泉区歴史の会 会報誌が創刊30年 調査・研究の場
泉区歴史の会の会報誌「郷土いずみ」が今年で創刊30年となった。会員らが「知られざる史実」を研究・調査し、発表する場だ。発刊して四半世紀以上が経ち、地域の貴重な資料としての価値が年々高まってきている。
同会は1994年、歴史同好会として約170人の大所帯でスタート。初代会長は西林寺(岡津町)の住職で仏教史学者の大橋俊雄氏が務めた。同誌は会員らの研究発表と活動報告をする「牙城」として翌95年5月に創刊。以来年一回発行を続けている。
昨年発行された30号に初代編集長による「創刊秘話」が掲載されており、戸塚歴史の会の機関紙「とみづか」がヒントになったとある。制作は会員たちの手によって丁寧に進められ、資料収集から執筆、編集、校正に至るまで、多くの手間と時間がかけられている。
ゆめが丘の文化財
内容は、横浜市各地や市外を紹介することもあるが、中心は泉区に置く。例えば昨今再開発が進む、ゆめが丘地区を取り上げた29号では、土地区画整理事業に伴い実施された埋蔵文化財の発掘調査の報告書を掲載。弥生時代後期後葉から古墳時代前期初頭の竪穴住居址などが発掘されたことを詳細に記している。
意外な戦争遺跡
また、今年は太平洋戦争が終結して80年の節目。当時のどかな農村地帯だった泉区にも戦争遺跡はある。26号では区内南部にオーストラリア人やアメリカ人女性が収容されていた外国人捕虜収容所があったことを、研究者の書籍を引用しながら紹介。女性たちは戦後、厚木飛行場に降りたマッカーサーが長後街道を通って横浜へ進駐する機に乗じて帰国の途についたという。
6代目会長・石井茂さんは「会員が調べたいこと、書きたいことが表現できる会報誌であり続けたい。より活気ある会にするため若い人も仲間になってほしい」と話す。
「郷土いずみ」最新の31号は泉区役所売店で販売。既刊号は泉図書館などで読める。
 
                 
      