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不動産の取引価格を掲載した国土交通省「不動産情報ライブラリ」。取引価格と成約価格の違いや活用方法のポイントを紹介

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不動産情報ライブラリとは?

図1 地図表示画面(価格情報を選択・表示)

国土交通省では、円滑な不動産取引を促進する観点から、オープンデータ等を活用し、不動産取引の際に参考となる情報(価格、周辺施設、防災、都市計画など)を重ね合わせて表示できるWebGIS「不動産情報ライブラリ」の運用を2024年(令和6)4月より行っている。

不動産取引の際に参考となる情報の多くは、国や地方自治体などの複数の機関から、さまざまな形式で公開されているが、不動産情報ライブラリは、これらの情報を一元的に集約しており、誰でも簡単に無料で閲覧できる。
また、地図上でのデータ閲覧だけではなく、掲載情報の一部をAPIで取得できる。
不動産情報ライブラリ:https://www.reinfolib.mlit.go.jp/

不動産取引価格情報と成約価格情報について

不動産情報ライブラリでは、不動産取引価格情報・成約価格情報という2種類の不動産の取引価格情報を掲載している。この二つの情報は、どちらも実際に不動産の売買で成立した価格情報である。

国土交通省が行っている「土地問題に関する国民の意識調査」では、不動産取引の際に参考にしている情報(価格情報)の中で、不動産の取引価格情報が上位となっている。
参考:令和4年度「土地問題に関する国民の意識調査」(該当情報掲載ページ:P.50参照)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001610192.pdf#page=46

実際の売買価格である不動産の価格情報の公表によって、誰でも、近くで行われたさまざまな不動産の取引の事例と簡単に比較でき、安心して不動産の売買を行えるようにすることを目的として、国土交通省では、データの収集・公開を行っている。

不動産情報ライブラリに掲載している、不動産取引価格情報と成約価格情報について、どちらも不動産の取引価格情報であるのになぜ名称が異なるのか、など疑問が生じると思われる。詳細について下記で説明する。

(1)不動産取引価格情報とは
不動産取引価格情報は、国土交通省が不動産の取引当事者を対象に不動産取引のアンケート調査を実施し、その結果得られた回答などについて物件が容易に特定できないよう加工した上で公表するものである。アンケートは、所有権移転登記情報をもとに実施しており、アンケート結果については不動産鑑定士による確認等のプロセスを経て公表している。
不動産情報ライブラリでは、不動産の種類「宅地(土地)」、「宅地(土地と建物)」、「中古マンション等」、「農地」、「林地」について表示している。

(2)成約価格情報とは
成約価格情報は、指定流通機構(レインズ)保有の不動産取引価格情報を、国土交通省が個別の不動産取引が特定できないよう加工し、消費者向け不動産取引情報サービスである、「レインズ・マーケット・インフォメーション」(RMI)にて公表している情報である。
RMIで提供している情報は戸建住宅及びマンションの成約情報に限定されていることから、不動産情報ライブラリでも同様に、それら2つの情報を提供している。
 
いずれも、公表は3ヶ月単位でとりまとめた上で、四半期ごとに行っている。次回は、取引時期が2025年(令和7年)第1四半期(1~3月)のデータを、2025年(令和7年)7月に公表することを予定している。また、町・大字までの表示としており、マンション名等は特定されないようになっている。

詳細は制度と用語を確認してほしい。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/about/

このように、不動産取引価格情報と成約価格情報は原典データの出典が異なるため、同一の取引の情報が重複して掲載されている可能性がある。知りたい情報にあわせ、不動産取引価格情報と成約価格情報の使い分けをしていただきたい。

不動産情報ライブラリでは不動産取引価格情報・成約価格情報を簡単に確認できる。確認方法は「地図から検索」と「データ検索」の2種類がある。下記でその方法を紹介する。

不動産情報ライブラリでの検索・表示方法(1)地図から検索

図2 不動産取引価格情報・成約価格情報の表示にあたり条件を設定

地図上での検索方法を紹介する。地図表示は、直近5年分(令和7年7月現在では、2019年(令和元年)第1四半期~2024年第4四半期)のデータが対象となる。それ以前のデータは、後述する「データ検索」から確認可能なので、そちらを活用してほしい。

(1)不動産情報ライブラリのトップ画面から地図表示を選択

(2)「価格情報」タブで不動産取引価格情報・成約価格情報にチェック(①)し、必要に応じて「条件設定」で種類と時期を選択(②)できる。初期設定では、種類は「宅地(土地及び土地と建物)」が、時期は「2024年第1四半期」~「2024年第4四半期」が選択されている。なお、成約価格情報は、戸建住宅及びマンションの公開としているため、成約価格情報を表示したい場合は、「宅地(土地及び土地と建物)」、「土地と建物」または「中古マンション等」を選択してほしい。
また、地図上に表示した際に、土地取引件数の件数ごとに塗りつぶしするかどうかも選択可能(③)である。(図2)

図3 土地取引件数と不動産取引価格情報・成約価格情報の関係性

土地取引件数とは、「宅地(土地)」、「宅地(土地と建物)」、「農地」、「林地」を含めた、土地すべての取引件数で、売買などによる所有権移転登記情報を国土交通省で取引単位に集約し、地域ごと及び取引時期(3ヶ月)ごとに集計した件数のことである。(図3)
塗りつぶしを選択した場合、件数によって色分けされるため、凡例を確認してほしい。(図4)
この後、「データ検索」で検索画面についても紹介するが、「土地取引件数」の定義は上記となるため、検索結果一覧の件数と必ずしも一致しないことに注意していただきたい。

(3)条件設定で設定後、決定を押すと、地図上の駅に青い■が出るほか、地図表示の縮尺に合わせて、都道府県(広域~県)/市区町村(市)/地区(町~詳細)の単位で不動産取引価格情報・成約価格情報が表示される。なお、青い■の駅データは、データの中に「最寄駅」の記載があるもののみが対象となるため、上述した街区単位のデータとは表示される件数が異なることに注意が必要である。(「最寄駅」は必須項目ではないため記載がないデータが存在する。)

(4)地図上で確認したい駅や地域をクリックすると、ポップアップが表示される。「詳細表示」をクリックすると、検索結果一覧が出るので詳しい情報を確認できる。(図4)

各画面の詳細や確認方法は下記に示すURLを確認してほしい。
検索結果の詳しい見方はこちら
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/#manual1_2

図4 不動産取引価格情報・成約価格情報の凡例及び詳細画面について

不動産情報ライブラリでの検索・表示方法(2)データ検索

図5 トップページから「データの検索・ダウンロード」を選択

データ検索の方法をご紹介する。データ検索では、不動産取引価格情報は平成17年7月以降、成約価格情報は令和3年2月以降より検索が可能である。

(1)不動産情報ライブラリのトップ画面→「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」で「データの検索・ダウンロード」を選択。(図5)

図6 データ検索にあたり、詳細条件を入力

(2)地域(①)または路線・駅名、価格情報区分(②)、種類(③)、時期(④)に検索したい項目をいれ、「一覧表示」(⑤)を押すと検索結果一覧が表示される。(図6)

また、データはCSVファイルでもダウンロード可能である。(2)で説明した「一覧表示」ボタンの隣にある「ダウンロード」ボタン(⑥)を押すと、「検索結果一覧」で表示される内容と同様のデータがCSVで出力される。
地域ではなく、路線・駅名を選択した場合は、データの中に「最寄駅」の記載があるもののみが対象となる。用途や知りたい情報にあわせて検索条件を設定してほしい。

検索結果一覧のヘッダ項目では、昇順や降順、空白を省くといった指定ができる。また、検索結果一覧のうち、「最寄駅」をクリックすると土地の㎡単価と最寄り駅までの距離の関係を示した散布図を、「前面道路」をクリックすると土地のm²単価と前面道路の幅員の関係を示した散布図を確認できる。詳細画面では、「検索結果一覧」で表示された情報を確認できるほか、周辺に該当する地価公示・地価調査がある場合は表示できる。
そのほか詳細については下記のURLを参照のこと。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/#manual1

なお、本項目では詳細を割愛するが、「主要都市における土地取引価格の概況」では、2020(令和2年)~2024(令和6年)における、主要都市における土地取引価格の基本統計量(土地面積当たり単価の平均値など)が確認できる。(図7)

図7 土地取引価格の概況

APIでのデータ提供

不動産取引価格情報・成約価格情報のデータをAPIでも提供している。

不動産取引価格情報は2005(平成7年)(2005年は第3四半期(7~9月)と第4四半期(10~12月)のみ)~最新時期(※)、成約価格情報は2021(令和3年)~最新時期(※)の情報が取得できる。
※令和7年7月時点では、2024年第4四半期が最新

APIは2種類提供している。詳細情報は下記を確認してほしい。
(1)不動産価格(取引価格・成約価格)情報取得API
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual/#titleApi4
(2)不動産価格(取引価格・成約価格)情報のポイント (点) API
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual/#titleApi7

(1)はJson形式、(2)はGeoJsonおよびpbfで返却している。(1)は指定した期間の全てのデータが、(2)は指定した期間および指定した場所内の最寄り駅に紐付いたデータのみが返却される。最寄り駅の緯度経度のポイントに対し複数の情報が返却されることに注意が必要である。

取得したデータをぜひいろいろな用途で活用していただきたい。

活用事例の紹介

図8 「DoboX」で小学校、小学校区、不動産取引価格情報・成約価格情報を表示

実際に不動産情報ライブラリを活用している事例を紹介する。

■広島県:DoboX
広島県のDoboXは、公共土木施設等に関するあらゆる情報 (地理空間データなど)を一元化・オープンデータ化し、外部システムとのデータ連携を可能とするシステム基盤である。不動産情報ライブラリの不動産取引価格情報・成約価格情報をはじめとするデータを読み込んで施設情報、不動産情報、都市計画情報を重ね合わせて表示する可視化機能を提供している。不動産情報ライブラリのAPIで情報を取得することで、データを独自で整備・メンテナンスする必要がなく様々な情報が掲載可能となり、不動産業者や地域住民にとって有用なサービスとなっている。

「DoboX」の地図表示画面はこちら
https://hiroshima-DoboX.jp/visualization5/

不動産情報ライブラリへの意見募集

今回は不動産取引価格情報・成約価格情報の便利な検索・表示方法を紹介した。今後も継続して便利な利用方法を紹介していく予定なので注目してほしい。

不動産情報ライブラリでは、随時アンケートにてご意見を募集している。
掲載してほしいデータやAPI提供してほしいデータがある方はぜひ利用者アンケートに回答をお願いしたい。
アンケートはこちら
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/questionnaire/

また、不動産情報ライブラリの活用事例がある場合も、ぜひ上記アンケートのURLからご連絡いただければ幸いである。

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