ニュージーランドからネパールそしてフラメンコ Tama Tsuboiさん
ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。
Tama Tsuboiさん
1991年、ニュージーランド生まれのギタリスト&シンガーソングライター。13歳からギターを本格的に始め、17歳ごろからFUJI ROCKやRISING SUN ROCK FESTIVALなど音楽フェスティバルに出演し、ジャンルにとらわれない卓越したテクニックで多くのファンを魅了し続けています。湘南エリアを中心に活動する7人組多国籍バンドSHAMANZのフロントマンでもあります。
JK:お友達の家にいったら、「ものすごいギターの天才がいる」って聞いて。本当天才だと思う! 手がどうなってるのかしら? 手とギターが一緒になったみたいな、不思議な人ですよ。
TT:ありがとうございます(^^;)
出水:ニュージーランドのオークランド生まれですが、どういった経緯で?
TT:両親が自由人で、2人とも日本人で、旅をしていて、お互いネパールで出会ったんです。日本に戻ってきて結婚して、子どもができた時に「どこの国で生むのが一番いいんだろう?」と。日本で育てたくないというのがあったのか、「ニュージーランドは平和でいい国だよ」と聞いて移住して。
JK:そこに長年住んでたんですか?
TT:僕は2歳ぐらいの時に日本に1回帰って来たんですよ。南伊豆の下田のほうに。そのあと4歳の時にネパールに引っ越したんです。僕のお父さんがネパールがすごく好きで。
JK:ネパールって何にもないじゃない? すごく静かで、昔の日本って感じ。
TT:たしかにそういうところあるみたいですね。お父さんも言ってました。人間も日本人と似ていて、すごく謙虚で。絶妙なバランスがあるみたいですね、インドとはまた違って。
JK:アジアでもなく、不思議な国ですよね。「田中く~ん」って言っても「ハイ」って言ってくれそうな感じでした(笑)
出水:ネパールの印象や思い出はありますか?
TT:小さかったので、記憶しているのは景色とか、よく買い物に行っていた場所だったり、住んでいた場所だったりとか。ポカラという町で、フェワ湖からヒマラヤ山脈が見える場所で・・・今から29年前です。
JK:今も変わってないと思う。町のど真ん中に牛がどかっと寝転がってて、神様みたいな存在だから絶対にどかさないのよね。
TT:ゴミ捨て場が道の真ん中にあって、そこに牛がご飯食べにくるんですよ。でも今は砂利道じゃなくなったらしいですよ。
出水:音楽との出会いはいつごろ?
TT:両親も音楽が大好きで、お父さんが趣味でギター弾いたり、お母さんがピアノ弾いたり。音楽活動とかじゃなくて、本当に趣味で。お父さんは溶接アーティストで鉄でものを作ったり、お母さんも絵描きだったらしいです。
JK:ご両親も今は日本にいるんですか?
TT:両親は今ベルギーに引っ越して、ずっといるんですよ。お母さんは今ベルギーで、おしゃれな洋風ラーメンレストランを経営しています。
出水:ギターはいつごろから本格的に手にしたんですか?
TT:始めたのは13歳の時なんですけど、音楽家になる夢はなくて、本当にただ好きで。日本に来た時は日本語が全然しゃべれなかったため学校に行かせてもらえなくて、16歳の時にMIミュージックスクールという渋谷のギタリストの学校に1年間だけ通わせてもらったんですけど、それ以前とそれ以降はずっと部屋で、1人でひたすら練習(^^;)
出水:スパニッシュ調の音楽ですよね?
TT:フラメンコ自体は習ったわけじゃなくて、行ったこともないですし、スペイン語もまったくしゃべれないですし(^^) 9歳ごろからずっとピアノを弾いてたんですけど、旅が多いとピアノは持ち運びできないじゃないですか。それで悩んでた時に、友達がギターを始めて。そのギターを持った時にビビッ!ときちゃったんですよ。「これだ! これやりたい」ってなって、それからずーっとギターを弾いてたんですけど、友達から「このギターすごいよ」って渡されたのがパコ・デ・ルシアのCDだったんです。スペインのフラメンコギターの神様みたいな人なんですけど、彼の音楽を聴いた時、本当に手品を見ているような・・・「こんなのが人間に可能なのか?! この音の早さは果たして人間に可能なのか?!」って。
JK:13~14歳で出会っちゃったのね!
TT:それからは何を聴いても、あのギターを超えるものはない、という概念を勝手に作ってしまって。「ギターといえばフラメンコでしょ!」と(^^;)だんだんそういう風になっていったって感じですね。何をやっても結局そっち系になっていっちゃう。
JK:でも似合ってますよ! エキゾチックな雰囲気で。
出水:NHKの番組「いあいいないばぁっ!」にも「オーレ」という楽曲を提供されていますね。
TT:今回はサッカーとかボール遊びがテーマだったので、それに合うような曲を書いてほしいっていうことで声をかけていただきました。僕の子どもは作ってる時から知ってて、「オーレ!」って声をかけてますね。
JK:お子さんは何人?
TT:3人います。上が10歳、もうそろそろ11歳。下が4歳の双子なんです。みんな女の子。すごい賑やかです(^^)
出水:2012年には7人組多国籍バンドSHAMANZを結成して活動していますね。
TT:コロナになった2020年に7人から3人に変わったんですけど、当時はキューバ人もいたり、アフリカンアメリカ人、韓国人がいたり。日本人もみんな日系アメリカンだったので、純日本人はサックスが1人だけでした。
JK:国際的でおもしろい!
出水:「Yatra」というのが最後にみなさんでレコーディングしたアルバムですね?
TT:「Yatra」とはヒンドゥー語でjourneyという意味なんですが、物理的な旅というよりも、スピリチュアルな旅という意味で付けました。僕にとってはという意味ですが・・・コンセプトが今までの自分の人生や作曲の旅。僕の曲はすべて自分の体験だったり、恋愛だったり、自分が思ったことをベースに書いてるので、ジャンルとかテーマにこだわらず、すべて1つに詰め込んだ作品です。
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)