秋アニメ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』スカーレット役・瀬戸麻沙美さんインタビュー|カイルの行動を考えたら、パンチ1発で済んだならいいほうでは【連載02】
シリーズ累計187万部(漫画、電子含む)を突破するファンタジー小説『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』がTVアニメ化。2025年10月3日よりTOKYO MX・BS11・群馬テレビ・とちぎテレビ・MBS・CTV・AT-Xほかにて放送中です。
本作は、“武闘派公爵令嬢”スカーレットによる痛快ファンタジー。第1話では、パリスタン王国の第二王子・カイルから理不尽な婚約破棄を告げられ、ありもしない罪まで着せられてしまったスカーレットが、カイルと彼の新しい婚約者・テレネッツァや貴族たちをぶっ飛ばしました。
アニメイトタイムズでは、本作の見どころをキャスト・スタッフに聞くインタビュー連載を実施! 連載第2回目は、スカーレット・エル・ヴァンディミオン役の瀬戸麻沙美さんに、一話を振り返ってもらいながら、今後の見どころについてもお話いただきました。
【写真】秋アニメ『さいひと』瀬戸麻沙美が第1話を振り返る「カイルの行動を考えたら、パンチ1発で済んだならいいほうでは」
ジュリアスはスカーレットにとって「悪い意味で気になる存在」
──スカーレットの鉄拳制裁がさく裂した第1話。振り返ってみての感想を教えてください。
スカーレット役・瀬戸麻沙美さん(以下、瀬戸):舞踏会の場でカイルに婚約破棄を突き付けられ、そしてテレネッツァをパンチするという始まり、その後、オープニングを挟んで過去のスカーレットの回想へと入っていくという構成がすばらしく、物語に引き込まれました。主人公のスカーレットへの理解が深まり、一気に彼女に魅了されるような第1話だったと思います。スカーレットが「私は子供の頃から、とにかく人を殴るのが好きでした」って、自分で語っているところも面白かったですね!
──第1話の後半では、第一王子のジュリアスも登場しました。
瀬戸:ジュリアスは、見た目や行動は誰もが憧れる王子様みたいな感じなのですが、スカーレットの回想を見る限り、どうやら王道を行く王子様ではなさそうで(笑)。ヒロインと王子様の甘い物語が展開されることもなく、むしろスカーレットはジュリアスを「殴りたい存在」として認識しています。悪い意味で気になる存在になるという出会いから始まった二人の関係性がどうなっていくのかも気になる第1話でした。
──カイルはぶっ飛ばされますが、でも改めて考えてみたら、そりゃぶっ飛ばされても仕方ないよなという人物で。
瀬戸:そうなんですよね! カイルは“ちょっとした意地悪”という言葉では片づけられない嫌がらせをずっとスカーレットにやっていたんです。学生になってからも傍若無人ぶりを発揮して、スカーレットを攻め立てていました。それをスカーレットがうまくかわしていたのも、彼にとっては面白くなくて、また嫌がらせをしてくる。カイルのいままでの行動を考えたら、パンチ1発で済んだならいいほうではないかと思いました。
品のある役をやるときには、大きな声で喋らないよう意識しています
──第1話のアフレコはいかがでしたか?
瀬戸:カイルを演じる坂(泰斗)さんはすごく声量があって、迫力のあるお芝居でしっかりと「嫌な奴!」を演じてくださいました。だから私も、「嫌な奴!」と思いながらお芝居で立ち向かえたんです。そんな掛け合い、物語の展開を内心は面白いなとも思っていましたが、スカーレットはそういう勢いに乗らないタイプなので、表には出しませんでした。一方で、モノローグでは本音を吐露することが多いので、ふてぶてしく相手を思いながら演じたんです。すごく楽しい収録でしたね。
──スカーレットを演じるなかでどんなディレクションがありましたか?
瀬戸:「あん?」ってドスをきかせるところは「もうちょっと強くやってください」というディレクションがありました。実際のオンエアで見てみたら、演出も相まってより際立つ感じになっていたんです。あそこは緩急をしっかりつけるために「強くやってください」というディレクションだったんだと、映像を見てより納得しました。
──連載第一回目のときにジュリアス役の加藤渉さんが「瀬戸さんは流麗にスカーレットとしての品のある言葉を紡がれていた」とお話されていました。そういうお芝居をするコツやポイント、意識している点はありますか?
瀬戸:貴族って、周りが耳を傾けてくれる立場の人じゃないですか。それなら、あまり大きな声を出す機会もないと思うんですよ。なので、貴族みたいな品のある役をやるときには、大きな声で喋らないよう意識しています。あとは、これは意識的じゃないですし、自己分析の話になってしまうのですが、私は声質的にあまり粗野な声になりにくいタイプだと思うんです。どちらかというと、育ちが悪そうな芝居をする方が苦手なんですよ。
──なるほど……!
瀬戸:なので、スカーレットのような言葉を丁寧に喋る役どころは、個人的には演じやすくて。それを削っていく作業のほうが難しく感じますね。さきほどお話したカイルみたいな貴族の役は、私にとって挑戦になると思います。今後、スカーレットがパンチをしていく悪徳貴族たちは先輩方が演じられることが多いんです。先輩方の、いかにも「悪い奴です」という演技を後ろで見ながら、勉強させてもらいました。
──悪徳貴族を先輩方が演じられるというお話もありましたが、今後登場するキャラクターで、瀬戸さんがぜひ読者のみなさんに注目してほしいキャラクターを教えてください。
瀬戸:いっぱいいますが、ディアナちゃんというスカーレットのことを慕ってくれる元気でかわいい女の子の登場を待っていて欲しいです。ディアナとスカーレットの絡みに期待していてください。あとは、アルフレイムという皇子。ジュリアスとは対照的な生気がみなぎっている皇子様です(笑)。そういう人と出会ったときのスカーレットの反応をぜひ楽しんでください。
スカッとするのとムカつくのって、背中合わせな気がするんです
──悪徳貴族たちをスカーレットが鉄拳制裁するさまがスカッとする本作。瀬戸さんは、どんなときにスカッとしますか?
瀬戸:スカッとするのとムカつくのって、背中合わせな気がするんです。私、ゲームが好きなんですけど、負けると信じられないくらいムカつくし、落ち込むのですが、勝ったときの嬉しさも半端ないんです。勝利をつかんだときや敵をいっぱい倒せたときの高揚するあの瞬間や、練習してきた成果が出せたと感じたときスカッとしますね!
──言われてみると、確かにスカッとするときとムカッとするときは背中合わせかもしれません。
瀬戸:真剣にやっているものって、どっちの感情にも振れるんですよね。真剣にやればやるほど、上振れと下振れの幅がすごいんだと思います。
──ゲームを楽しむためにやってはいるけども、下振れるときもあるという……。
瀬戸:本当におっしゃる通りで(笑)。楽しむために、リフレッシュするためにやっているのに、イライラして、泣いちゃってバカみたいと思うときもありますが、やっぱりできたときの「よしっ!」という喜びが大きいので、やめられないです。
ナナカが癒しの要素になってくれるはず
──仕事でスカッとする瞬間はありますか?
瀬戸:アニメの仕事だとだいたい4~5時間かけて一話分を収録するのですが、ストーリーゼリフのあるゲームの仕事だと、何千、何万ワードあるセリフを数日に分けて数か月かけて録ることが多いんです。そういうとき、何万もあるセリフの一覧表をスタッフの方が作ってくださるのですが、私は収録が終わったところをひとつずつ塗りつぶしていくんです。それがぜんぶ埋まった瞬間にスカッとしますね!
──さきほどのゲームもお話もそうですが、達成感を味わうときにスカッとするのかも。
瀬戸:そうですね。文量がある仕事をやった後は特に、達成感や解放感があってスカッとします。
──本日は色々なお話ありがとうございました。最後に第二話の見どころを教えてください!
瀬戸:第2話から、ナナカという新キャラクターが登場します。ナナカは麗しい登場人物が多い本作のなかで、マスコット的な役割を担ってくれます。きっとジュリアスとスカーレットがギスギスしたときでも、癒しの要素になってくれるはず。物語はスカーレットがこれから拳で解決していくべき相手が出てきたり、世界の核心にもどんどん触れていったりするので、ぜひご期待ください。
[取材・文 M.TOKU]