「あまりにも弱い」 利用客がJR東海に望むのは…リニア開通よりも、ひかり増便よりも
■静岡駅と浜松駅に停車するひかり 1時間1本から2本に増便へ
JR東海が開通を目指しているリニア中央新幹線は静岡工区のみ工事が始まっていない。JR東海の丹羽俊介社長は1月末、静岡県の鈴木康友知事と会談し、静岡駅と浜松駅に停車する東海道新幹線「ひかり」を増やす考えを伝えた。静岡県にメリットが示された形だが、県民にはリニア開通よりも、「ひかり」の増便よりも望んでいることがある。
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JR東海の丹羽社長は2月20日に改めて、ひかりの本数を増やす考えを示した。定例会見で、こう述べている。
「極めて異例ではありますが、かなり先の時期のダイヤについて鈴木知事に方向性を示しました。東京-名古屋間で、のぞみを毎時1本分くらいダイヤの余裕を生み出して、現在1時間に1本のひかりを約30分に1本にすることを実現したいと思っております」
丹羽社長は1月30日の会談で鈴木知事に対し、リニアが品川から名古屋まで開業した際に、静岡駅と浜松駅に停車するひかりを1時間に1本から2本程度に増やすと明かした。大阪まで開業した場合は、さらに停車本数を増やすという。
ひかりの増便は静岡県民にとってメリットとなる。ただ、県民からは、それ以上にJR東海に対して解決してほしい課題が指摘されている。それは、「東海道新幹線のもろさ」だ。
■「あまりにも雨や風に弱い」 東海道新幹線の課題解決を望む声
東海道新幹線は雨や風に弱く、台風などの大雨や強風はもちろん、日常的に運休や遅れが発生している。利用客からは次のような声が上がる。
「仕事で新幹線に乗って東京から名古屋、大阪に移動することがよくあるが、しょっちゅうダイヤが乱れる。今年に入ってからも、すでに5回は影響を受けている。リニアでわずかな移動時間を短縮するよりも、雨、風、雪などに弱い現状の問題を解決するために費用をかけてほしい」
「東海道新幹線は、あまりにも雨や風に弱い。しかも、この問題を解決する意思がないのか、全く改善していない。東海道新幹線を信用していないので、できるだけ車で移動しているが、リニア開業よりも雨や風で見合わせや遅れが出ないような対策を講じた方が利用者にメリットが大きいのではないか」
「ひかりが1時間に1本から2本になっても、どれほどの利便性や経済効果につながるのか疑問。台風や豪雨でダイヤが乱れるのは仕方ないが、日常的に天候の影響を受け過ぎ。それから、車内のWi-Fiも弱すぎて不便。リニアよりも先に取り組んでもらいたい」
将来を見据えて、ひかりの増便やリニア開業といった新しい取り組みは必要だろう。ただ、利用客が感じる現状の不満や課題の解決も満足度向上には不可欠な要素となる。
(SHIZUOKA Life編集部)