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多様な“性”のあり方。わが子が「性の違和感」を感じた時、親はどう向き合うべき?

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多様な“性”のあり方。わが子が「性の違和感」を感じた時、親はどう向き合うべき?

臨床心理士・公認心理師のyukoです。メディアではLGBTQへの理解が少しずつ広がるような工夫がなされており、以前に比べて聞きなじみがある言葉となってきました。もしわが子が自分の性に迷いを感じていたら? 親としてはどのように考えて行けばよいのでしょうか。

子どもが性に違和感を抱いていそうなとき、親はどうすればいい?

小4になる息子。小さいころから青や水色を好まなかったり、外で走り回るよりも女の子とままごとをする方が好きだった。最近は髪を切らずに伸ばしたがったり、女性向けファッション誌やネイルに興味をもっている。この子は女の子になりたいのかな? 息子の嗜好や性別について、親としてどう捉えていけばいい?

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赤ちゃんの頃、もしくは生まれる前から親は、「この子は男の子だから、女の子だから」と考え始める方が多いでしょう。

一方、子ども側は幼いころから「この服を着るのはなんとなく嫌だ」など、与えられた性や性役割に違和感を示す子もいれば、思春期以降の恋愛感情によって自身の性を考え始める子もいます。恋愛感情といっても、単に同性が好きというだけではなく、「戸籍上は男性。女性の装いが好きだけど、恋愛対象は男女どちらとも定めていない」など、多様なあり方が存在します。

親として子どもが性に違和感を感じている場合、どんな風に向き合っていけばよいのかを考えます。

わが子が、想像していた「男の子」「女の子」ではない。何が原因?

子どもが想像していた成長と異なる経過をたどっているとき、親はさまざまな考えが頭をよぎるでしょう。

・お姉ちゃん、お兄ちゃんの影響なのかな?

・幼少期にはっきりと性差を区別した関わり方をしてこなかったから?

・何か偏った育て方をしていたのかな?

原因を探したくなる気持ちはあるかもしれませんが、子育てや関わり方が原因とはいえません。また、そのように親が「よくない」と捉えて、罪悪感にかられたり、過去を反省しようとすること自体が子どもの悲しみにも繋がります。

原因を探すのではなく、今後どのように見守っていけばよいかに目を向けていけるといいですよね。

「決めつけない姿勢」が重要

「自分は大丈夫、偏見はもっていないし理解もできる」と感じている親御さんにも、認識の誤りや理解の難しさの壁にあたるときがあります。

例えば、

・戸籍上の性別は女性。でも髪を短くしたり、スカートを履きたがらない、胸が大きくなることが嫌な様子。この子は男の子に憧れていて、いずれ男の子になりたいのだろう。

・戸籍上の性別は男性。男らしさを好まず、異性の友だちといる方が楽だと言っていた。この子の恋愛対象は男性なのだろう。

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性に関しては、男性 or 女性と二分化できるものではありません。性は、「体の性」(戸籍上の性)のほかに、どんな装いをしたいかという「表現の性」、自分をどんな性だと思うかという「性自認」、そして恋愛や性愛の対象を示す「性的志向」の四つの要素があるといわれています。

そしてその中でも、「男性であり、女性でもある」「男性でも、女性でもない」「決められていない」「決めていない」など、多様な感じ方・捉え方があります。

自身の性に違和感を抱いたことのない人から考えると、理解しようとしてもしきれない側面があるのは当然かもしれません。だからこそ、周りが決めつけることが当事者にとっては何よりの負担となります。

決めつけずに、そのままの姿を見守る姿勢が求められるんですね。

必要に応じて学校と相談を

男子トイレ/女子トイレに入りたくない、プールの授業で上半身裸になりたくない。子どもからこのような訴えがあったときは、どうすればよいでしょうか。

「集団生活なんだから仕方ない」「家では自由にしていいけど学校ではみんなに合わせて」このように伝えたくなる親御さんもいるかもしれません。ただ、このような対応をし続けると、社会での居場所を見つけられなくなり、感じている負担もストレスも大きくなる一方です。

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学校の教育方針によって、どの程度の配慮ができるかはまちまちです。ただ、2015年に全国の小・中・高・特別支援学校を対象に文科省から「性同一性障がいに係るきめ細やかな対応」という通知が出されており、学校は配慮に務めるよう指導されています。医師の診断などがなくても、多様な生徒の心身の健康のために配慮するのは、学校の義務とされているんですね。

なので、子どもが自分で声をあげられる年齢になるまでは、親が、周囲の大人が、代弁していく必要があります。どんな子も過ごしやすい環境を、少しずつ整えていけるといいですよね。

yuko/臨床心理士・公認心理師

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