12月21日は「冬至」沖縄では「トゥンジー」。沖縄では何するの?冬至の過ごし方を解説
実家も嫁ぎ先も沖縄の仏壇持ち家(沖縄では一般的に長男が祀る仏壇のある家)に生まれたものとして、幼い頃から筆者が体験し、「年中行事」を取り仕切るを司る役割のウフヤーアンマー(仏壇持ちの女性)から見聞きした「年中行事」の知識を紹介しつつ、現代風にアップデートしていくコラム!今回は南国沖縄に冬の到来を告げる「冬至(うちなーぐち:トゥンジー)」を紹介します。
2024年沖縄の冬至(トゥンジー)はいつ?
新暦(通常のカレンダーの暦):2024年12月21日 沖縄の冬至行事は新暦と同じ、2024年12月21日に行われます。 二十四節気による日程のため、旧暦を使わず、日本全国で通用する「冬至」の日付と同じです。
冬至の由来(歴史)と意味
冬至(トゥンジー)は、一年で夜が一番長い日となります。 太陽の力が弱まり、寒さが厳しくなる冬の季節に、ゆず湯にはいったりカボチャや小豆を食べたりして健康祈願を願う、全国的にもお馴染みの行事です。 南国・沖縄でも冬至を「トゥンジー」と呼び、昔から伝統的な食事を食べていました。 冬至(トゥンジー)が近くなると、沖縄でも夕方過ぎには日も落ちて暗くなり、いよいよ本格的な冬の季節が到来します。このころから強い季節風が吹きはじめ寒波が毎年のように数日続く厳しい寒さがやってきます。沖縄ではこの厳しい寒さを「トゥンジービーサ(寒さ)」と呼んでいます。 ですが、今年の冬至(トゥンジー)は暖かそうですね。 その昔、琉球王府は冬至行事を、公事として元旦と同じくらい重要視していました。 というのも、冬至は古い時代の暦では元旦であったとされ、トゥンジーソーグヮチ(冬至正月)とも呼ばれてたそうです。 古い資料としては『球陽(きゅうよう)』によると、尚敬王の頃に「元旦も冬至の例に照す。冬至元旦には、王の百官を率い、その年の歳徳方位に向かって拝礼をし、もって朝賀とす。」と。冬至元旦についての記述があります。 ※1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された歴史書。
沖縄冬至の食事(トゥンジージューシー)ってどんな食べ物?
冬至には全国的にカボチャや小豆を食べますが、沖縄の冬至ならではの料理といえば、「トゥンジージューシー」。豚肉、人参、シイタケなどを使った炊き込みご飯です。 具には、定番の具材のほかに、寒い時期にとれる田芋(ターム)や里芋(チンヌク)も季節の食材として使われます。 芋類は根を引っ張ると連なって収穫されることから、昔から家族の健康と子孫繁栄を願う意味が込められていたそうです。 ちなみに、「ジューシー」には柔らかく雑炊のように煮込んだ「ボロボロジューシー」とパラパラと固めの炊き込みご飯の「クワァジューシー」の2種類がありますが、「トゥンジージューシー」では、多くの家庭で「クワァジューシー」を作ります。 続いては冬至の拝み方について解説します。
2024年の沖縄冬至の拝み方(グイス)
01.仏壇やヒヌカン(火の神)へのお供えの仕方
準備したトゥンジージューシーを、仏壇とヒヌカンにお供えします。 ヒヌカンとは、火の神のこと。昔から「家の女性の守り神」といわれてきました。 屋敷やご先祖様への「お通し(連絡係)」を担っているヒヌカン(火の神)に、トゥンジージューシーをお供えします。 ヒヌカンには、ヒラウコーを二枚と半分、もしくは日本線香を12本と3本立てて、拝みを捧げます。 ヒラウコーとは6本の日本線香が横に繋がった板状のお線香で、沖縄線香ともいわれます。 沖縄の年中行事ではヒラウコーが好まれますが、日本線香でも構いません。 仏壇にもトゥンジージューシーをお供えして、朝はあたたかいお茶、お酒と共にお供えをします。
02.お供えをした後の拝み方(グイス)
お昼に「トゥンジージューシー」お供えをしてから仏壇に拝み言葉を伝えます。 「アリサーサーウートートー、ヒヌカンガナシー。おかげ様で今年も無事に冬至の日を迎えることができました。今日まで変わりなく家族を見守ってくださりありがとうございます。どうぞ、これからも家族全員が安全で健康に過ごすことができますように。ヤナカジ・シタナカジ(悪風・よごれた風)を、祓ってくださいますようお願い申し上げます。ウートートー。」
我が家の冬至(トゥンジー)
実家も嫁ぎ先も「仏壇持ち」の私にとって、冬至は、おいしいトゥンジージューシーをご先祖様やヒヌカンにどう美味しくお供えするかが楽しみな行事。 とはいえ仕事と育児に追われる今の世代は、伝統を大切にしつつも「簡略化」も大切です。 実家でも嫁ぎ先でもずいぶん前から、市販の「炊き込みご飯の素」を大活用。 具材はじっくり手作りします。豚肉は脂ののった三枚肉を大鍋で煮込んで味付けをし、細かく刻んで具材として加えることで、栄養たっぷりのトゥンジージューシーができあがります。 また栄町市場などの公設市場で探した、旬の里芋(チンヌク)を追加することで、冬至特有の「チンヌク・ジューシー」に仕上がります。 冬が本格化し日が一番短く、陰の気が強まる冬至だからこそ、ご先祖様と一緒に家族そろって滋養の付くチンヌク・ジューシーを食べて、家族団らんを楽しみましょう!
【チンヌクジューシーのレシピ】
<材料> 米/2カップ 豚三枚肉(バラ肉)/150g チンヌク(里芋)/200g 人参/40〜50g 干し椎茸/2枚 だし/3カップ 塩/小さじ11/2弱 醤油/大さじ1+小さじ2 <作り方> ・米を研ぐ ・先に煮込んでおいた豚三枚肉を刻む。 ・チンヌク(里芋)は皮をむいて、一口大に。 ・人参は乱切り ・干し椎茸は水でもどし、軸を取り除いて、食べやすい大きさに。 調味: ・だし3カップに、塩小さじ1 1/2弱と醤油(大さじ1+小さじ2)を加えて混ぜます。 調理: ・ 内釜に調味しただし汁を加えます。 ・切った豚肉、チンヌク、人参、干し椎茸を米の上に均等に乗せます。 ・後は炊飯器におまかせします。 冬が本格化し日が一番短く、陰の気が強まる冬至だからこそ、ご先祖様と一緒に家族そろって滋養の付くチンヌク・ジューシーを食べて、家族団らんを楽しみましょう!