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千年COMETS【ライブ直前インタビュー】80年代に躍動した耽美派ロックバンド奇跡の復活!

Re:minder

2024年07月12日 千年COMETSのライブ「復活祭 第一章」開催日(渋谷 duo MUSIC EXCHANGE)

千年COMETS奇跡の復活


千年COMETSが復活する。突然の話に驚いた。

2024年3月31日に原宿クロコダイルで『伝説のスーパーバンド 千年COMETS 奇跡の復活前夜祭』と題されて行われたライブでは、オリジナルメンバー全員が集結。林海象監督を迎えてのミュージックビデオの上映や、今回の再結成のきっかけとなったスネアカバーのライブ、そして、ほんの数曲の短いものではあったが、千年COMETSが演奏した。当時から実力派だった楽器隊の演奏力はもちろん確かなものだったが、驚いたのは高鍋千年のヴォーカルが全く衰えていなかったことだ。ハスキーな声質とアンニュイな表現力、歌唱力もあの頃のまま。どう見てもリアルに現役のバンドだった。

千年COMETSは1987年にCBS・ソニーからデビュー。オリジナルアルバム3枚と、解散後は高鍋千年のソロユニット=ルナティック・オーケストラで1枚のアルバムを残し、シーンから姿を消した。メンバーは、ソングライターでボーカルの高鍋千年。カルメン・マキ&OZほか多くのバンドに参加し、当時すでにベテランとして日本のロックシーンのリズムを支えてきた川上シゲ(ベース)と武田 “チャッピー” 治(ドラムス)。女性ギタリストの長井ちえ。キーボードの海老ヨシヒロという5人。現役時代から謎が多いバンドで、雑誌などへの露出はあってもイメージが中心で、バンドの成り立ちなどを語るインタビューはあまりなかった印象がある。

それから30年。突然の再結集の裏には何があったのか。これからどこを目指すのか。このインタビューは、次のライブに向けてリハーサルをするスタジオで、メンバー全員と、千年COMETSの結成から今回の再結成にも大きく関与しているディレクターのハリー吉田氏が参加して行われた。

スネアカバーのライヴでメンバーが再結集


ーー まず活動再開のところからうかがいます。ハリーさんが手がけるスネアカバーという若手アーティストさんのライブで、バックをチャッピーさんとシゲさんが担当されたというところから始まったと。

高鍋千年(以下:千年):僕、去年引っ越しをしまして。たまたまそのタイミングでかかってきた電話を取ったら、シゲさんとチャッピーさんがバックをやってるアーティストがいて、そのライヴで1曲歌わないかっていう話だったんです。普段は知らない番号からかかってきた電話なんか取らないんですけどね。“千コメ” の曲をやるからっていうので久しぶりに歌えるかなぁ?って思ったんだけど、行ったらちえちゃんもいて、けっこう気持ちが盛り上がったんですね。

撮影:三浦麻旅子

ーー これはハリーさんが千年COMETSを復活させようと目論んだということでしょうか。

ハリー吉田(以下:ハリー):僕の中には千年COMETSを復活させたいという気持ちがずっとあったんです。それで、ようやく環境が整ったりと追い風があって実現しました。

ーー その後がクロコダイルのライブですね。僕も見に行きましたが、千年さんのヴォーカルは本当に昔通りの声が出ていてびっくりしました。

千年:でも、キーはキツかったですよ(笑)

ーー 解散以降、皆さんで集まる機会はあったんですか。

千年:なかったね。ちえちゃんとはたまに電話で話すくらいで、チャッピーさんやシゲさんはもう電話番号やLINEすら知らなかったから。生きてるかもわからなかった(笑)

ーー お二人はよく一緒にやってますもんね。

武田 “チャッピー” 治(以下:チャッピー):結構やってます(笑)

撮影:三浦麻旅子

千年:何かわだかまりがあるわけじゃないけど、あんまり早くても多分やらなかったと思うんですよね。

長井ちえ(以下:ちえ):1回やろうとしたんだよね。

撮影:三浦麻旅子

千年:声かけてもらったことはあったんだけど、そのときには自然と集まれない状況で、やっぱりタイミングが違ったんじゃないかな。

もともとはバンドでのデビューは目指していなかった


ーー バンド結成のきっかけは、千年さんが福岡にいらっしゃるときにデモテープを作って、それがソニーに渡ってということですよね。

千年:福岡に島田さんって方がいて、吉田さんにテープを聞かせて興味を持ってくれたみたいですね。それでソニ-のSDオーディションを受けることになったんですね。

ーー でも、その頃はバンドでのデビューを目指してたわけではないんですよね。

千年:当時の福岡はめんたいロックの時代で、それは自分が好きなものとはちょっと違った。アマチュアバンドはちょこちょこやってたんだけど、テクニック的に上手な人を探そうと思ったらハコバンみたいな夜の商売の人たちが多くて。30〜40ぐらいのおじさんたちとジャズやリズム&ブルースをやったりして鍛えられたみたいなところがありましたね。アマチュアバンドでは自分のオリジナル曲なんかもやったりもして、僕はブリティッシュロックが好きだったからビートルズやストーンズ、そういう匂いがするようなものを作ってたと思います。そのデモテープは、ロキシー・ミュージックの初期のアルバムなんかを聴いて、そこら辺のニュアンスなんかもちょっと入れたいなと思って作ったような気がするんですよね。

このメンバーが集まった経緯とは?


ーー SDオーディションに合格して、デビューすることになったときにバンドを作るわけですけども、このメンバーが集まったのはどういう経緯があったんでしょうか。

川上シゲ(以下:シゲ):ハリーさんからおれんとこに話がきて、バンドを作りたいってことだったから、チャッピーがいて、海老ちゃんとも仕事してたから、そうやって集まったんだよ。ちえちゃんもそうだよね。渋谷のライブハウス、屋根裏でガールズバンドやってるのを見たんだよ。

撮影:三浦麻旅子

ちえ:シゲさんが私のことを紹介してくれたの? 私、吉田さんとは別に知り合ってたんだよ。

シゲ:そうだよ。吉田さんとはソニーの仕事をやってて繋がりがあったから。

ハリー:私は70年代のロックが好きで、OZや四人囃子のメンバーは憧れでもあったので声をかけたんです。

ーー ちえさんのガールズバンドって、どんなバンドだったんですか?

ちえ:Tofu Imagination Spiritっていう、ドラムがタンゴ・ヨーロッパっていうバンドのミキちゃん(石田美紀子)で、ベースがSHOW-YAのいちばん最初の人(藤原和美)で、リズム隊はめちゃめちゃ上手くて。当時渋谷にあった屋根裏とかLIVE INNとかで頑張ってました。

シゲ:女性版ポリスみたいな感じだった。

ーー 当時は女性のギタリストってすごく少なかったと思うんですよ。いてもちゃんと弾ける人は本当に少なかった。

ちえ:男の中にいると何だかんだみんな優しくしてくれるから、結構甘やかされるんですよ。だから私はちょっと生ぬるいところにいたと思いますよ。女性バンドにいた方が厳しいんじゃないですかね。

シゲ:SHOW-YAとかさ、メタルとかハードロックバリバリの人が多かった時代に、ちえちゃんはすごいナチュラルだったよね。

ちえ:私、ぜんぜんギターキッズじゃなかったの。あんまりロックの洗礼を受けてないんですよ。最初はウクレレだしね(笑)。歌謡曲ですよ。フィンガー5、ジャクソン5です。だからギターをコピーしたいというよりは歌が好きで。千コメってギターリフとかあんまりないじゃないですか。でも、千年くんが最初に作るデモテープがすごく好きで、めちゃくちゃ英語でギター1本でっていうのがすごいかっこよかったんですよね。多分その感じで私も弾いたんだと思うんですよ。年も1個違いだし、聴いてた音楽とかも結構かぶってた。ギターソロがない音楽聴いてたから。ザ・スミスとかね。だからそこは合ってたと思うんですけど。

ーー 海老さんはどういう活動をされてたんですか?

海老ヨシヒロ(以下:海老):20歳ちょいくらいの頃からいろんな人のバックバンドをやってて。三ツ矢雄二や斉藤哲夫とか。あとはアイドル系であいざき進也、秋本奈緒美、五十嵐夕紀、荒川務とか、サンミュージック系も多かった。

撮影:三浦麻旅子

シゲ:いろいろやってんね~。海老ちゃんとはソニー関係の仕事で一緒に関わったことがあってね。

ーー 海老さんのルーツはどういうところなんですか?

海老:中学時代にいいなと思ったのはエルトン・ジョンとかね。「クロコダイル・ロック」ってカッコいいよなとか。

ちえ:初めて聞く、海老ちゃんの人生(笑)

千年:エルトン・ジョン好きだったの? 俺も初めて聞いたよ(笑)

海老:あと、ミッシェル・ポルナレフとかね。カーペンターズも好きだった。やっぱりピアノがあって歌が入ってるメロディックな音楽かな。だから、千コメは自分的にはプログレだと思ってた。

千年:シゲさんには最初の頃、イエスのジョン・アンダーソンみたいな声だって言われた。俺もイエスとかはもちろん好きだったし、千コメの曲はエンディングとか意外に長いんだよね。

海老:『クリムゾン・キングの宮殿』とか、なんかああいうイメージがあったんだけど… どうやら違ったようだね。

一同:(爆笑)

千年:エビちゃん的にはプログレじゃなかったということで(笑)

ーー そしてデビューということになるわけですね。

千年:デビュー前からライブをやりながら煮詰めていって、いろいろ手探りの状態でやりながら、2枚目のアルバムが出た頃には、わりとバンドっぽく、血が通ったような感じになっていたと思います。

シゲ:結構長くツアーやったよね。

ちえ:私、多分(86年の)8月ぐらいに声かけられて、デビューしたのが2月1日。だからツアーをやったのは2〜3ヶ月なんじゃないかな。ライブハウスですけど、全国、広島や熊本も回ったよね。

チャッピー:静岡、松山。ロックンロール・バンドスタンドにも出たよね。

ちえ:あ~、それデビュー前でしたっけ。

シゲ:それでデビュー前にはバンドとしては結構固まっていたと思うよ。

ちえ:でも、ギターが私になるかどうか、しばらくわからなかったんだよね。

ロックであってもメロディーがあって覚えやすいような曲作り


ーー ファーストアルバムの『Timeless Garden』(87年)には、布袋寅泰さんや花田裕之さん、MUTE BEATのこだま和文さんほか、いろんな方がゲストで入ってますね。固定メンバーのバンドというよりは、いろんな人が出入りするサロンみたいな感じを千年さんはイメージしていたと言ってましたね。

千年:僕はそれが理想的だと思ってましたね。一番最初はとにかく勢いがある人にゲストで入ってもらって、花火を打ち上げましょうっていうところもあったと思います。2枚目の『Nostalgia』(87年)は、自分たちだけでちょっと詰めてアルバム作ろうよってことになって、ずいぶんリハもやりました。

ーー 結構ポップな、歌謡曲っぽいってくらいキャッチーなメロディーの曲が多いですよね。この頃のロックって、歌謡曲を仮想敵としてるような “歌謡曲なんかダセェぜ” って言わないといけないみたいな感じがあったと思うんですけど、そのあたりどうだったんでしょうか?

千年:僕はジュリーがすごく好きだったんですよ。沢田研二が。歌謡曲の番組でもジュリーが出てくると雰囲気が変わるみたいなとこもあるし、あの人はグループサウンズで海外のロックもちゃんと聴いてる人だし。そういうイメージがあったからそんなに違和感がなかったのかも。それが全てじゃないけど、スリーコードっていうよりも、メロディーがあって覚えやすいような曲作りは意識してしてました。それがロックだとしてもね。

ーー 最初、ジュリーのバックバンドのエキゾティックスにいた西平彰さんがサウンドプロデュースを担当されてましたよね。それもやっぱりジュリーが好きというのと関係あったんでしょうか?

ハリー:当時の彼は売れっ子で、元々はプログレが好きな人だったんです。エキゾティックスの時はニューロマンティック(注:ニューウェイヴから派生した、デュラン・デュランやカルチャー・クラブなどを中心に発展したムーヴメント)でしたよね。時代を先取りする人でしたから。

千年:ジュリーありきで頼んだわけじゃないと思うんですけど、結果的にはそのニュアンスはあったんでしょうね。西平さんの打ち込みにはそのときの流行の音色がありましたからね。センスがあるっていうのかな、洗練されてたんですよ。そこにシゲさんやチャッピーさんのちょっと骨太で、正統派のロックのリズム隊が絡んだときに面白い形になったんじゃないですかね。

シゲ:俺は音楽的にいろんなこと考えるから、こういうのももちろん大好きなんですよ。グラムロックやプログレッシブも結構聴いてたから、やろうってことになっても合わせられる。アンプ(のツマミ)は10にしないけど(笑)、自分で納得してやってるから。

ーー 歌詞の面では、何か漠然とイメージが見えてくるような、そういう歌詞が多かった気がします。

千年:本当は僕が歌詞も書ければ一番いいとは思ってたんですけど、僕が書いたら普遍的なものは作れないなと思ったので(笑)、そこはプロの方にお願いして書いてもらいました。色とか世界とか、こんなことを訴えたいみたいなところを伝えて書いてもらっていました。

ハリー:エルトン・ジョンもバーニー・トーピンが書いてるしね。プログレなんかはキング・クリムゾンのピート・シンフィールドみたいに、作詞家がメンバーにいたりするし。サディスティック・ミカ・バンドには松山猛さん、カルメン・マキ&OZにも加治木剛さんという素晴らしい作詞家がいた。

ーー セカンドの『Nostalgia』では、作詞家が5人参加されてますが、全員女性なんですね。

ハリー:川村真澄さんっていう渡辺美里さんや久保田利伸さんTM NETWORKなんかを当時書いてた作詞家さんがコンセプトメイカーになってくれて、川村さんが女性だけのチームを作ってくれて、詞のトータルプロデュースをやってくれたんですよ。

ーー 千年さんの声ってハスキーなんですけども、ちょっと女性的なものも感じますね。

千年:そうかなぁ?

ちえ:九州男児だよね(笑)

シゲ:喋り方も九州男児だよ。

千年:でもね、デヴィッド・ボウイみたいに化粧するミュージシャンを見て、中学校のときに化粧して学校にいったらすごい怒られたことがある(笑)。男の人がやっちゃいけないことをやるみたいなものに興味があったことは確かですね。デヴィッド・シルヴィアンとかも好きでしたからね。ニューロマとか。

ーー ヴィジュアル・イメージはご自身で作られたんですか。

ハリー:スタイリストさん入れて相談しながらやったよね。

千年:海老ちゃんの衣装とかすごかった(笑)

海老:自前の服じゃないですよ。

シゲ:そりゃそうでしょ(笑)

ハリー:デビューアルバムのジャケットは、本当は裏ジャケのやつを撮ったんだけど、顔を出せって会社から怒られたんでしょうがなくミュージックビデオから抜いて使ったんです。

今井裕のプロデュースでアイルランドでミックス


ーー そして、3枚目の『the edge』(88年)は、ブックレットにアイルランドの写真が使われてますけど、録音自体も海外なんですか。

千年:いや、録音は日本でやって、ミックスをアイルランドでやったんです。写真も向こうに行って撮ったという感じですね。行ったのは、僕とハリーさん、プロデューサーの今井裕さん、あと英国に詳しい音楽ライターの保科好宏さんがいたかな。

ーー ダブリンのウインドミル・レーン・スタジオは、U2が所有してたスタジオですね。ケイト・ブッシュもレコーディングしてました。なぜそこでミックスをすることになったんでしょうか?

千年:U2は当然好きだったんですけど、この頃はホットハウス・フラワーズとかクラナドとか、アイルランドの音楽が結構注目されてたし、イギリスでやるっていうのも良かったけど、アイルランドが面白いんじゃないってことになったんです。

ーー 確かに音がホットハウス・フラワーズに近い感じがしますね

千年:ミックスやってくれたケヴィン・モロニーはU2やフェアーグラウンド・アトラクションをやってた人だっけ? 今井さんの意向も大きかったんじゃないのかな。ブリティッシュの、ロキシー・ミュージックとかそういう関係に強い人だから。

ーー 今井さんはサディスティック・ミカ・バンドのメンバーとして、70年代にロキシー・ミュージックと一緒に英国ツアーやってますもんね。今井さんがプロデュースすることになったのはなぜなんですか。

ハリー:今井さんはサディスティック・ミカ・バンドでクリス・トーマス(注:ピンク・フロイドやロキシー・ミュージック、セックス・ピストルズなどの仕事で有名)というプロデューサーと仕事して、革新的な技を知ってる人というところもあったのでお願いしました。

千年:ロンドンで(福井)ミカさんにも会わせてもらってね。シェフやってるとか言ってた。アイルランドでミックスをやったのは5〜6曲ぐらいかな。ビックリしたのは、「夢と宝石」って曲なんだけど、ちゃんとリズムが入ってるマスターを持っていったのに、ドラムもベースも入ってないふうに仕上がってて。要らないよ、だって。大胆だなと思ってね。想像もしなかった。

ーー 今井さんのプロデュースはどんな感じでしたか。

千年:記憶があるのは “君らはローリング・ストーンズみたいなことをしたって面白くないよ” って言われて、方向性を変えた曲があったことですね。そういう的確なアドバイスをもらいましたね。サックス入れたこともあったし、自分が思ってた感じとは変わっても、なるほどこういうふうになるんだっていう驚きがありました。

ーー それで3枚目が出来上がったものの、ここでバンドが終わってしまうわけですね。

千年:まぁ、ビジネス的な成功はそんなに収められなかったってことで、っていうのが正直なとこだと思いますけど。最終的には俺が “もうやめよう” って言ったと思います。

ちえ:千年くんがやりたい音楽とバンドの感じがちょっとずつ開きが出てきてたよね。でも、険悪な雰囲気では全くなかった。

バンドから離れてほとんどを1人で作ったルナティック・オーケストラ


ーー それで、その後、ルナティック・オーケストラが出るんですが、これは千年さんのソロ扱いになるんですね。

千年:あんまり人数かけないで、とにかく1人で作りたいと思ったんですよ。でも、すっげえきつかった(笑)。楽しいのもあったけど、自分1人ではやっぱり限界があるんだよね。もっと格好いいはずなのにそうならないなとか。

ーー このアルバムはどういうものを作ろうとしてたんですか。

千年:自分のやりたいことを全部、今思いつく全てのことをやりたいと思って。ギターはカッチャン(高橋KAZ)がほとんど弾いてる。あと浦山(秀彦)さんって、プロモーションビデオとかのSEを入れてくれてた人がいて、その3人でほとんどを録りましたね。一番最初に考えたのはコーラスをいっぱい入れたいってことで、そういうものは千コメではできなかったんだよね。ベースも自分で弾いたりね。それから、浦山さんはワールドミュージックの専門家だったので、いろんな楽器を持ってきていろんなことをやってくれた。

ハリー:僕はいくつか歌詞を書いているけど、スタジオにはあんまりいなかったです。

千年:最後は何にもなくなってすっからかんになった。やっぱりいろんな人に手伝ってもらわないと、1人の考えでは限界があるんだなっていうのをつくづく思い知りましたね。レコーディングをどこで止めるかもわかんなくなってくるんですよ。最後でもいいかなっていう覚悟みたいな作品ですかね。

ーー それでもソロという形の作品が出て、デビュー前に1人でやってたというところに戻った感じがしますね。

千年:そういう意味で言うと楽になった部分もあったんだと思うんですよ。カッコつけた言い方だけど、ギター1本で歌っていいと思うのが一番かっこいいんだよって、最初の頃は思ってましたもん。最後はギター1本で人を説得させるような曲が作れたりすると、それがベストだよね。今こっそりやってますけど。

ーー それで全部出し切ってしまったから、ここで終わってしまったという一面もあったりするんですか?

千年:う~ん、それはそうとも言えないかな。もちろんやれれば続けてやりたかったと思う。ただ正直な話、どっかで一旦さよならするしかないよねって、違う入口を探そうと思って僕は一旦シーンから抜けたんです。

長期的な計画なんかなくてタイミング次第



ーー 最後に、次回のライブは渋谷DUOですが、今回はワンマンですか?

撮影:三浦麻旅子

千年:今回も前回に引き続きスネアカバーくんが出ます。

シゲ:でも形としてはワンマンです。

千年:シーケンサーとか同期モノとかも再現してやれたらなと思ってます。前回は生だけだったから、少し印象が変わるかな。前回やれなかった曲もやりたいなと。

ーー 前回のライブをやってみて、変わってきたところはありますか?

千年:僕はありますよ。やっぱ歌は歌えば歌うだけ鍛えられるみたいなとこがあるし、歌ってなかった期間もずいぶん長かったんで、こういう感じだったなっていう手応えがあります。

ーー オリジナルメンバーでの再開というところはどうですか?

千年:…どうかなぁ?

ちえ:(爆笑)

チャッピー:みんなが何を考えてるかわかるからやりやすいですよ。

千年:長い時間経ってるけど阿吽の呼吸みたいなのはあるんでしょうね。

ーー 今回はファーストにも参加されていたいまみちともたかさん(バービーボーイズ)と、3枚目のプロデューサーである今井裕さんがゲストで参加されるんですね。

千年:一緒にレコーディングした曲をやれるんで、じっくり一緒にやれるのは楽しみですね。いまみちさんは、昔、1回ライブで手伝ってもらったことありましたね。

ーー 新曲を作るなど、今後の活動プランは決まっているんでしょうか?

千年:本当に長期的な計画はなくて、そうなったらそうなったでいいなと思ってるし、千コメでできたらいいなって作り続けてた曲もあったりするので、そういうふうにできれば理想的だなとは思います。次のライブをうまい具合にいい感じでやれれば、いろいろ盛り上がってやれることがあるのかもわかんないし、ないかもしれないし。それもタイミングみたいなものなんでしょうね。

千年COMETSの音源はこちらから試聴できます

千年COMETS 復活祭 第一章
ORGANIZED By SNARE COVER

▶ 会場:渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
▶ 日時:2024年7月12日(金)開場18:00 / 開演18:30

▶ オープニングアクト:SNARE COVER Electro set
▶ メインアクト:千年COMETS(スペシャルゲスト:いまみちともたか、今井裕)
▶ 鬼才 林海象監督によるミュージックビデオ爆音上映あり

▶ 料金(税込):自由席 5000円、後方立見 3500円(ドリンク代別途、当日券1000円アップ、未就学児入場不可)
▶ お問合せ:ディスクガレージ
https://info.diskgarage.com

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