解熱剤や入浴はどうするの? 0・1歳児「赤ちゃんの発熱」段階別受診の目安と5つのケア方法 小児科医が解説
赤ちゃんの「発熱」について小児科医・岡本光宏先生取材。体調不良時の対応やチェックすべきポイントや受診の目安など。 「0~1歳児の赤ちゃんのホームケア」シリーズ(全11回の3回目)。
「赤ちゃんの発熱」受診のチェックポイントとケア方法を小児科医が解説赤ちゃんの体調不良のときにチェックしておくポイントや家庭での対応、受診の目安などを「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生にお聞きしました。3回目は、赤ちゃんの発熱についてです。
兵庫県三田市にある「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。新生児から思春期の心の疾患まで、幅広く診察している。
熱は37.5度以上から
発熱の原因には、感染症によるものに加え、気温や湿度が高いときや厚着、運動などで体に熱がこもることなどがあります。
目安として、「発熱は37.5度以上」、「高熱は38度以上」と考えておくといいでしょう。
「おでこや耳で測るタイプの体温計は便利ですが正確ではないので、正確に測るのならわきの下に挟むタイプを使ったほうがいいでしょう。測る前に乾いたタオルやガーゼなどで、わきの下の汗を拭くことがポイントです」(岡本先生)
生後3ヵ月未満なら即受診を
赤ちゃんが発熱したときに、小児科を受診するかどうかの目安を段階別に紹介します。
まず、赤ちゃんが3ヵ月未満の場合、37.5度以上の熱があれば時間外でも受診が必要です。「生後3ヵ月以上の赤ちゃん」の場合は下記の通りです。
〈様子見でOK!〉
・発熱以外の症状がない
・水分がとれている
・元気があり、食欲がある
〈小児科を受診〉
・発熱の翌日に症状が悪化した
・元気だけど、発熱以外の症状がある
〈時間外でも急いで受診を〉
・ひどく機嫌が悪い
・けいれんを起こした(※1)
・水分がとれない
・ぐったりしている
・41度以上の熱がある
(※1)発熱に伴い、突然意識を失って体がかたまる、白目をむいて震えるなどの状態
イラスト/オヨネ
〈受診の準備〉
・体温の変化をメモしておく
・(けいれんを起こしたときは)けいれんが続いた時間をメモしておく(録画できればしておくといい)
・発熱以外の体の状態(せき、鼻水、食欲、水分補給、機嫌、うんち・おしっこの状態)を確認する
「大人が2人以上いる場合は、1人が赤ちゃんの様子を見ている間に、もう1人が記録用に動画を撮っておくなどの連携を取れるといいですね」(岡本先生)
家庭でできる5つのケア
写真:アフロ
赤ちゃんの発熱時に、家庭でできるケアの方法を紹介します。
【1】赤ちゃんにとって快適な温度にする
赤ちゃんにとって快適な温度かどうか、赤ちゃんの手のひらを触って確かめます。赤ちゃんの手のひらが冷たい場合は寒がっているので、掛布を増やすなどして温める、赤ちゃんが快適に過ごせます
【2】安静にして寝かせる
赤ちゃんがゆっくり休めるように、静かで快適な環境を整えましょう。ただし、長時間眠り続けている場合は、たまに起こして水分を与えます
【3】こまめに水分を与える
離乳食前は母乳・粉ミルクを少しずつ、卒乳後は経口補水液や乳児用のイオン飲料などを少しずつ飲ませます。ただし、子どもが嫌がるときは無理に飲ませないようにしましょう
【4】短時間の入浴(※ただし、症状が軽く、機嫌がいいとき)
汗を流すために短時間入浴をして、体を清潔にします
イラスト/オヨネ
【5】消化にいいものを食べさせる(※ただし、症状が軽く、食欲があるとき)
消化がよく、のど越しのいいものを食べさせます。食欲がなければ無理に食べさせる必要がありませんが、水分はこまめに与えましょう。
注意したいポイント
「解熱剤を使いすぎないことです。熱は風邪ウイルスを倒すために出ているので、熱自体が悪いわけではありません。解熱剤で無理に下げる必要はありませんが、赤ちゃんがしんどそうにしているなら解熱剤を使ったほうがゆっくり休めるのでいいでしょう。よく休むことも治療のひとつですからね」(岡本先生)
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発熱時の受診の目安や準備しておくといいことがわかると、いざというときに適切な行動が取りやすくなるでしょう。
とはいえ、本記事で紹介したことは、あくまでも目安です。不安なことや判断に悩むことがあれば、かかりつけ医に相談してみてくださいね。
赤ちゃんのホームケア、次回4回目は、知っておきたい赤ちゃんの「薬の飲ませ方」についてお届けします。
取材・文/畑菜穂子