政党にもっと文句を言っていい?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、7月29日の放送で自民党総裁選と立憲民主党代表選を取り上げ、政治ジャーナリストの角谷浩一が解説を務めた。どう伝えていくべきか、といったメディアの姿勢についても角谷が言及した。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「立憲民主党は泉健太代表の任期満了に伴う代表選挙について、9月16日の投開票を軸に検討に入りました。早期の衆議院解散が取り沙汰される中、9月20~29日の間に投開票が予定される自民党総裁選挙と同じ時期に行うことで埋没を避ける狙いがあります。泉代表、枝野幸男前代表の出馬が有力で、政権交代に向けた野党連携のあり方などが争点となりそうです」
長野智子「私たちは何を見ていけばいいのでしょうか?」
角谷浩一「投票権がない私たちは、党員でないので何もできません。自民党にも立憲にも。でもこの国のリーダーを決めるそれぞれの党の行方ですから、大いに考えて文句を言っていいはずなんです。なぜなら政党助成金は私たちの税金から出ているものですから。もっと『食わせているんだぞ』という気持ちになっていい、もっと政党に文句言っていいんです。ただ新聞が悪い、テレビやラジオが悪い」
長野・鈴木「はっ……」
角谷「いいですか? 誰が出(で)そうとか、派閥がなくなったと思ったら自民党では長老の皆さんが候補者を読んで飯食って、とか。元総理、総理経験者の人たちがね。派閥政治がなくなったら今度は長老政治じゃないですか。何やってんだ、という感じでしょう」
長野「それを追いかけまわしてね」
角谷「そう、『出るんですか、出ないんですか』と。(マスコミの)皆さんもやっている側でもいらっしゃるから言いにくいが、これが政治報道でしょうか。違う気がします。たとえば自民党なら政治とカネで解党的出直しだ、と言っている割に法改正も大したものは出してこなかったし。一方で『若手はなんとかやっているんです』というけど、変わらなければ意味がない。パーティーして、ペナルティ受けている議員もいてね。あまり悪いと思っていないんじゃないか、と。自民党はどう出直すか、という改革案を出してこい、と」
長野「はい」
角谷「そういうのを出した人が自民党総裁選に出ていい資格があるのでは、と。勝てればいいんですよ、というんだったら反省もなければ現状維持でいいっていうことでしょう。来年は自民党結党70周年なんですよ。70年間で何をやってきて、何ができて、何ができていない、どこを悪くしたか……、そこを謙虚にファクトチェックできない限り、耳障りのいいことを言う候補者がいろいろ出てきても何言っているんだ、という感じがするでしょう」
長野「『自民党の総裁になります』と立候補する人は、裏金の経緯も、何に使われたかもすべて明らかにしたところで改革していきます、というぐらい言ってくれないと、私は信用ならないです」
角谷「だから調子のいい話ばかり言うのではなく、自分たちがいかにここから出直すか、という出直し改革合戦をしてくれないと意味がないんです」
長野「でも私が言ったような人が候補に出た場合、選ばれないじゃないですか。有権者がそういう人たちがいい、と言っても何もできないわけですものね」
角谷「そこで興味を持たせるのがメディアの仕事ですよ。『どうせ私たちがやっても……』という気持ちになってはダメなんです。私たちは『この人に資格はあるか?』と、ひとりずつ吟味していかないと。いま言われている人、何人かいますよ。ただその人が本当に総理、総裁の器なのか。クリーンなのか、そうでないのか。やっぱりチェックをしなければいけない。大いに言っていいのでは、と思います」