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「今年一番面白い舞台にしよう!」~ミュージカル『新テニスの王子様』The Fourth Stage 古川流唯&秋沢健太朗インタビュー

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(左から)秋沢健太朗、古川流唯

国際色豊かなキャラクターたちが想像を超えた激しい試合を繰り広げる、ミュージカル『新テニスの王子様』(新テニミュ)の第4章。その開幕を前にますますヒートアップしている稽古場より、切原赤也役の古川流唯と種ケ島修二役の秋沢健太朗が取材に駆けつけてくれた。世界大会準決勝、D(ダブルス)1でペアを組む二人が語る本番への意気込みは真っ直ぐに、熱い。

ーー古川さんは今回が新テニミュ初参加です。

古川:はい。2.5次元ミュージカルに出演させていただくのも初めてだったので、最初は稽古場に行くだけでもちょっと慣れないというか、緊張感もあって……すごい先輩方が集まっていますしね。その中に自分が溶け込めるだろうかって心配もちょっとあったんですけど、みなさんとても気さくで、緊張はすぐに「楽しい!」に変わりました。初めて稽古場に入ったときも「秋沢さん」って声かけられないくらい緊張してました。でもすぐに「健太朗くんって呼んでいいよ」って言ってくれて。

古川流唯

秋沢:大きいゴールデンレトリバーだと思ってってね(笑)。

古川:嬉しかったです(笑)。

ーー『テニスの王子様』の時間軸を経て新たなチームメイトと共に世界へと歩を進めていく日本代表選手たち。ご自身のキャラクターの成長や魅力はどのように分析していますか?

古川:まず、赤也の魅力っていうのは……生意気な部分もだいぶあって、試合中にラフなプレーとかもするタイプなんですけど、やっぱりその中で垣間見えるテニスが本当に好きなんだなっていう気持ちが、すごい僕の中で刺さっています。あとは、すごい“後輩感”があるのが、めっちゃ魅力的だなと思って。先輩にかわいがられる後輩である赤也と同じく、僕も健太朗くんにかわいがられる後輩になりたいと思います。

秋沢:もう十分すぎるくらい可愛いよ。いつも溌剌としているし。

ーーいざ敵に回るとめちゃくちゃ危険な人物でもありますが。

古川:そうですよね~。僕も正直、味方でいてほしいタイプだよなって感じます(笑)。ただ今回の赤也、本当に彼の「本気」っていうものがめちゃくちゃ伝わる大事な試合なので、僕的に特に注目してもらいたいポイントは、自分の中の「天使」と「悪魔」を飼い慣らすところ。あと種ヶ島先輩に悪魔(デビル)化をサラッと沈静化されるシーンが僕めちゃくちゃ大好きで、そこも楽しみにしていていただけたらなと思います。

秋沢:あそこの赤也、お茶目ですよね。流唯本人は運動神経がすごすぎて、僕なんて最初に見たときから恐れおののいてますよ。運動神経が良すぎて「人間ってこんな形に飛ぶんだ」とか(笑)、あらぬ形になっちゃうくらい、もう元々の身体能力が素晴らしい。

秋沢健太朗

古川:小さい頃から結構いろいろな運動に挑戦してきたので身体表現には自信があったんですけど、赤也くんはスマッシュとかフォームの一つひとつがちょっと人間離れしてるので、なるべくその原作のフォルムに近づいた形でテニスができるよう心がけていて……でもまだちょっとジャンプ力が足りてないので、ここからさらに強化していきたい。試行錯誤しながら、いっぱい漫画とかも見直して、コツコツ作っていってます。演出の上島(雪夫)先生からも「今回はめちゃくちゃやってもらうぞ。一番動けよ」って言われていますので。

ーー秋沢さんは今回が本公演では3作目の新テニミュ。種ケ島像も毎回深化していることと思います。

秋沢:キャラクターの魅力としては、人物説明などにもある通り「掴みどころがない」ところだと思います。そこは一貫してますね。そういう秘密めいていて、でもちゃんと実力がある人物って、僕自身もすごく魅力を感じるタイプなんですよ。手の内を明かさないシリアスな感じもかっこいい。自分のことを表に出さず、人にも何も押し付けないというところがいいなぁと。

(左から)秋沢健太朗、古川流唯

ーーでも絶対裏でしっかり研究し、弛まぬ努力をしてるという匂いがある。

秋沢:そう。そういうのがすごく好き。特にThe Second StageとThe Third Stageではそういう部分が強調されていたと思います。でもこのThe Fourth Stageになったことで、ちょっと見せどころが変わりましたよね。今までは「中学生と高校生の差、これぐらい強くいたほうが成立するでしょ」というわかりやすい実力差とか、海外の個性的なキャラクターもどんどんどんどん出てきてお客様も観ていて楽しいな、バラエティーに富んでいるなっていうエンタメ感が目立っていたけれど、今回は原点に戻ったというか。これまで物語として舞台上で届けきれなかった部分をきちんと深掘りして、より深いドラマとしてお客様にお届けするっていうところがより大事にされているので。

ーーそれぞれの“いち選手”としての姿が浮き彫りになっていく。

秋沢:はい。そしてそれぞれの関係値も大切になっている。例えば赤也も含め、みんなが試合中にいろんな選手の名前を言うんですよ。これってたぶんThe Fourth Stageになって初めてかもしれなくて。

ーー試合中、ベンチにいる選手たちがさまざまな視点でいろんな思いを素直に口にしていますよね。

秋沢:今までは個人の心情にフォーカスされがちでしたけど、その先の思い、「あのときこういう技を出していたのはこういうことを考えて戦っていたのか」とか「俺はこういうふうに負けたくないんだ」とか、「俺たちは、外国人チームはこういう思いなんだぜ」っていう各々の戦う理由が判明するようなステージになっている。きっと、何回も足を運んで咀嚼したくなるような深い内容になるんじゃないかな。かなり見応えがあると思います。

秋沢健太朗

ーー種ケ島のカッコよさにも少し変化が見えてきて……。

秋沢:本当はこういうことを考えていたんだっていうところが素直に表現されていたり、実はNo.1の座を諦めていなかったり、意外と周囲の人たちのことをしっかり考えていたり、自分の目標も忘れずにいたりとかっていうのは、今回の種ヶ島修二が試合の中で届けてくれる新たな魅力ですね。赤也の悪魔(デビル)化・天使化っていうのも赤也が自分の中の葛藤と向き合っていくことでもあって、そういう自分自身との戦いの中でどんな人の言葉にどんなふうに影響を受けていたのかっていう個々のドラマがきちんと浮き彫りになっているのが、このThe Fourth Stageの物語の大きなポイントなんじゃないかなと思います。

ーー自分を見つめるからこそ相手のこともより理解できる。ペア間でのリスペクトもすごく際立って見えますよね。相手のプレーを尊重しながら、どう協力して勝つのかという心理が。

秋沢:それはかなりあると思いますね。

古川:(頷く)

秋沢:たぶん物語の中でももちろん、キャスト同士でもそういうのはありますよ。僕だったら、例えば、(鬼十郎役の)岡本悠紀くん、いい声してるなとか、(トリスタン・バルドー役の)鮎川(太陽)さんのポージングかっこいいな、(越前リョーガ役の)井澤(勇貴)くん、ダンスすごいなとか。流唯だったらやっぱり身体能力と負けん気の強さ、あと普段はアイドルな感じを出してるけど中身は全然違うじゃん、とかね(笑)。自分がみんなに対して尊敬する部分って、多分役とも通じていくし、それが結果的に役に落とし込まれて試合として盛り上がれば、かなり熱い作品にできるよなと思ってます。

古川:僕はもう稽古場で見ているだけでも全部が勉強になるので、とにかく今はみなさんの一つひとつの動きをしっかりと観察して……まだまだわからないことだらけ。一番はいつも近くにいる種ヶ島先輩の動きを見て、「あ、この種ヶ島先輩の動きを見た赤也くんはこういう動きをするんだな」っていうのを自分の中でもしっかり考えつつ、毎日頑張っているところです。

古川流唯

秋沢:とはいえ、今はラリーを作り込んでる段階なので、お互いまだ探ってる部分もあると思うんですよね。僕自身もまだまだ自分のことでいっぱいなので……でもペアとしての雰囲気はもうかなりいいんじゃないかなと思います。ここからさらに中身が出来上がっていったら信頼関係もよりしっかりと築けるような気もする。とにかく最初は自分のことをしっかりやって、そこから「これくらい頑張ったんだ」っていうのをお互いに出し合い、持ち寄り、「俺たちで頑張ろう」っていうのをまさにこれから耕していくところでもあります。

古川:本当に舞台って自分だけで作ってるわけじゃないんですよね。健太朗くんは「自由にやっていいよ」っていうスペースを与えてくれているので、そこで「じゃあこういう動きとかもしていいんだ」って、自分の中での可動範囲みたいなのを広げていけるのでめちゃくちゃやりやすいです。

秋沢:よかった。やっぱりそうやって自分自身で埋めていくのがテニミュの楽しいところでもあるので。

ーー原作を読んでいて「これって舞台でどうやるの!?」という描写も多いですからね。

秋沢:消えたり、でかくなったりとかね。

古川:そうですね。消えますからね(笑)。

秋沢:他にもとにかくどの試合もすごいです。もうてんこ盛りで、もはや試合というよりバトルですね。

(左から)秋沢健太朗、古川流唯

ーーわかります。“テニミュ”はジャンルで言うと部活動もの、青春ものなんですけど、“新テニミュ”のスケール感は、またちょっと違うニュアンスが感じられます。

秋沢:今までは日本の少年たちの部活の汗だったけど、こっちはもう宇宙人の汗、宇宙の青春くらいの規模感ですよね。

古川:確かに!

秋沢:それを成立させちゃうステージングもすごい。僕ら的には観た瞬間にお客様がワーッてなるぐらいの盛り上がりをどう成立させられるかが勝負です。

古川:自分自身も稽古場で「あの漫画の技がこういう演出になるんだ」っていうわくわくを楽しんでいます。個人的には仁王・デュークのペアとか、好きなんですよね〜。

秋沢:お、いいじゃん!

古川:仁王くんがイリュージョンするんですけど、最後に仁王に戻ってくるところ、初めて漫画で読んだ時点でもうそこにすっごく感動して……「仁王くん、めちゃくちゃかっこいい!」って。なので本当にごく個人的な見どころになっちゃってるんですけど、そこをね、ぜひ客席のみなさんにも僕のあの感動の瞬間と同じ温度で味わっていただけたらなぁと。

古川流唯

秋沢:うんうん。戻り際のかっこよさね。それもやっぱりキャラクターの持つドラマですよね。そこがちゃんとあるから、びっくりするような技とか面白いことが起きても「何やってんの?」ってならずに感動できるんだと思います。カミュ(フランス代表:L・カミュ・ド・シャルパンティエ)のエピソードとかもそうだし、どの試合も面白さの奥のドラマを捨てずにきちんと台本に描かれているのが、何重にも面白さを生み出しているんですよね。

ーー現実感から思い切って逸脱していくところと、逆にグーンとスポーツドラマ、人間ドラマにフォーカスしていくところのバランスの素晴らしさ。その表現を、原作と舞台が常に最高のアイデアを持って闘いながらエンタメとして届けていく。それがミュージカル『新テニスの王子様』である、と。

秋沢:いやもう今年で一番面白い舞台にしようと、めちゃくちゃ思ってます。僕の個人的な見どころ……見せどころのひとつとしては、平等院さんとの絡み。お互いに今まで何となくオフ芝居で繋げていたものがあったんですけど、そこが今回きちんと表に出てくる。関係値とか、野心の現れとか、そういう部分がちゃんと舞台上で描かれるのがいいなぁと。面倒見が良くて謎めいた強さを持っているちょっと神秘的な存在の人も、やっぱり内面はちゃんと泥臭いし、みんな同じようなことをしていた仲間なんだっていうことに胸が打たれるというか。そこで赤也とかも近くにいて協力しようと思ってくれてる、とかね。いろんなことが動いていくっていううねりを伝えたいですね。

秋沢健太朗

ーーよりヘヴィーに、よりドラマティックに。The Fourth Stageから放たれるパワーが楽しみです!

古川:はい! でも僕自身新テニミュ初参戦ということで、本番のステージの様子はまだ全然想像がつかないですし、でもめちゃくちゃ楽しみでもあります。来てくださるみなさんも、多分僕の赤也はどんな赤也になるんだろうっていろいろ想像してしてくださっていることと思います。今は自分が思う赤也を最後まで演じ切りたいと思っていますし、観てくださったみなさんに納得してもらえる赤也を最後までやるって決めてるので……毎公演進化できるぐらいの強い赤也になります。そして「流唯くんでよかった」って思ってもらえるように頑張りたいです。熱い夏にしていきたいです!

秋沢:今回ペアを組ませてもらう流唯くんは、僕の中ではすでにもう切原赤也ですし、お客様には納得を超えて感動をしていただけることと思います。The Fourth Stageはいろんな国の選手が出てきてすごくバラエティーに富んでいる舞台ですが、僕らキャストはそれぞれのキャラクターとその裏にあるドラマに真摯に向き合っています。まさにキャラクターが生きている、彼らが動くと風を感じるっていう瞬間を劇場で体現できる舞台になることでしょう。新作公演、僕自身もすごく楽しみにしています。ぜひ会場で一緒に最高の思い出を作りましょう。よろしくお願いします!

(左から)秋沢健太朗、古川流唯

9月26日、大阪・SkyシアターMBSでも<イープラススペシャルデー>が開催されます。お二人にイープラスポーズをしていただきました!

取材・文=横澤由香       撮影=池上夢貢

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