【立ち食いそば放浪記329】池袋駅ダンジョンの奥で春を歌う / 駅そば・爽亭の期間限定メニュー「あさりそば」
先日、池袋駅で待ち合わせた時のこと。池袋に住んでいたこともある私(中澤)は「じゃあ、東口の階段前のいけふくろうで!」と気軽に言ったのだが、友達はいけふくろうにたどり着けなかった。言われてみれば、確かに東口は北と南と中央がある。
西口も北と南と中央がある。さらに、東には西武があって西には東武。ネットでも池袋駅はダンジョンと言われている。慣れなのか、私としてはピンと来ないんだけど。そんな迷宮池袋駅の奥にある「爽亭」に立ち寄ってみたところ、春メニューが販売されていた。ダンジョンの奥で春を歌う。
・奥にある駅そば
駅そばチェーンの爽亭。名古屋にあるきしめん住吉の姉妹店で、上野駅や荻窪駅にあるけれど、池袋駅にもあることはそこまで知られてないのではないだろうか。なぜならば……
埼京線のホームへの階段ギリギリにあって、メインコンコースから見えにくい奥まった場所にあるから。まさにダンジョンの最奥と言えるような立地なのである。
・迷宮に春
おまけに池袋駅は、降りる階段によってコンコースが繋がってない。中央1改札と中央2改札では階段から何から全く別になるのだ。迷宮ゆえに経路がガッチリ決まりがちなことを考慮すると、埼京線ユーザーでも知らない可能性すらある。
さて置き、先日、池袋駅に行ったついでにその爽亭に立ち寄ってみたところ「あさりそば(税込600円)」が販売されていた。期間限定メニューと書かれたこのそばは爽亭の春の定番。寒い寒いと思っていたけど、もうそんな時期ですか。
・あさりが良い味出してる
爽亭の特徴は、駅そばチェーンの中でもつゆがウマイことだと思う。醤油味が強めだけど単調さはなく深みがあるのだ。『いろり庵きらく』と甲乙つけがたいくらいである。
失礼、思わず細かすぎて伝わらないことを言ってしまったが、それだけに、あさりもそばというより、つゆにマッチしていた。ふっくらしたあさりが12粒入っていて、みつばの香りと合わさるとお吸い物みたいな和の汁もの感があるのだ。
飲み会明けとか体が重い日に効きそうなスッキリした味。春眠に暁を覚えない体も目を覚ますようだ。近そうに見えて遠い春。寒の戻りの中、その味は春を呼んでいるようだった。コンクリートに冬眠するかのような駅の中、爽亭のあさりそばに春を想う。
それにしても、副都心線近辺の『しぶそば』にしても、西武池袋線近辺の『凛や』にしても、池袋駅の駅そばは隠れすぎではないだろうか。慣れたと思っても新たな場所が現れるところはまるで「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」の如し。池袋駅ってやっぱりダンジョンなのかもなあ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 爽亭 JR池袋駅中央口
住所 東京都豊島区南池袋1丁目 JR池袋駅改札内コンコース
営業時間 月~土6:30~23:00 / 日・祝7:00~20:00
定休日 無休
参考リンク:爽亭
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.