北川本家‐京都府 ー 歴史を感じる京の定番酒
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。
今回は、京都府京都市の北川本家を特集します。
船宿から蔵へ。伏見の歴史が醸す日本酒。
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
北川本家の歴史、そして伏見の歴史は豊臣秀吉の伏見城造営をなくしては語れません。
城下町となった伏見には街道も多く整備されました。
主要な街道の一つである大和街道は伏見と奈良を結んでおり、宇治川を渡る部分には豊後橋(現在の観月橋)がかけられました。
人が多く行きかったこの橋のたもとで「鮒屋」という船宿を営み、宿泊者に日本酒を提供したのが北川本家の酒造りの始まりです。
江戸時代はじめ明暦3年(1657年)に酒株制度(今の酒造免許)が整備されました。
伏見奉行所の酒株の台帳には「鮒屋」の文字があり、このころには既に日本酒を作っていたことになります。
(それより古い資料が残っていないため、1657年を創業としています。)
―代表銘柄は?
「 富翁 大吟醸 山田錦」
容量:720ml
アルコール度数:15%
日本酒度:+2
原料米:兵庫県産 山田錦
精米歩合:39%
お薦めの飲み方:冷やして、少し冷やして、常温
「富翁 純米酒 プルミエアムール」
容量:720ml
アルコール度数:13%
日本酒度:-34
精米歩合:68%
酵母:京の恋
お薦めの飲み方:冷やして、少し冷やして、常温
当たり前を重ねる、その先にある一杯。
―酒造りで心がけていることは?
米の蒸し方や醪の搾り方など一つ一つ酒造りの工程を改めて見つめなおし、手間をかけるところには手間をかけるようにしています。
これらは酒蔵として当たり前のことではあります。
まじめにこのような小さなことを一つ一つ積み重ね、今よりもさらに良い日本酒を皆様にお届けできるように酒造りを行っています。
また、酒造りは農家の方との連携は欠かせません。
日本酒全体の消費量は減り続けていて、このままでは食用米より手間のかかる酒米は作られなくなってしまうかもしれません。
酒米を契約栽培にしたり、地域の酒米を使用したりするようにしています。
苦労して作っていただいた米を使い、丁寧に酒を醸し、その思いを伝え出来た日本酒を飲んでいただく。
食べた料理も一緒に飲んだ日本酒もおいしいと思っていただき、また次の機会にも飲んでいただく。
そのような日本酒を造り続けていきたいと思います。
ー読者へのメッセージをお願いします。
創業から360年以上、酒造り一筋。
伝承の技と原料にこだわり、京都・伏見の豊かな水に恵まれた環境のなかで京都の食文化とともに歩んでまいりました。
幕末の鳥羽伏見の戦いをはじめ戦や苦難を乗り越えてきました。
長年続いた技術、文化を後世に伝え、人々に喜んでいただける価値あるお酒を造り続けていきます。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
坂本竜馬が寺田屋で受難の際川沿いを走って逃げ近くの材木小屋に逃げ込んだといわています。
この川は北川本家の蔵の横を流れる濠川であり、この材木小屋は今の大手筋通り付近にあったといわれています。
また、北川本家の蔵がある伏見区村上町は鳥取藩邸の跡です。
「歴史を感じる京の定番酒」として日々のお料理の傍らにあるお酒、いつも飲んでいただけるお酒、1杯目より2杯目と杯を重ねてさらにおいしいお酒を目指しています。
今回ご紹介した酒蔵について
【京都府】
株式会社北川本家
京都市伏見区村上町370-6
https://www.tomio-sake.co.jp/