愛猫が『急にしなくなった』ときに心配すべき5つの行動 遊ばない、毛づくろいしない…何か病的な原因が?
1.遊ばなくなった
猫がただ単におもちゃに興味を示さなくなったときは、そのおもちゃに飽きてしまったということも考えられますが、ある日突然遊ぶこと自体しなくなった場合には、痛みや発熱、倦怠感などの不調や精神的な要因などが考えられます。食欲や排泄時の様子もあわせて確認しましょう。
遊びはしないけれど、食事も摂れていてトイレにも問題ないというような場合には、飛んだり走ったりすることで痛みを感じるために、遊びを避けていることも考えられます。
このような場合には、階段やタワー、ソファなどの上り下りがスムーズにできているか、足をうまく使っているかなども観察してみましょう。
2.毛づくろいをしなくなった
起きている間、猫はかなりの時間を毛づくろいに費やします。毛づくろいは、身だしなみや心を落ちつかせるために大切な習慣です。
しかし、突然毛づくろいをしなくなった場合、関節炎や歯周病・口内炎などの口腔疾患が原因である可能性があります。
猫が毛づくろいをする際には、肩や背中、お腹、お尻など体全体を舐めるための柔軟な動きが必要です。
そのため、関節炎による痛みがあると身体をひねることが痛くて苦痛になり、毛づくろいができなくなります。
一方で、口の中に痛みがある場合も舌を使う行為がツラくなり、毛づくろいを避けるようになります。
猫が身体を舐めようとして途中でやめる仕草が見られる場合、関節炎が疑われます。毛づくろいだけでなく、上下運動や歩き方なども観察すると手がかりになることがあります。
また、口腔疾患が心配なときは、できたら直接口の中を確認し、食べ方なども注意深く観察してみましょう。
いずれの場合も、自分で確認できない場合には、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
3.爪とぎをしなくなった
爪とぎはテリトリーを示すマーキングやストレス解消などのために行います。猫にとって本能的な行動なため、高齢になって徐々に頻度が少なくなることはあっても、急にしなくなったということはあまりありません。もし、突然爪とぎをしなくなったときには、原因を考える必要があります。
主な原因として、病気などによる体調不良や関節痛などが考えられます。体調不良の場合には、爪とぎをしないほかにも食欲不振や元気喪失など、その他の症状がみられることがあります。
関節痛を発症している場合では、爪とぎをするとき姿勢がツラいことでやめてしまうことがあります。
なお、爪とぎには段ボール、麻ロープ、木製などがありますが、これらの種類の変更なども、猫が爪とぎをやめてしまう原因になります。この場合には猫の好みに合ったものを与えれば、特に問題ありません。
4.鳴かなくなった
ふだんはよく鳴いていた猫が急に鳴かなくなったときには、気分的な変化以外に感染症による喉の炎症や甲状腺の病気が考えられます。
一般的には、猫風邪(カリシウイルスやヘルペスウイルス)などの感染によって喉や声帯に炎症が起こり、痛みや炎症で声を出せない、出したくないといったケースです。
これらの猫風邪は、通常ワクチンで予防しますが、あくまでも重症化を防ぐものなので感染を防ぐことはできません。
特に唾液や分泌物などの接触で感染するカリシウイルスは感染力が非常に強く、室内飼いでワクチンをしていても、状況によっては感染してしまうのです。
また、甲状腺機能亢進症の症状では、大声で叫び続けることで喉がかれてしまうことがあります。特に高齢猫では注意が必要な症状です。
5.甘えなくなった
愛猫がある日突然甘えなくなったら、身体的・精神的の両方の要因が考えられます。
身体的な要因としては、痛みや発熱などの体調不良、ホルモンバランスの変化などがあります。
猫は弱みを隠す性質があるため、不調があることで飼い主と接するのが億劫になり、甘えなくなることがあります。また、多頭飼いの場合はほかの猫に寄らないなどの様子も見られます。
一方、精神的な要因の場合は特定が難しいですが、環境の変化や怖い思いからの不安やトラウマ、家族や同居猫との信頼関係の喪失などが一例としてあげられます。
甘えて来ないからといって「そっとしておこう」と放置すると、身体的な疾患につながることもあります。ストレスが引き金となり、膀胱炎や消化器症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
ふだんから見られる猫の行動に変化があったときには、まず体調の確認をしましょう。身体の痛みや元気の有無、傾眠、発熱などは、さまざまな病気の症状としてあらわれることがあります。
食欲の有無や排泄の状態には、健康状態があらわれやすいため、日頃から注意しておくとよいでしょう。愛猫の心配な変化に早く気づくためには、ふだんの様子をよく知っていることで異変にも気づきやすくなります。
もし、いつもと違う様子に気づいたら、躊躇(ちゅうちょ)せずに獣医師に相談するようにしてください。早めに獣医師に相談することで、愛猫の健康を守ることにつながります。
(獣医師監修:葛野宗)