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【3776「The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji」】 ふじのくに地球環境史ミュージアムの企画展「全地球史」と響き合う

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は、富士山ご当地アイドルを掲げる井出ちよのさん(富士市出身)のソロユニット「3776(みななろ)」の5年ぶりのフルアルバム「The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji」を題材に。プロデューサーは石田彰さん(富士宮市)。

驚天動地のコンセプトアルバムである。アイドルのCDとしては、史上最大の世界観に基づくものではないか。宇宙や地球の誕生をテーマにしたミュージシャンはいたが、3776の新作は宇宙の誕生から消滅までを時系列で扱っている。サン・ラーやカマシ・ワシントンもびっくりだ。

イントロに続く「The Birth Of The Universe」から「The Death Of The Universe」とアウトロまで、石田さんの仕込んだエレクトロサウンドによる16曲が継ぎ目なしで続く。科学的な裏付けのある宇宙史、地球史のナレーションと歌が交互に置かれている。どちらも井出さんが担当する。

驚かされるのは、歌のテーマが「女子高校生の恋バナ」である点だ。インフレーション理論、ビッグバン、原子核の成り立ち、地殻変動、プレートテクトニクスの解説と、「高校生の日常」がキャッチーなメロディーの上で共存している。

さらなる驚きは、この二つの要素が全く無関係に放り込まれているわけではないこと。ナレーションから抽出されたキーワードが、歌詞のテーマに引き継がれている。例えば「インフレーションによる宇宙の誕生」に続くのは、高校の入学式当日が誕生日の女の子の独白である。

宇宙誕生から約37万年後、原子核が電子と結合して「原子」となるくだりはこんなナレーションで締めくくる。「ほら、原子核もうれしそうですよ、ようやく電子をキャッチできて」。そして歌が始まる。内容は高校入学直後から目を付けていた男の子の心をキャッチしようとする手練手管の物語。「希ガス」を「気がする」に読み替え、美術部の先輩へのあわい気持ちを口にする曲もある。

ふじのくに地球環境史ミュージアム(静岡市駿河区)で開催中の企画展「全地球史」を思い出した。約46億年前の地球誕生から、80億年後の地球消失までを最新の科学的知見で説明する。3776のアルバムを聴いて展示を見ると、一層理解が深まるのではないか。

(は)

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