昨年のクリスマスイブに捨てられた足先のない犬、脚に重傷を負った飼い主と強い絆で結ばれる(英)
昨年のクリスマスイブにイギリスの公園の駐車場で捨てられていた犬が、新しい飼い主のもとで暮らし始めて10か月が経過した。その犬は後ろ足の一部が欠損しており、脚に重傷を負ったばかりだった飼い主は、同じような苦境を共有する運命を感じ、引き取ることに決めた。英ニュースメディア『What’s the Jam』などが伝えた。
【写真】昨年のクリスマスイブに、レジ袋に入れられて捨てられていた犬
昨年のクリスマスイブ、英ロンドンの自然保護公園「トッテナム湿地」で散歩中の通行人が、駐車場に捨てられたブル・テリアの子犬を発見した。
ブリンドル(虎毛)の被毛を持つその子犬は、ガリガリに痩せて凍えており、白いレジ袋に入れられてきつく縛られ、動けない状態だった。また後ろ足の足先が欠損しており、発見者は衰弱しきった子犬を見て心を痛め、すぐさま動物愛護団体「RSPCA」に連絡を入れた。
子犬はその後、同団体と提携するフィンズベリー・パーク動物病院に送られてケアを受け、スタッフに“ドギー(Dougie)”と名付けられた。
実は、ドギーの足の一部が欠損しているのは生まれつきであると考えられている。RSPCAのスタッフであるニコラ・トーマスさん(Nicola Thomas)は、「小さな子犬がこんな酷い状態で、しかもクリスマスイブに心なく見捨てられ、置き去りにされるのを見るのはとても悲しいことでした」と当時の心境を振り返った。
また同日の夜、病院で当直をしていたエマ・イェランドさん(Emma Yelland)は、次のように述べた。
「かわいそうなことにドギーは当時、まだ生後数か月の子犬で、かなり混乱しておとなしくしていました。そして私たちスタッフが話し合いを行った結果、『この子は左後ろ足がないほうが、より快適に生活できるだろう』という結論に至りました。左後ろ足を使わずに動き回ることができたため、『ドギーは3本足のほうがうまく対処できるだろう』と判断したのです。」
こうして今年1月、ドギーは同動物病院で左後ろ足の切断手術を受けた。その後、英南部ドーセットにあるRSPCA「アシュレイ・ヘルス動物センター」でリハビリを行い、一時的な里親のもとで5週間を過ごし、その間にスタッフが新しい飼い主を探し始めた。
そして2月、ドーセットに住むカースティン・ダグラスさん(Kirstin Douglas、49)と、息子でQAエンジニアのクレイグさん(Craig、27)がネットを閲覧していた際にドギーのプロフィールを見つけた。
メンタルヘルス支援ワーカーとして働くカースティンさんは、ドギーとの出会いを特別なものと感じた理由を次のように語った。
「クレイグは2023年11月、オートバイの事故で脚に重傷を負い、手術を受けることになりました。回復中は自宅から仕事をしていたので、一緒に過ごせる犬を探していたのです。実は当初、子犬を飼うことは考えていなかったのですが、あのドギーに『ノー』を突き付けられる人なんていないでしょうね。」
親子がドギーとの出会いを“運命”と感じた理由は、クレイグさんが足の手術を受けていた点がドギーの状況と重なったこと、さらに彼らの名字であるダグラス(Douglas)がドギー(Dougie)の名前に似ていたことだった。またクレイグさんもドギーも回復中ということもあり、同じ傷を持つ者同士、より絆が深まったという。
カースティンさんは「あの子たちは、今ではお互いになくてはならない存在ですよ」と語り、このように続けた。
「クレイグは足を失わずに済む幸運に恵まれました。一方で、ドギーは足を失うという困難に直面しましたが、それでも3本足で見事に生活に適応しています。さらに、クレイグが順調な回復を遂げることができたのは、リハビリの過程でドギーが精神的な支えとなったからでした。家族全員がドギーの存在を心から愛し、その愛は日々深まっています。」
ちなみにインドでは、「足が曲がっている」という理由で飼い主に捨てられた犬が保護され、その後1年間で目覚ましい回復を遂げた。昨年9月にその犬の短編動画が公開されると、多くの注目を集めた。
画像は『What’s the Jam 「Puppy found in carrier bag with missing paw last Christmas Eve helps new owner with motorcycle accident recovery」(Jam Press/RSPCA)』『Times Series 「Puppy abandoned in Tottenham at Christmas finds new owner」(Image: RSPCA)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)