「“エロティシズム”というのは何を隠し、何を見せるか」官能文学の傑作“エマニエル夫人”を新解釈『エマニュエル(原題)』
1974年に公開され、全世界を熱狂で包んだ官能文学の傑作「エマニエル夫人」を、新鋭女性監督オードレイ・ディヴァンが、全く新しい解釈で現代に甦らせた注目作『エマニュエル(原題)』が、現地時間9月20日に開幕となったスペイン語圏最大の映画祭「第72回サン・セバスティアン国際映画祭(SSIFF)」にて、初お披露目された。このたび、本作が2025年1月10日(金)より日本公開が決定、場面写真が解禁となった。
官能文学の傑作「エマニエル夫人」を新解釈
本作の主演を務めるのは、『燃ゆる女の肖像』(20)、『TAR/ター』(23)での好演も記憶に新しいノエミ・メルラン。共演には、ウィル・シャープやナオミ・ワッツらが名を連ねている。
オープニング上映前に行われた記者会見で「今作はかつての『エマニエル夫人』からは監督の手法もアプローチもまったく違いますが、リメイクされるにあたって苦労されたことは?」と聞かれると監督は、「今作をリメイクとは考えていません。“エロティシズム”というのは何を隠し、何を見せるかということだと考えています。70年代最初に映画化された作品は、その枠を拡大しようとするものでした。そして、実際に拡大されたため、人々の記憶に強く残りました。私は、今回異なる試みをしました。あえて枠を設けてみたのです。観る者の想像力をかきたて、画面外の状況も利用して引きこめるのか。今はすべてを見たければ、インターネットやポルノがあります。そういう時代でも、エロティックな映画に人を引きこめるのか。それを考えて取り組みました」と語り、1974年に日本で公開された『エマニエル夫人』とは異なるアプローチで、新たなエロティシズムを描きだすことに挑戦した作品になっていることを明かした。
さらに、主演のノエミ・メルランは本作への出演について、「私はオードレイ監督も『あのこと』も大好きで、彼女のまなざしや作品のファンなので、お声がけいただいて嬉しかったですし、興味をそそられました。ワクワクしながら脚本を読んで、とても強いつながりを感じました。エマニュエルの中に、私がいたんです。映画の冒頭では、エマニュエルは抜け殻のように心と身体が解離しています。彼女は社会の要求に応えていて、自身の悦びはありません。そこから、本当のエマニュエルになろうとする彼女の旅、物語がはじまります。本当の自分とつながり、悦びを得て、すべてから解放されるために。私にはストーリーがすんなり腑に落ちたので、お受けしました」と語り、自身とエマニュエルというキャラクターについてや、監督への信頼について語った。オープニングでは、スタンディングオベーションが起こり、9月25日(現地時間)のフランス公開にむけても弾みのつく上映となった。
なお本作は、10月28日(月)~11月6日(水)に開催される「第37回東京国際映画祭」ガラ・セレクション部門での上映も決定している。
『エマニュエル(原題)』は2025年1月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開