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末吉良丞は語っていた「夏に優勝する高校が一番強い。沖縄尚学がその名に恥じない存在になる」二枚看板で制した歴史的快挙

OKITIVE

2025年夏、第107回全国高校野球選手権大会で沖縄尚学が悲願の夏の甲子園初優勝を果たした。 26年前の1999年春以来の日本一、そして沖縄勢としては2010年興南以来15年ぶりの快挙である。 エース左腕・末吉良丞、右腕・新垣有絃の二枚看板に加え、宜野座恵夢捕手、眞喜志拓斗主将、比嘉大登ら野手陣も奮闘。チーム全員でつかみ取った優勝旗は、沖縄に新たな野球史を刻んだ。

「夏に優勝する高校が一番強い」夏の甲子園初優勝の意味

沖縄尚学は春のセンバツで2度の優勝を誇る伝統校だが、夏の甲子園では11度の出場で最高成績はベスト8にとどまり、「春は強いが、夏には弱い」というイメージが付きまとっていた。 しかし2025年夏、比嘉公也監督は「二枚看板」を軸にした戦略を徹底。投打がかみ合い、試合を重ねるごとに勢いを増したチームは、ついに悲願の初優勝を成し遂げた。 「夏に優勝する高校が一番強い。沖縄尚学がその名に恥じない存在になる」―かつてそう語ったエース末吉良丞の言葉が、そのまま現実となった瞬間だった。

沖縄尚学 栄光への道

沖縄尚学の夏の快進撃は、まさに一戦ごとに成長を重ねるドラマだった。 初戦は秋田の金足農業との対戦。プロ注目の吉田大輝を相手に、エース末吉良丞が14奪三振の完封劇を披露。打線は七回に虎の子の1点を奪い取り、1対0の接戦を制した。この勝利について比嘉公也監督は「この勝ち方がチームに自信を与えた」と振り返る。まさに大会の流れを決定づける一戦となった。 続く2回戦は鳴門との一戦。先発の新垣有絃が要所を締める投球で試合を作り、後半から末吉がマウンドに。左右の二枚看板による継投策が見事にはまり、3対0で勝利を収めた。 3回戦の仙台育英戦は、延長11回の末、5-3で激闘を制した。 準々決勝の相手は東洋大姫路。ここでも新垣が粘投を見せ、終盤は末吉が無失点リリーフで抑え込む。野手陣の長短打も冴え渡り、2対1と接戦をものにしてベスト4進出を決めた。 そして最大の山場となった準決勝。相手は優勝候補に挙げられていた山梨学院だった。序盤にリードを許し苦しい展開となったが、この試合で輝いたのは再び新垣だ。途中から登板すると、3回1/3を投げて無四死球・5奪三振の快投。流れを完全に引き寄せた。すると直後に宜野座恵夢や比嘉大登らの連打で逆転に成功。激闘の末、5対4で勝利し、沖縄尚学はついに初めての決勝進出を果たした。 決勝の相手は西東京代表の日大三。初回に先制を許すも、直後の二回表に7番・阿波根のツーベースから同点に追いつく。試合が動いたのは六回、1番・宮城が出塁と盗塁で好機をつくり、4番・宜野座がレフト前へ勝ち越しのタイムリー。さらに八回にも宜野座が2打席連続の適時打を放ち、リードを広げた。 投げては先発の新垣有絃が八回途中まで1失点と力投。終盤はエース末吉良丞がマウンドに上がり、九回一死一・三塁のピンチを内野陣のダブルプレーで切り抜け、試合終了。スコア3対1で勝利を収め、沖縄尚学が悲願の夏の甲子園初優勝を成し遂げた。

試合後、主将の眞喜志拓斗は「全国の舞台で日本一になれたことは本当に嬉しい。たくさんの方々の声援が力になり、感謝という言葉でしか表せません」と喜びを語った。大きな声援を送った地元那覇市も歓喜に包まれ、県民とともにつかんだ栄冠となった。

怪物左腕・末吉良丞 勝負所で光る“千両役者”

2年生にしてエースナンバーを背負う末吉良丞は、今大会で全国から注目を集める存在となった。 身長175cm・体重89kg、太くがっしりした下半身から投げ込まれる直球は最速150キロ。沖縄大会では4試合で29回を投げ、40奪三振、防御率0.31という圧倒的な数字を残した。 特に象徴的だった場面は沖縄大会決勝だ。七回、2連続四球と暴投でピンチを迎えた末吉の前に、打席にはU18日本代表候補の強打者・イーマン琉海。3打数2安打と当たっていた打者に対し、末吉は直球勝負を避け、スプリット→スライダー→スライダーと変化球3球で勝負。最後は外角いっぱいに決め、見逃し三振で仕留めた。大舞台でこそ冴える勝負勘を証明した一球だった。 「七回のピンチを抑えたことでチームに流れを呼び込めた。あの場面が今日の一番の投球でした」 試合後、堂々と語った末吉は、もはや2年生とは思えない風格を漂わせていた。 さらに、八回以降は尻上がりに球速を上げ、147キロ、148キロを連発。試合を締めると同時に、打撃でも4打数2安打4打点とチームを引っ張った。攻守で光を放つ姿に「千両役者」という言葉が自然と重なる。 末吉の投球スタイルは、多くの人にオリックスの宮城大弥を想起させた。直球と一級品の変化球を操り、試合ごとに投球の幅を広げていく姿勢。さらに4番を任されるほどの打撃力も備えている点は、まさに宮城の高校時代と重なる。 「甲子園通算30勝が目標。」 強気な言葉とともに、末吉は成長の階段を確実に上っている。大舞台で光を増すその投球は、沖縄尚学の夏を切り拓く最大の武器だった。 ▶「U18代表候補を“変化球三つ”で3球三振…沖縄尚学が誇る最速150キロ左腕「末吉良丞」の確かな進化、憧れの『宮城大弥』に近づく

覚醒の右腕・新垣有絃 春の悔しさを力に変えた

もう一人の主役が、右腕の新垣有絃だ。 春のセンバツでは横浜との2回戦で先発を任されたが、いきなり死球と安打を許し、続く打者に3ランを浴びてわずか1回で降板。「悔しさだけが残った」というデビュー戦は、本人にとって忘れられない経験となった。 しかし、この夏は別人だった。沖縄大会準決勝・興南戦で先発すると、被安打2・1失点の好投でチームを決勝に導き、自信を取り戻した。大会を通じて磨き上げた切れ味鋭いスライダーと直球は威力を増し、甲子園では打者を翻弄する武器となった。 特筆すべきは準決勝・山梨学院戦。強打を誇る相手に序盤リードを許す苦しい展開で、途中から登板。約3万6000人の観衆が見守るなか、3回1/3を投げて無四死球・5奪三振の快投。重苦しいムードを一変させた。直後に野手陣が逆転に成功し、勝利投手となった新垣は「春の悔しさを夏で晴らせた」と語った。 比嘉公也監督は「新垣が成長してくれたことが優勝につながった」と称え、「準決勝の興南戦での先発経験がターニングポイントだった」と振り返る。確かに、この夏の新垣はマウンド上で弱気な姿を見せなかった。ストライクゾーンを大胆に攻め、140キロ台半ばの直球とスライダーを自在に操る姿は、春とは別人のようだった。 普段はシャイで、取材時も緊張して口数が少ない新垣。しかしマウンドでは別の顔を見せる。宜野座恵夢捕手が「目つきが変わった」と語るように、試合中は冷静かつ力強い眼差しでミットを見据えた。 野手陣の比嘉大登は「二人の投手に助けられるだけでなく、上級生も支えていこうと話し合っていた」と語る。二年生ながらチームに安心感を与える投球は、末吉との“二枚看板”の完成を意味していた。 ▶「沖縄尚学のピッチャー「新垣有絃」とは何者?春とは別人…“シャイな男”が見せる快投乱麻!夏の甲子園で初の決勝進出に貢献」

上級生の覚悟と意地

メディアの取材に応じる宜野座恵夢

捕手として投手陣をリードした宜野座恵夢は、打撃でも大きな貢献を果たした。 準決勝では逆転打、決勝でも勝ち越しのタイムリーを放ち、チームの勝利に直結する活躍を見せ、試合後には「投手二人を支えたい一心だった。最後に結果を残せてよかった」と語り、攻守の要として存在感を発揮した。 キャプテンの眞喜志拓斗は、守備でも打撃でも安定感を見せ、チームの精神的支柱の役割を果たした。「初戦の接戦勝利がチームを成長させた」と振り返り、勝負を重ねるごとに強くなった沖縄尚学の歩みを象徴する存在となった。 那覇空港で優勝旗を掲げる姿は、きっと県民の心を大きく揺さぶったに違いない。 3年生の比嘉大登もまた勝負所で光った。「二年生投手に頼るだけでなく、自分たちが支える」と語った比嘉は、準決勝・山梨学院戦では逆転劇を演出する一打を放ち、上級生としての意地を見せた。 二枚看板に刺激を受け成長した比嘉の存在は、優勝への原動力となった。

二枚看板の系譜 1999年春との共通点

今回の優勝は、1999年春の沖縄尚学初優勝と重なる点が多い。 当時は左腕・比嘉(現監督)と右腕・照屋の二枚看板。2025年は末吉と新垣。いずれも左右の二枚看板がチームを支えた。 比嘉監督は「新垣が成長してくれたことが優勝につながった」と語り、26年前と同じ勝ちパターンをしっかり再現した結果となった。

沖縄を包んだ「沖尚フィーバー」

優勝の瞬間、沖縄全体が歓喜に包まれた。 那覇市のパブリックビューイングには500人以上が集まり、SNSには「国道58号線から人が消えた」との声も。理容室や商店も「今日は甲子園優先」とテレビ観戦に釘付け。 凱旋した那覇空港には1000人以上が集まり、「感動をありがとう」と涙で迎える姿も。県内では優勝セールや祝賀イベントが続々と開催され、“沖尚フィーバー”が広がった。

沖縄尚学の夏、沖縄野球の未来へ―新時代の幕開け

今回の優勝は、一校の栄光にとどまらない。 新興校の台頭や県内競争の激化により、沖縄球界全体のレベルが底上げされてきた結果でもある。 比嘉監督は「夏は投手一人では戦えない。二枚目、三枚目が必要」と常々語り、その意識は沖縄野球を次のフェーズへの引き上げるだろう。 「優勝旗を返しに行く」と強く誓った選手たち。 沖縄の球児たちが再び全国の舞台で躍動する未来に期待したい。

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