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東広島の誇り 創業100年を超え今なお活躍し続ける企業を紹介【第2回】

東広島デジタル

スタンレー電気の技術を支える広島製作所

 東広島市は、江戸時代から、旧西国街道の要所にあたり、江戸期から明治期にかけて創業した事業所は多い。多くの困難を乗り越え、創業100年を超えた今なお活躍し続ける東広島市の企業をシリーズで紹介。東広島市を支えてきた長寿企業の特徴に迫る。(日川、繁澤)

1920年創業 スタンレー電気株式会社

自動車照明分野のパイオニア 「光」の技術支える広島製作所

 北野隆春が「北野商会」として創業したのが出発点。1933年に現社名の「スタンレー電気」になった。社名は探検家のスタンレーに由来し、「未知の領域を切り拓[ひら]く」という精神を表している、という。
 創業当初は、国産化が難しかった自動車用電球の開発に挑み、国内初となるヘッドライト用電球を生み出した。戦後は高度経済成長とともに事業を拡大し、ヘッドランプやリアランプ(尾灯)の生産を本格化させた。
 1970年代にはハロゲンランプ、90年代にはHID、2000年代にはLEDを実用化。省エネや長寿命という特性を強みに、自動車照明分野の新しい価値を切り拓き、国内外の自動車メーカーから信頼を集めていった。近年はレーザーヘッドランプや、有機ELといった次世代の先端技術にも挑戦し、世界をリードする存在へと成長を遂げている。
 こうした技術を支える拠点の一つが東広島市志和町にある広島製作所だ。65年、東洋工業(現マツダ)への納入を目指して広島事業所を開設し、69年に工場が完成。82年に新工場を建設した。2000年代に入ると、ランプ単体ではなく、電装品を組み合わせたフルサポートシステムの受注が増加し、製品の大型化を視野に工場を拡張していった。
 工場の再構築の結果、受注車種と生産能力が増え、売上高も伸長。いつしか、『広島製作所を見に行きなさい』という言葉が社内で飛び交うようになり、広島製作所は、スタンレーグループの中でも高く評価されるようになった。
 さらに、明るく清潔な工場内は、リクルーティングにも効果を発揮している。広島製作所は現在、約350人が働くが、半数以上は地元採用で、地域の雇用を支える存在になっている。
 スタンレー電気の特長は、デバイスから一貫して生産できる体制を持つ独立系企業であることだ。特定の自動車メーカーの系列に属さないことが強みで、世界20カ国以上に拠点を展開。照明技術は車載分野を越えて、赤外線関連機器や液晶バックライトにも広がっている。
 創業精神の「開拓の心」は、広島製作所にも脈々と息づいており、地域と共生しながら「光」の可能性を追求し続ける。広島製作所では「ランプシステムメーカーとして、東広島の経済を支える一翼を担っていきたい」と力を込める。

企業長寿の秘訣
一、技術革新への飽くなき挑戦
一、一貫体制の独立系企業
一、地域と連携する現場力

1906年創業 加賀友禅の店くろかわ

着物の魅力を発信する加賀友禅の店くろかわ

顧客との信頼関係大切に 着物の魅力伝える活動も

 東広島市志和町七条椛坂の「加賀友禅の店くろかわ」(黒川忠雄店主)は、来年120年を迎える老舗呉服店。創業者の黒川一二が西志和小学校の近くで商売を始め、当初は加賀友禅や東京友禅などを取り扱ってきた。
 県道の開通により人や車の流れが変わったため、1984年に店舗を県道沿いの現在地へ移転した。3代目となる現・黒川店主は、職人による手描きで自然の息吹を感じ写実的な加賀友禅に魅了され、専門店として歩んでいる。代々、店主自ら着物を選んで仕入れる姿勢を守り、母からの教えのもと、顧客に寄り添い、顧客との信頼関係を大切にしてきた。店には、約200色の加賀友禅のサンプルをそろえ、顧客が納得するまで選んでもらう。 2013年には、店舗近くに「きもの村」を開設。黒川店主の着物コレクション3000枚の中から毎月テーマを決めて月末に一般公開し、着物の魅力を伝え続けている。

企業長寿の秘訣
一 、顧客との信頼関係
二 、アフターフォローをしっかり行う
三 、オンリーワン商品へのこだわり

1912年創業 株式会社小泉新聞舗

地域との関わりを大切にする小泉新聞舗

地域とのつながりが原動力

 小泉順助・リエ夫妻が、郷田村(現西条町田口)で中国新聞の販売所を開設したのが第一歩。二人は、自転車でJR西条駅まで新聞を受け取りに行き、郷田村から呉市郷原まで、呉街道の左右に分かれて新聞を配達した、という。
 1934年、西条駅前に販売所を移し、2002年まで営業。その後、区画整理に伴い、現在の場所(西条本町)に店舗を構えた。1950年代には、新聞にチラシの折り込みを始め、70年代には専用の折り込み機を導入。85年には会社組織となり成長を続けた。
 大切にしてきたのは、地域とのつながりだ。戦後、2代目の藤野保は、販売所の中に市民の憩いの場となるコーヒーサロンを開設。3代目の鈴木常徳は地域情報新聞を創刊、現在も地域に情報発信を続ける。4代目の鈴木圭太現社長は「今後は、新聞販売の枠を超えた新しい事業に挑戦したい」と話す。

1890年創業 株式会社 立本醤油

志和の立本醤油

逆境乗り越え135年 新事業に挑戦

 立本醤油[たつもとしょうゆ](東広島市志和町・立本彰代表)は、1890年創業で、志和盆地の澄んだ空気と良質な地下水を利点に醸造、地域の食卓を支え続けてきた。かつては多くの醤油屋があったが、現在は旧東広島市では唯一の醸造会社だ。
 現社長の彰氏は4代目。1990年、先代の急逝に伴い当時35歳の若さで家業を継いだ。「伝統を守る」一方で、新事業にも挑戦。創業当初から販売する代表的な醤油「峰醸[ほうじょう]醤油」に加え、九州ほど甘すぎず関東ほど辛すぎない親しみやすい「あまくち醤油」や、添加物を使わない「志和のしょうゆ」を開発。小瓶やペットボトル販売でスーパーや道の駅などに販路を広げ、「べんりだし」や「ドレッシング」など加工品にも乗り出し、事業を拡大してきた。「地域に愛される味を守りながら、新しい発想で食文化を未来へつなぎ、次世代の蔵として歩みを続けたい」と立本社長。

プレスネット編集部

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