稀代の名作誕生からいよいよ8年‥韓ドラ「トッケビ」の脇役からスター俳優になった6人
今から約8年前の2016年12月2日、韓国で『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(以下、トッケビ/tvN)が初回放送を迎えた。
映画のような圧倒的な映像美とスケール、優れた演出、物語をより一層盛り上げるOST、クオリティーの高い脚本など、どこを切り取っても完璧だと称賛された稀代の名作だ。
また、当時韓国ドラマの進化に大きな影響を与え「韓ドラの歴史を変えた」と言っても過言ではなく、斬新かつ趣向を凝らした新作ドラマと比較しても全く遜色ない。今もなおドラマファンから愛されている。
折に触れ何度も見返している人も多いようで、結末が分かっていても面白いのは、物語の完成度の高さはもちろん、観る者をあっという間にストーリーに没入させる出演者の演技も大きく影響しているだろう。事実、主演のみならずなんと脇役を務めた俳優・女優まで好演が高く評価され、ドラマ放送時に視聴者から注目を浴びた。
彼ら彼女らは、『トッケビ』出演を機に役者人生にターニングポイントを迎え、今では韓国ドラマに欠かせないスター俳優として活躍している。
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イエル
イエルは産神役で登場し、ある時は赤い服の女性に、ある時は特殊メイクで露天商のおばあさんに姿を変え、物語におけるキーパーソンを務めた。正体が明かされるまで、視聴者の好奇心を刺激する演技を披露しつつ、作品の世界観に説得力を持たせるのに一役買った女優だ。
2015年に公開された映画『インサイダーズ 内部者たち』で、すでに大衆から注目を集めていたが、『トッケビ』でさらなる知名度を獲得して以降、『最高の離婚』(KBS/2018)や、『私の解放日誌』(JTBC/2022)など数々のドラマに出演し、現在は『Mr.プランクトン』(Netflix/2024)で活躍中。シーンスティラーと言われている。
キム・ビョンチョル
キム・ビョンチョルは、前世では王をそそのかす悪役として、現世ではゾッとするような悪霊を熱演して熱い視線を浴びた。特に悪霊役は、ホラー映画顔負けの不気味な表情としぐさが大きな話題に。物語後半のややもすると取って付けた感が出てもおかしくないシーンで突然登場したが、あっという間に視聴者を物語に引き込み、劇後半の感動シーンを盛り上げるのに大きく寄与した。
そんな彼は『トッケビ』以降、主演級俳優の座を獲得。『ドクター・プリズナー』(KBS/2019)では、スター俳優ナムグン・ミンと共に物語を先頭に立って牽引し、昨年の主演作『医師チャ・ジョンスク』(JTBC/2023)では、クスっと笑える憎みきれないクズ夫役を熱演して、演技力の幅の広さを立証した。
チョ・ウジン
チョ・ウジンは、前職借金取りで仕事のできる秘書役として登場。心に染みる数々のセリフで視聴者を温かな気持ちにさせたかと思いきや、次のシーンでは絶妙なタイミングで冷静にツッコミを入れるなど、お茶の間に笑いを届けていた。
1999年にデビューしてから無名時代が長かった彼だが、『トッケビ』以降、どんな役でもこなす役者として、映画界とドラマ界を行き来しながら活躍中。『ミスター・サンシャイン』(tvN/2018)や『ハピネス』(TVING/2021)など話題作に出演し、世界的ヒットを記録した『ナルコの神』(Netflix/2022)では、ファン・ジョンミンやハ・ジョンウなど、錚々たる役者陣に埋もれない演技を披露した。
ヨム・ヘラン
ヨム・ヘランは、キム・ゴウン扮するウンタクの叔母役を演じていた。シンデレラに登場する継母を彷彿とさせる絵に描いたような悪役キャラで、金銭欲が強くウンタクをいじめる強烈な演技はヒロインの恵まれない境遇をさらに引き立たせ、物語をより一層盛り上げた。
スクリーンをメインに長年活動を繰り広げ、5本目となるドラマ『トッケビ』で一躍人気と知名度を獲得、今では韓ドラに欠かせない存在となった彼女は、各作品で個性的な役を難なくこなしている。特に、『椿の花咲く頃』(KBS/2019)や、昨年大反響を得た『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』(Netflix/2022、2023)での活躍が有名だ。
ユン・ギョンホ
ユン・ギョンホは、コン・ユ扮する高麗時代の英雄キム・シンの忠実な部下で、現世では、生活苦にあえぐキム・ウシク役を演じ、前世の記憶が無いにもかかわらず、キム・シンとの再会で何かを感じたような表情を見せる名シーンを披露した。
前世と現世の因縁を感じさせる必要のある難しい演技が求められるシーンだったが、見事彼の熱演により感動のエピソードが完成。以降、以前にも増してドラマ界と映画界で活躍し、『秘密の森』(tvN/2017)や、『ミスター・サンシャイン』、『梨泰院クラス』(JTBC/2020)、『ヴィンチェンツォ』(tvN/2021)、今年は『こんなに親密な裏切り者』(MBC/2024)など、人気作で手腕を発揮した。
キム・ナムヒ
キム・ナムヒは、第3話で過労死する医師役に扮した。死神に死を宣告されるまで自分が命を落としたことに気づかず、重体の患者を必死で救おうとする迫真の演技が印象的。わずか数分という短いシーンの間に、医療ドラマを観ているかのような緊張感をプレゼントした俳優だ。
『ミスター・サンシャイン』ではイ・ビョンホン扮する主人公の友人モリタカシ役、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』(Netflix/2020)では国語教師で刀で怪物と戦うマンションの住民、『財閥家の末息子』(JTBC/2022)ではソシオパス気質の財閥3世を熱演するなど、『トッケビ』以降、数多くの作品に出演し、毎年フィルモグラフィーを更新し続けている。
(ライター/西谷瀬里)