清水東高サッカー部監督に就任した元アルビレックス新潟の武田直隆教諭「藤枝東に差をつけられた。5年に1度は全国に」
清水東高サッカー部の監督に今春、同校OBで元Jリーガーの武田直隆教諭(45)が就任した。これまでさまざまな経験をしてきたベテラン指揮官は、全国高校総体と全国高校選手権で計5度の優勝を誇る母校をどう立て直そうとしているのか、インタビューした。
略歴
武田さんは1996年度の第75回全国高校選手権県大会で4強入りし、優秀ディフェンダーを受賞。同期には清水エスパルスなどで活躍した山崎光太郎さん、一学年下には元日本代表の高原直泰さんらがいた。
筑波大を卒業後、当時J2だったアルビレックス新潟に入団したが、リーグ戦1試合の出場にとどまり1年で退団。教員を目指して故郷に戻り、半年間の勉強で採用試験に合格した。
これまで新居高で4年、大井川高で7年、静岡市立高で10年指導し、今春、満を持して母校の監督に就任した。この間、国体少年の部やSBSカップ国際ユースサッカーで静岡県代表の監督も務めた。
一問一答
ー就任して2カ月ちょっと。今はどんな部分から手を付けていますか。
「まず本当に基本的なところ。もう少しボールを大事に扱おうというところから始めています。県高校総体の2回戦で袋井にPK負けして以降、少しずつ改善が見られていると思います」
ーどんなコンセプトでチームづくりをしていますか。
「しっかりボールを大事にしながら、両サイドを生かして攻める。クロスは上がるようになってきたので、最後の崩しの部分。対戦相手の映像や、自分たちの映像を見せながら、課題の克服に取り組んでいます」
ー伝統校を率いる重圧を感じているのでは。
「30年以上も全国大会に出ていない学校ですし、OBの方々からも『頑張って』という温かい言葉を掛けていただいているので、“外野”の圧力は今のところ感じていません(笑)
先日の膳亀信行先生(OBで県サッカー協会技術委員長)の還暦を祝う会の時にも、多くの先輩から温かい言葉をいただきました。膳亀先生は勝澤要先生(元清水東高監督、5月に逝去)から『3年に1回は全国に出ろ』と言われていたようですが、私はその会で『5年に1回ぐらいは全国出場できるチームにしたい』と挨拶しました(笑)」
ーそのためにはどんなことが必要だと考えますか。
「まずは、いろんな大会でコンスタントにベスト8には入れるようにしたいです。土のグラウンドでの練習になるし、文武両道も大切にしなければいけない中で、私立の強豪に負けないように。もっといろんな意味でたくましくなっていかなければと思います。
OBからは『もっと走らせたら』という声もあります(笑)。清水東は『粘れ、走れ』が伝統。たしかにそういう良さが出てこないと他校と差はつかないのかなと思っています」
ー武田監督が生徒だった頃の清水東とはサッカーの向き合い方も変わっているのでは。進学校の難しさは感じていますか。
「みんな真面目で、本当によく勉強しています。サッカーにかける部分は以前よりも少なくなっているかもしれません。もちろんそれぞれ自主練もしていますが、もう少しサッカーでも課題意識をもって、自分の武器を持てるように取り組んでくれたら(笑)
自分も今は様子を見ている段階で、そこは選手たちにまだ働きかけていません。こちらで何か提示してあげれば真面目にそれをやろうとする選手ばかりなので、うまく声を掛けてあげたいなと思います」
ーあらためて意気込みを聞かせてください。
「今年は46歳になる年。これまでいろいろな経験をさせてもらったので、それを生かすことができればと思います。
県総体後は主力のディフェンスラインと、右アウトサイドの選手ら計7人の3年生が残ってくれました。その子たちの思いもある。まずは県Aリーグでチームをもう少し安定させて勝ち点を取れるようにして、選手権でベスト8、ベスト4に残れるような力をちゃんとつけたい。その上で1、2年生で、また少しずつでも上っていけるようにしていきたいです。今は藤枝東高に差をつけられちゃってるので(笑)」