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渋谷を象徴する明治創業の老舗! 新たに手がけた立ち飲み&ビストロ『富士屋本店 サクラステージ』

さんたつ

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明治16年(1883)創業の老舗「富士屋本店」は渋谷区桜丘の酒販店としてスタートし、店の横ではじめた角打ちが、渋谷の立ち飲み文化の始まりとなった。その歴史的な名店の跡地に建ったのが、渋谷の新スポット「渋谷サクラステージ」。そこに『富士屋本店 サクラステージ』がオープンした。1階に立ち飲み、地下1階にビストロを備え、再びこの地でうまい酒と料理を提供している。

富士屋本店 サクラステージ(ふじやほんてん さくらすてーじ)

トレードマークは角打ち時代から続くコの字カウンター

2023年11月30日に竣工した渋谷の新スポット「渋谷サクラステージ」。施設はSHIBUYAサイドとSAKURAサイドに分かれており、JR渋谷駅西口から連結していてアクセスがいい。長い間工事をしていたので「ほうほう、あの白い衝立の向こうはこんなに立派な建物になったのね」と、SHIBUYAサイドを歩いてみた。すると、オシャレな外観の『富士屋本店 サクラステージ』を発見。

バルのように気さくな雰囲気もありながら、シックで上品。
店内は1階に立ち飲み、地下1階にビストロを備えている。

看板にある「お一人様大歓迎!!」の文字に引かれ、店に入った。どうやらこの店は2フロア構成になっているようだ。店内の様子を眺めていると、「1階は立ち飲みで、地下にあるビストロのウェイティングバーとしても使えるんですよ」と、店長でソムリエの髙浦崇幸さんが声をかけてくれた。

コの字のカウンターは高級感のある1枚板。キッチンを囲みながらわきあいあいとお酒が楽しめる。

「富士屋本店」は明治16年(1883)に渋谷区桜丘で創業した酒販店で、その横で始めた角打ちが渋谷の立ち飲み文化の始まりといわれている。現在は、渋谷区桜丘、日本橋浜町、三軒茶屋に全6店舗を展開する。

「昭和に入ると本格的に飲食店業態をスタートさせ、今は、立ち飲み、ワインバー、グリルバー、和食の店を展開しています。2024年1月9日にオープンした『富士屋本店 サクラステージ』は、立ち飲みとビストロを2部構成にしたいちばん新しい店舗なんですよ」

格子の奥にも酒が収納されている。テーブルは1人または2人でちょうどいいサイズ。

取材当日はオープンから約半年後。おしゃれな酒瓶がインテリアのように並べられている店内は、まだ新築のニオイがする。

「会社としてはいろいろな業態を展開していますが、『富士屋本店』のコンセプトは共通して“レストランには1人で行けないけど、『富士屋』には1人で行ける。地域密着のエナジースタンド”というのを掲げています。渋谷で働く人や遊びに来る人、近所に住んでいる人など常連さんがすごく多いんですよ」

テーブルにはバッグをかけられるフックも完備。

店の外に目を向けると仕事が終わった人たちが急ぎ足で駅に向かうのが見えるが、筆者はすっかりリラックスモード。酔いにまかせてぼ〜っと窓の外を眺めるのもいいですねぇ。

クラフトビールにクラフトジン、ここでしか味わえない酒がある

まずはお酒をいただきたい。メニューを見るとビール、レモンサワー、カクテル、ウイスキーなどひと通りのものが揃っているが、とくにワインは豊富に取り揃えられ、グラスワインはもちろん、分厚いボトルワインのリストも用意されている。

厚さ3cmはありそうなワインリストの中には、ラグジュアリーなワインもある。

「珍しい日本酒や焼酎などメニューにない酒も出しますからおっしゃってください。酒屋なので酒は売るほどありますから(笑)」

それは頼もしい! じゃあ、まずはビールを飲もうかな。クラフトビールの欄に“スタッフまで”と書かれているので尋ねてみると、レシピからオリジナルだという。「北千住にある『さかづきBrewing』で作ってもらっているんですよ。『オリジナルIPA 富士屋ビール』は季節ごとに違う生のフルーツを使って醸造しているから、時季によって違う味が楽しめるんです」

ビール好きとしてはぜひいただいてみたい! というわけで、オリジナルIPA 富士屋ビール(ハーフ)600円でカンパーイ。

やや白濁したオレンジ色のオリジナルIPA 富士屋ビール(ハーフ)。グラスもおしゃれ!

本日のクラフトビールは、原料に土佐文旦を使用したもので、かんきつの爽やかな香りと、苦味とコクがあり飲み応えのあるビールだ。これはヤバイ。おつまみナシでも無限に飲めるほど好きなタイプの味。

「気に入ってもらえました? ウチはね、カクテルに入れるシロップとかトマトジュース、サングリアとか自前で作っているものもあるから、ほかにはない酒が味わえるんです」といって、髙浦さんがいろいろ見せてくれた。

スパイスとレモンを漬け込んだ、自家製レモンシロップ。
トマトを湯むきして作るトマトジュース。「そのままジュースで飲むのはもちろん、お酒で割って飲んでもおいしいです」と髙浦さん。
瓶に入れたジンに山椒が入った袋を下げておき、香りだけを酒に移した山椒ジン。

果物やスパイスを酒に漬け込むのはよくあるけど、香りだけを移したものは珍しいので飲んでみたい。どれも興味を引かれるが、おつまみを選んでからお酒を決めようかな。

バターでカリッと焼き上げたプレスサンドと爽やかなカクテル・山椒トマト

おつまみはプロシュートやチーズのほか、季節の食材を使った前菜からリゾットまで地下1階のビストロと同じメニューも複数用意されている。クラフトビールで胃が刺激され、ちょっと小腹が減ってきた。

「それなら、立ち飲み限定のサンドイッチはいかがですか? ボリュームがあって、おつまみにもなりますよ」という髙浦さんのアドバイスから、プルドポークとチーズのホットプレスサンド900円をオーダーした。

チーズ盛り合わせにも引かれたけど、プレスサンドに軍配が上がった。

「調理は地下のビストロでやっているので!」とのことで、店内にある階段を下りどんなふうに作られているのか見せてもらった。

天井が高く地下とは思えないほど広々した店内。壁一面にワインが収納されている。
地下にもキッチンを囲むコの字カウンターがある。

「こちらのビストロのほうが、メニューが断然多いです。コース料理も用意されていますし、しっかり食事をしながらお酒を楽しみたいならこちらをおすすめしています」。そうなんですね。次に来る時はビストロの予約をしよう。

「ビストロもいいなあ」って、見とれている場合ではない! さっそくプルドポークとチーズのホットプレスサンドを作ってもらおう。

バーベキューソースで味つけた豚肩ロースを焼いてほぐし、それを自家製パンにたっぷり乗せる。さらにピクルス、チェダーチーズを重ねていく。
パンで蓋をしたら、プレスしながらバター焼きにして完成。染み出した肉汁、バーベキューソースとチーズ、バターの焦げた香りが芳ばしい!

できあがりのアツアツを1階まで運んでもらい、いざ第2ラウンドへ。おともに選んだお酒はさっき見せてもらった山椒ジンを使った、山椒トマト650円だ。

セロリの葉とライムを従えてやってきた山椒トマト。まるでサラダのようにカラフルだ。

まずは山椒トマトをひと口。セロリがふわっと香り、フルーティなトマトの風味、清涼感のあるライムがすごく爽やか〜。加えてジンに香り付けた山椒が上品だ。空中にぶら下げていただけで、こんなに香りが付くの? しっかりアルコールも入っているので喉がカ〜ッと熱くなった。

自家製トマトジュースを使用し自然の旨味がいい。コップの底にトマトの種が沈んでいるところに素材を感じられる。

2口飲んだところで次はホットプレスサンドへ。まずバターの香りがして、カリカリとした食感がいい。中には甘じょっぱいバーベキューソースで味付けられた豚肉やピクルス、チーズがぎっしりと詰まっていて、なるほどこれはお酒に合う。

はみ出た肉がちょっと焦げているところが香ばしくて特においしい。

片手にプレスサンド、もう片方にお酒を持って完食するまで手放せない。ひとつ完食したらすぐさまもうひとつに手をつけ、あっという間に食べ切ってしまった。

1人飲みだとついついスマホをいじってしまうけど、ここでは隣の人との距離が近いから世間話をしながら楽しめる。駅近だし、家に帰る前にちょっと1杯飲んで帰るのもよさそうだ。

富士屋本店 サクラステージ(ふじやほんてん さくらすてーじ)
住所:東京都渋谷区桜丘町1-4 渋谷サクラステージSHIBUYAサイドA街区14区画/営業時間:17:00〜22:00LO/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩5分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢

アート・サプライ
編集プロダクション
1971年創業の編プロ。「旅&食&散策」ジャンルに強く、情報誌では子供向けから鉄道やドライブでの大人旅まで。さらにグルメ系ではラーメンや唐揚げ専門情報誌をはじめ、日本全国うまいもの紹介なども手掛けている。

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