上越市立城西中が新制服導入へ 機能性向上、多様性に配慮したデザインに
新潟県上越市立城西中学校(五十嵐守男校長、同市南新町)は2025年4月から新デザインの制服を導入する。軽量、はっ水などの機能性向上をはじめ、性自認の多様性に配慮するなど、生徒たちが中心となり、従来の制服に関する問題や課題と向き合い、検討を進めてきた。
《画像:来年から導入される新デザインの制服》
現行の制服は男子は詰め襟の学生服、いわゆる「学ラン」と、女子は濃紺のノーカラーブレザーに同色のプリーツスカートかスラックスを合わせ、胸元に青色の紐リボンを結ぶスタイル。今年同校は創立60周年記念を冠にする行事を行ってきたが、同校によると、現在のデザインは開校当時から変わっていないという。
新デザインは上衣がエンブレム付きの濃紺色のブレザーで、下衣はチェック柄のスラックスとスカート、胸元には青色を基調としたストライブ柄のネクタイとリボンが採用された。ブレザーとスラックスは男子の体形に合わせたⅠ型、女子の体形に合わせたⅡ型を設けたが、どのアイテムも性別に関わらずに自身が着用したいものを選択できるようにした。近年では動きやすさや防寒などから女子がスカートを着用せずにスラックスの着用を選ぶ生徒も増えてきた。
《画像:リボン、ネクタイは青を基調にしたカラー》
《画像:スカート、スラックスはチェック柄。性別に関わらず好きなアイテムを選択できる》
同校が制服の変更に動き出したのは2021年、校則や服装のルール見直しがきっかけとなった。翌年、「性自認の多様性等を考慮し、制服の見直しが必要ではないか」という意見のもと、生徒や職員らで構成する「校則検討委員会」を中心に制服の学習会を実施した。学習会で学んだこと、感想を全校生徒に発表し、生徒一人一人が「制服の在り方」を考える機会を設けたという。
昨年度は同委員会を「学校のアメニティー向上委員会」と改名。委員のうち10人の生徒が制服検討委員に委嘱され、生徒たちの意見のくみ取り、制服製造業者を募集したほか応募のあった各社の企画書から業者を選定した。制服の原案候補から絞り込まれたデザイン4種が選ばれ、その中から生徒たちの最終アンケートでデザインが決定した。ブレザーのエンブレム、ボタンの選定には生徒だけではなく、同校の制服を今後着用する可能性がある校区6小学校の5、6年生児童らもアンケートで参加した。価格帯はこれまでと大きく変わらないよう設定された。
《画像:エンブレムとボタンは校区の児童も選定に参加》
2024年12月には制服のサンプルが到着し、校内での展示を開始。これまで取り組みに関わった生徒たちは「とてもかわいくなった」「今らしいデザイン」と、まずは見た目を絶賛。実際に制服を手に取ったり、試着したりすると「とにかく軽い」「伸縮性があって着やすい」といった感想があった。また、「詰め襟は体育授業後など、汗をかいたときに襟足が詰め襟につくのが高ストレスだった」という意見もあり、「ブレザーになることで誰でも快適に過ごせるようになるのでは」といった声もあった。
《画像:新制服導入に取り組んできた生徒たち》
生徒会副会長(3年)は「60周年の節目で制服が新しくなり、城西中が新たに生まれ変わる。女子もスラックスを履いていいし、新しい制服で自分らしさを主張してほしい」。近藤和久教頭は生徒たちの取り組みを振り返り、「主体的にやってくれた。今までの価値観など、いろいろなことが社会の中で変わっている。新しい時代を生き抜くためのきっかけになってほしい」と話した。
来年度から3年間は移行期間として在校生、新入生共に新旧デザインのいずれも着用できる。
《画像:上越市立城西中学校》
上越市立城西中学校( https://www.josei.jorne.ed.jp/otayori/ )