中日ドラフト1位の関西大・金丸夢斗インタビュー第2弾「1年目の目標は2桁勝利&新人王」獲りたいタイトルは「もちろん全て」
10月24日に開催されたプロ野球ドラフト会議にて中日ドラゴンズに1位指名された関西大の金丸夢斗投手への独占インタビュー第2弾。「獲りたいタイトルは?」「契約金の使い道は?」「大学4年間でのベストピッチは?」などドラフト会議で4球団が競合した世代最強左腕を質問攻め!プライベートな一面にも切り込んだファン必見の内容です。動画も合わせてご覧ください。
【ドラフト前に行ったインタビュー第1弾はこちら】
・関西大・金丸夢斗インタビュー①異次元投球支える練習法と最終シーズンへの決意
・関西大・金丸夢斗インタビュー②「ドラ1でプロ」実現へ、苦難を成長の糧とする世代最強左腕
人生初の名古屋で「ひつまぶし食べてみたい」
――先日のドラフト会議では1位指名で4球団が競合し、中日が交渉権を獲得しました。指名された瞬間はどのような心境でしたか?
初めての経験だったので、うれしかったというところと、ほっとした気持ちが一番大きかったです。どこから指名されても表情を変えずに、というのは決めていたので、その通りにできました。
――ドラフトから少し時間が経ちました。
当日は頭が真っ白で実感があまりなかったのですが、時間が経って少しずつですけど実感が湧いてきて、(今は)少し落ち着いてきました。
――ドラフト翌日、指名挨拶を受けて井上一樹監督と対面されましたが、実際にお会いしての印象は?
テレビで見るよりも体が大きくて圧倒されましたが、話してみるととても柔らかい方で、フレンドリーに接してくださり、とても話しやすかったです。
――どのようなお話を?
現在の体の調子や今後の選手像について、ざっくりとですけどお話させていただきました。
――契約金の使い道は決まっていますか?
まだ決まっていませんが、これまで支えてくださった方々への恩返しという形で使うことを考えています。それ以外は、自分が自由に使いたいように使おうかなと。
――現在もトレーニングは続けていらっしゃいますか?
トレーニングはしていますが、今は腰をしっかり治すことをメインにしているため、できることをやるといった状況です。
――ドラゴンズへ入団するにあたり、名古屋について調べてみたことは?
名古屋には行ったことがないので、少しずつ食べ物や場所などを調べています。特にひつまぶしは食べてみたいですね。(入団するにあたり)やること自体はそんなに変わらないと思うので、自分の持ち味を出せるようにこの期間でしっかり準備をする、ということを意識して過ごしています。
――前回のインタビュー時に温泉やサウナに行くことが趣味と話していました。名古屋周辺についても既に調べましたか?
まだ調べていませんが、名古屋の周辺にもたくさんいい場所があると聞いていますので、探して行ってみたいですね。
――ドラゴンズにも髙橋宏斗投手や柳裕也投手などサウナ好きの選手がいます。
ぜひ一緒に行ってみたいです!
「できるだけ多くのタイトルを獲り続けられる投手に」
――今はご実家から通われているとのことですが、親元を離れて暮らすのは初めて?
はい、寮に入るのは初めてです。
――入寮に際して、持っていきたいものや愛用品などはありますか?
マットレスと抱き枕ですね。抱き枕がないと寝られないタイプなので。また、ドラフトが決まった日に友人から縁起物としてもらった馬の置物も持っていこうかと思っています。
――抱き枕はくまのプーさんのものですね。
はい(笑)。特に理由はないんですけど、UFOキャッチャーでとれたので、ずっと使っています。
――ドラゴンズには髙橋宏斗投手や松木平優太投手、今回ドラフト2位指名された吉田聖弥投手など同学年の投手がたくさんいらっしゃいます。
お互いに刺激しあって、先発ローテーションに入れたらいいなと。ただ焦ることなく、やるべきことをやっていけたらと思っています。
――すでにプロ入りしている同学年の選手たちに聞きたいことはありますか?
初めてのプロ生活でわからないことが多いと思うので、同級生ですけど色々と教えてもらいたいです。
――プロで対戦してみたいバッターは?
ヤクルト・村上宗隆選手や巨人・岡本和真選手など、セ・リーグを代表するような選手たちと対戦してみたいです。
――その選手たちをどう抑えるか、イメージしていることは?
まだ具体的なイメージはないですが、配球通りにしっかりと投げきることができれば、抑えられないことはないんじゃないかなと思っています。
――プロ1年目の目標は?
2桁勝利です。勝てる投手がチームにも勢いをもたらせると思いますし、防御率や奪三振といったタイトルにもかかわってくると思うので、まずは勝てる投手を目指したいです。
――獲りたいタイトルは?
もちろん全てですね。特に1年目は新人王を目指したい思いは強くあります。できるだけ多くのタイトルを獲り続けられる投手になりたいです。
――オリックスの野口智哉選手とは大学時に一緒にプレーされていました(金丸投手が1年生時に野口選手が4年生)。
後ろを守ってくれていましたし、スゴイ選手だということは当時からわかっていましたが、(関大は)上下関係がいい意味でゆるいので、たまにゲームを一緒にやったり、プライベートでは本当に仲良くさせてもらっていました。
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「バンテリンドームで投げられてうれしい」
――セ・リーグはDH制がなく投手も打席に立ちますが、打撃の方は?
好きは好きですね。大学でもDH制はなかったので、変わらずバッターボックスに立てるということで楽しみではあります。
――大学では打撃練習はしていた?
リーグ戦前にちょこっとやるだけでした。
――本拠地がドーム球場(バンテリンドーム)となりますが、これまでにドームのマウンドに上がった経験は?
今年3月の「侍ジャパン」強化試合で、京セラドーム大阪のマウンドに立った1度だけです。
――実際投げてみての印象は?
ドーム球場の雰囲気は初めてでしたが、とても投げやすかったです。ドラフト前からドームで投げられたらいいなとは思っていたので、バンテリンドームで投げられることになってうれしいです。
――マウンドの硬さは気にならない?
僕は硬い方が好きなので、ちょうどいいんじゃないかなと思います。
――今春のリーグ戦で故障したのは、甲子園のマウンドで投げているときでした。
気持ちが入っていたのもあるかもしれないですが、その前に違和感はちょこちょこあったので、たまたまあの試合で悪化というか発症してしまっただけかなと。硬いマウンドがあっていないというわけではないと思います。
――近年野球界ではデータ活用が盛んですが、大学ではどんな取り組みを?
ラプソード(※)はありますが、1度測ったことがあるくらいです。プロの世界は設備もすごいと思うので楽しみにしています。
※高性能のカメラとレーダーにより、ピッチングやバッティングのデータを測定・分析する機器。
――プロ野球はこれまでとは違って約半年間に及ぶ長いシーズンとなります。
やっぱり長いのでしっかりと体力をつけることと、どれだけ省エネでというか、ローテーションに入ると1週間に1回(登板が)まわってくるので、疲れの取り方など学ばなければいけないことがたくさんあるかと思います。トレーニング、練習を重ねて、なんとか(1年間)投げられるようにやっていきたいです。
――1年目は何試合くらい投げたいですか?
うーん、難しいっすね(笑)。もちろん全試合投げたい気持ちはあるのですが、息の長い選手になりたいので、体と相談しながら無理はせずにと思っています。
「僕たちにしかできない経験ができた」大学4年間
――大学では文学部に所属していますが、選んだ理由は?
大学からここへ行けと。文学に興味があったわけではないです(笑)。
――卒論のテーマは?
アジア文化専修なので、日本と韓国の文化の違いが野球にどう影響を与えているか、ということを調べています。日韓戦がよく注目されるので。
――改めて大学生活を振り返って思い出に残っていることは?
ほとんど野球しかしていないので、大学生らしいことはあまりしていませんが、20歳を超えてチームメイトとお酒を飲んだりするのは楽しかったです。キャンパス内で楽しそうにしている大学生を見てうらやましいなと思うこともありましたが、僕らは僕らで、野球で目標に向かって頑張るという、僕たちにしかできない経験ができたと思います。
――その中で、うれしかったことや悔しかったことは?
侍ジャパンに選ばれたり、タイトルを獲ったりしたその瞬間は本当にうれしかったです。また、2年生の時に神宮大会に出られたことも、人生初の全国大会だったのでとても印象に残っています。最高学年でその神宮に行けなかったなど、細かく見ていくと悔いはいっぱいあるんですけど、この4年間、自分なりにはやり切ったなと。
――ラストシーズンは最後まで優勝争いを演じました。
1節目から勝ち点を落として、どうなるかというところから何とか持ちこたえて最後は優勝争いまでいけたので、春の悔しい結果から頑張ってきてよかったなと。あと一歩で優勝できなかった悔しさもありますが、それは次のステージでぶつけていきたいと思います。
――大学4年間の中で、特に大きな財産となった経験は?
侍ジャパンの経験は大きかったですね。例年ではなかったことですし、あれだけたくさんの方に見てもらっている中、緊張感のある舞台でも自分のピッチングをすることができたのは自信になりました。
――1年秋に公式戦デビューを果たしてから4年間、個人的なベストピッチを教えてください。
3年生の秋、立命館大との3戦目です。負けると優勝が遠のいてしまう、勝ち点がかかった大事な試合でした。1戦目に完投後、2戦目を落として3戦目もう1回となったときに、体の疲労も非常にあった中で10回を1失点で抑えることができました。9回はノーアウト満塁のピンチだったんですけど、そこを何とかゼロに抑えることができて、その直後に(味方が)点を取ってくれた。あの試合は大学4年間で一番いい試合でした。
関西大学体育会野球部提供
恩師、チームメイト、両親、そしてドラゴンズファンへメッセージ
――お世話になった小田洋一監督、山口高志アドバイザリースタッフとの印象的なエピソードは?
小田さんは最後の1年でしたけど、ケガもあった中で自分の体のことを気遣ってくださいました。山口さんはもう入学当初からフォームだったり、トレーニングだったり、たくさん教えてもらいましたし、 関西大学に入学できたのも山口さんとのご縁があってのことだったので。お二方には本当に感謝しています。
――チームメイト(先輩、同期、後輩)はどんな仲間たちでしたか?
先輩方に関しては、入学当初は甲子園のスターだとか、すごい球を投げる投手ばかりだったので、本当についていくので精一杯でした。ただ、その先輩方がいてくれたからこそ、自分も頑張ろうっていう思いにもなりましたし、成長したと思うので、先輩の姿っていうのは本当に大きかったですね。同級生は力もとてもありましたし、真面目というか、積極的に練習に取り組む人たちが多かったので、自分もいい流れに流されて真面目に取り組むことができました。本当に同期に恵まれたなと思います。
後輩のみんなも練習を進んでやる選手がたくさんいたので、学ぶこともたくさんありましたし、仲良くもしてもらいました。僕たちが果たせなかった優勝をぜひ達成してほしいなと思います。
――関西大学から直接のプロ入りは野口選手以来(2021年ドラフト2位でオリックス入団)となりましたが、後輩で続いてほしい選手は?
荒谷(紘匡)であったりとか、足立(幸)、山下健信であったりとか、その3人は下級生の頃から登板もしていますし、力はあると思う。今のままではまだプロっていうのは厳しいと思うので、さらに頑張ってもらって。練習を本当に良くする子たちなので、順調に成長したらプロの世界もあるんじゃないかなと思うので、頑張ってほしいですね。
――これから厳しいプロの世界に飛び込みます。ここまで育ててもらったご両親にいま伝えたいことは?
今までは小中高大とエースで来たんですけど、 プロの世界ではそんな簡単にエースになることはできないと思うので、その時がいつか来ると信じて見守ってほしいです。そして、少しでもプロの世界で活躍して恩返しできたらと思います。
――最後に、入団を心待ちにしているドラゴンズファンへメッセージをお願いします。
4球団競合した中でご縁があったのがドラゴンズさんでした。しっかりとチームの勝利に貢献できるよう、精一杯腕を振っていきたいと思っています。応援よろしくお願いします。
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≪プロフィール≫
金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年2月1日生まれ。兵庫県神戸市出身。身長177センチ、体重77キロ。左投げ左打ち。小学1年から野球を始め、神港橘高から関西大へと進学。1年秋に公式戦デビューすると、3年秋に最優秀投手に選ばれるなどベストナインを3回、MVPを2回受賞。今年3月には侍ジャパントップチームに選出され、欧州代表戦で2回をパーフェクトに抑えた。10月のプロ野球ドラフト会議では1位指名で4球団競合の末、中日が交渉権を獲得。
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記事:SPAIA編集部