あさひベーカリー 〜 福山駅前にある和のたたずまいのパン屋。フランス仕込みの伝統製法でつくられるこだわりのパン
パンといえば朝食に食べたり、小腹が空いたときに軽食として食べたり、生活に密着した食べ物。
ハード系のパンから食パン、菓子パン、惣菜パンなど種類も豊富で、どんなパンにしようか迷ったりしますよね。
では「フランスの伝統的な製法」にこだわったパンはいかがでしょうか。
JR福山駅前にあるパン屋「あさひベーカリー」は、フランスの伝統的な製法を生かしたパンづくりをしています。
あさひベーカリーがあるのは、新しい店が続々と出店して注目のエリア・伏見町です。
パン屋とは思えないような和風デザインの外観・店内には、こだわりの詰まったパンがたくさん並んでいます。
あさひベーカリーのパンへのこだわりや、おいしさの秘密などを深掘りしていきましょう。
福山駅前・伏見町にある和の雰囲気のパン屋、あさひベーカリー
あさひベーカリーは、福山駅前・伏見町にあります。
伏見町は2018年(平成30年)ごろより新しい店がドンドン出店している、福山市内で注目のエリアです。
あさひベーカリーはJRの高架沿いアーケード通りの一角にあります。
一見すると呉服店などを思わせる、和のたたずまいの店舗です。
おしゃれなあさひベーカリーですが、なんと運営するのは福山の老舗タクシー会社・アサヒタクシー 株式会社。
同社の飲食事業部のひとつなのです。
店内へ足を踏み入れると、ショーケースの中にズラリとおいしそうなパンが並んでいます。
外観や店内のショーケースなどで使われている木材は桐(キリ)です。
とても上品で高級感があります。
タクシー会社の運営ですが、あさひベーカリーがつくるパンはどれも本格的です。
あさひベーカリーでは、クロワッサンや食パン、バゲットなどの定番商品以外は、不定期に商品が入れ替わります。
時季限定商品や新商品などがドンドンと登場するので、店に通うのが楽しみになるのではないでしょうか。
定番商品以外は、販売時期を過ぎると購入できませんので、公式Instagramでチェックをしてみてください。
ショーケースの奥では、店のかたがたがパンを製造していました。
パン屋といえばセルフサービスのイメージがあるかも知れませんが、あさひベーカリーは対面販売方式です。
欲しいパンをすべて取ってもらったら、ショーケース横のレジで会計をしましょう。
またあさひベーカリーでは、移動販売もおこなっています。
福山市内や福山市周辺地域など、さまざまな場所に出店しており、好評です。
出店場所・出店日時などは、あさひベーカリーの公式Instagramで確認できます。
あさひベーカリーのおすすめのパン
たくさんあるあさひベーカリーのパン。
そのなかから、マネージャー・シェフの有田(ありだ)さんおすすめのパンを紹介します。
価格は消費税込。 2024年(令和6年)1月時点の情報
「クロワッサン」はファーメントバターの芳醇な風味が特徴の看板商品
「クロワッサン」(280円)は、あさひベーカリーで一番人気の看板商品です。
食べる前から甘くかぐわしい香りがただよいます。
クロワッサンの表面は、とてもパリパリとしていて軽やかな食感です。
そして、力を入れるとパラパラと崩れるほど繊細。
同時に香ばしい香りが広がってきました。
中の生地は一般的なクロワッサンのイメージと違い、シットリしながらもフンワリとしています。
芳醇な甘さとバターのよい香りが広がっていって、余韻も心地よい味わいです。
「バゲット」はあさひベーカリーの神髄が味わえるパン
あさひベーカリーでぜひ味わってみてほしいパンが「バゲット」(290円)です。
いわゆるフランスパンと呼ばれるもの。
あさひベーカリーはフランスの伝統的な製法にこだわっています。
その伝統製法が一番わかる、もっともオーソドックスなパンがバゲットなのです。
バゲットを食べた瞬間、香ばしさが広がり、カリカリっとした食感がします。
その後、ガシガシとした力強い歯ごたえのある食感がしてきました。
中の生地はモチモチと弾力のある食感で、食べていくとジワジワとうまみとほのかな塩味、甘味がしだいに増してきておいしいです。
また焼いてみると香ばしさが増し、バリバリッとした軽快な歯ごたえが楽しめました。
「牛煮込みカレーパン」は牛肉がゴロゴロと入った二番人気の商品
「牛煮込みカレーパン」(320円)は、あさひベーカリーで二番人気の商品です。
外側はカラッと揚げられていて、カリカリッとした食感と香ばしさが楽しめます。
そして中の生地はフンワリとしながら、モチッとした食感も。
自家製牛煮込みカレーパンの中は、黒っぽい甘辛味のカレー。
しかも具材には、大ぶりの牛肉がゴロゴロとが入っています。
食べごたえがあり、味もシッカリと染みた肉で、カレーとのハーモニーが絶妙です。
「あんバターフランス」は世羅町産の粒餡にこだわり
あさひベーカリーの三番人気のパンは「あんバターフランス」(220円)。
短めのバゲットのあいだに粒餡と棒状のバターが入っているパンです。
食べるとガシガシとした皮とモッチリとした生地の食感がします。
噛むほどにジワジワとうまみが増す生地。
そして粒餡の上品な甘さとバターの濃厚で芳醇な風味がし、生地のあじわいととてもよく合い、おいしかったです。
「あさひ食パン」はトーストでおいしく食べられるトースト専用パン
あさひベーカリーでは食パンを数種類つくっています。
そのなかでも、有田さんがおすすめするのは「あさひ食パン」(1斤 350円、2斤 700円)。
トーストすることを前提につくられているトースト専用食パンです。
天然酵母を使って午前7時ごろから仕込み、焼き上がるのは午後3時ごろで、とても長い時間をかけてつくっているこだわりの食パンだそう。
トーストすると耳や表面がサクサクッと軽やかな音を立て、とても香ばしいです。
香ばしさが、一般の食パンと全然違います。
生地の中のほうはモチモチッとした弾力がある食感で、食べるほどにうまみが増し、何も付けなくてもおいしいです。
まるで焼いた餅のような味わいだと感じました。
ちなみに、あさひベーカリーではあさひ食パン以外に「角食パン」(1斤 320円)という食パンもラインナップしています。
こだわりのパンを多数ラインナップするあさひベーカリー。
マネージャー・シェフの有田訓章(ありだ のりあき)さんへインタビューをしました。
あさひベーカリーのマネージャー・シェフの有田 訓章さんへのインタビュー
こだわりのパンを多数ラインナップするあさひベーカリー。
マネージャー・シェフの有田訓章(ありだ のりあき)さんに、タクシー会社がパン屋をすることになった理由や店のこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2021年11月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
伏見町出身の社長が故郷を盛り上げるために開業
──タクシー会社の「あさひタクシー」が運営しているが、なぜタクシー会社がパン屋を開業することになったのか。
有田(敬称略)──
実は現在の弊社代表取締役・山田康文(やまだ やすふみ)は、生まれ・育ちが伏見町なんです。
2018年(平成30年)ごろから伏見町に新しい店が多く出店するようになり、盛り上がりを見せるようになりました。
伏見町出身の山田は「自分も故郷のために何かできないか」「伏見町をもっと活気づけたい」と思ったのが、あさひベーカリーができるキッカケです。
また、山田の知人に東京のパン屋「メゾンカイザー」の木村社長がおります。
山田はメゾンカイザーのパンが好きで、木村社長を大変尊敬しておりました。
そのようなご縁があり、伏見町にメゾンカイザーが監修するパン屋を開業することになったのです。
それが、あさひベーカリーでした。
そして2020年(令和2年)9月28日、あさひベーカリーのオープンに至ります。
突然パン職人にあこがれ、パンの道へ
──有田さんがあさひベーカリーに入った経緯は?
有田──
実は私は、東京のメゾンカイザーでパン職人として働いていたんです。
もともとパン職人を目指していたわけでも、パンが特別好きだったわけでもありません。
中学生か高校生くらいのとき、フッとパン職人ってかっこいいなと思うことがありまして。
それがキッカケでパン関係の専門学校を経て、パン職人の道に入りました。
その後、2018年にあさひベーカリーができる際、メゾンカイザーのほうからあさひベーカリーに転籍しないかと提案されたんです。
私は山口県の出身なのですが、福山が故郷に近い場所だからという配慮からでした。
それであさひベーカリーに入ったのが、開店間近の日。
入店後すぐにオープンしたので、とても忙しかったのをよく覚えています。
フランス伝統の天然酵母による長時間低温発酵がこだわり
──あさひベーカリーのこだわりを知りたい。
有田──
あさひベーカリーはメゾンカイザー監修ですので、メゾンカイザーの技術やノウハウが生かされています。
メゾンカイザーは「フランス伝統のパンの製法」をこだわっており、それは当店も同様です。
具体的には「ルヴァン」という天然酵母を使った長時間低温発酵をしていること。
当店のほとんどのパンは、この製法でつくっています。
これはほかのパン屋ではあまりやっていない、あさひベーカリーならではのこだわりです。
特徴としては、長時間低温発酵により小麦粉が水分をシッカリと吸収し、できあがるパンはモッチリとした食感になります。
一般的なパンはフンワリとした食感のものが多いので、当店のパンを食べると少し違った印象をもつかもしれません。
天然酵母の力で、複雑で深みのある味わいですので、ぜひ食べてみてください。
こだわりのファーメントバター
──使用している食材などでこだわりは?
有田──
当店ではバターにこだわりがあります。
というのも、「ファーメントバター」という一般的には入手しにくい特別なバターを使っているからです。
とても発酵の香りがいいバターで、口溶けがとてもよく、そのまま食べたら口の中で一瞬で溶けてしまうほど。
ファーメントバターは、当店の看板商品のひとつでもあるクロワッサンなどに使っています。
またあんバターなどに使っている餡は、世羅町の餡専門店から仕入れていますね。
あとは生地づくりなどでは、福山という土地柄に合うようにしています。
私は東京で長くパン職人をしていましたが、地域が変われば求められる味もちがいますから。
たとえば西日本だと、塩味などが控えめなほうが好まれるなどの地域性があります。
そのあたりの地域性を考慮してパンづくりをしていますね。
──たくさんのパンがあるが、人気の商品やおすすめの商品は何?
有田──
一番人気は「クロワッサン」ですね。
ついで、「あんバター」が人気です。
また「ホワイトチョコ」と「抹茶のホワイトチョコ」も人気ですね。
使っている抹茶は、同じ伏見町にある今川茶舗さんのものを使っています。
あとは、バゲットはぜひ食べていただきたいです。
バゲットは当店のパンづくりの基本エッセンスがわかる、もっともスタンダードな商品ですので。
トースト専用につくっている「あさひ食パン」もおすすめです!
トーストして食べたら本当においしい食パンなんですよ!
今後は新商品の開発やラインナップのルーティーンにも力を
──今後やってみたいことや展望などがあれば、教えてほしい。
有田──
新商品の開発をやっていきたいですね。
まだ開業してから1年です(2021年時点)。
今までは目の前のことで精いっぱいでした。
今後は商品のラインナップなども考えていきたいです。
売場は限られますから、時季ごとに商品を入れ替えたりする必要もあります。
パン屋というのは、ある程度季節性の商品のルーティーンがあるんですが、今後はそのルーティーンを整えていきたいですね。
フランス伝統のパンづくりにこだわる あさひベーカリー
あさひベーカリーのクロワッサンは、芳醇な風味と甘味、パリパリとした表面とシットリとした生地でとてもおいしかったです。
またぜひ食べたいと思ってしまいました。
バゲットもモチモチとしていて食べごたえがあり、食事としてパンを食べたいときにピッタリです。
あさひ食パンはトースト用の食パンというだけあって、トーストするとパリッとして香ばしかったです。
そのまま食べてもおいしい高級食パンの店が増えていますが、あさひベーカリーのトースト前提の食パンもぜひ食べてみてください。
こだわりの詰まったパンを提供するあさひベーカリー、福山駅近くに訪れた際に寄ってみてはいかがでしょうか。