でも最後までおいしく食べられます。
スープの要ともなっているチャーシューは、しっかり煮込まれて中まで味がしみ込んでいます。ほろっとした食感に、濃厚な肉の旨み。ネギとの相性も抜群です。
「富山ブラックないの?」の声で生まれた
誰もがおいしく最後まで飲み干せるスープ
富山のご当地ぐるめセット 1150円
(黒醤油ラーメン+高岡名物コロッケ+とろろ昆布おにぎり)
「らぁめん次元」がオープンしたのは、2004年。
今でこそ看板メニューの黒醤油ラーメンですが、実はオープン当初のメニューにはなかったそう。出張や観光で訪れた県外客の「富山ブラックはないの?」という声をきっかけに開発をスタートしました。
ただ…
「初めて富山ブラックを食べたときに、あまりのしょっぱさに衝撃を受けたんです。正直言って、全部は食べられない味でした…」
こう語るのは、「らぁめん次元」の長徳俊彦社長。
当時から店を訪れる主な客は、ブラックラーメンに馴染みが薄い県外客や県西部の地元住民。ガツンとしょっぱいラーメンでは駄目だと考えた長徳社長は、ごはんがなくても、ラーメン単体だけでおいしく食べられて、最後まで飲み干せるスープを作ろうと考えました。
とはいえ、ブラックラーメンを提供する店で修業した経験はなく、ノウハウがまったくわからない中でのスタート。どうやってスープを黒くするのか?ということさえわからず、とりあえず醤油を煮込んではみたものの甘すぎてとても食べられない味に…。さらに、多くのブラックラーメンは鶏ガラ系のスープをベースとするのに対し、「らぁめん次元」のスープはとんこつ系。いくつもの醤油を試し、ブレンド具合やスープとの相性を考え、何度も試行錯誤を繰り返しながらようやく理想の味にたどりつきました。
さらに、白米ではなく「おにぎりも一緒に食べたい」というリクエストにも応えて、富山らしいとろろ昆布のおにぎりもメニューに追加。
高岡名物のコロッケも加わり、ご当地グルメの3点セットが人気となっています。
長徳社長のオススメは、ラーメンの中にコロッケをどぼん!と投入するコロッケラーメン。ラーメンスープは油分が多いためか、水分が染み込みにくく、長時間サクサク食感をキープしつつ、スープの旨みとコロッケのほくほくした甘みを同時に味わえるんだとか。
高岡で愛される「らぁめん次元」のブラックラーメン。伝統を重んじつつも革新的な味わいで、富山ブラックビギナーの方も最後までおいしく楽しめる味です。せっかくならご当地グルメをまるっと楽しめるセットで、富山を満喫してみるのもよいかもしれません。
店舗情報
【らぁめん次元】
住 所 富山県高岡市末広町1-8
ウイングウイング高岡1階
営 業 11:00~21:30(L.O. 21:00)
日曜は 11:00~18:00(L.O. 17:30)
定休日 月曜
(月曜が祝日の場合、前日の日曜は21:30まで営業)
記事編集:nan-nan編集部