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広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が三角関係!二人の文学者の心を揺さぶった女優・長谷川泰子の正体は?根岸吉太郎監督が遂に映画化した愛と青春の日々『ゆきてかへらぬ』

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広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が三角関係!二人の文学者の心を揺さぶった女優・長谷川泰子の正体は?根岸吉太郎監督が遂に映画化した愛と青春の日々『ゆきてかへらぬ』

 詩人の中原中也(1907~1937)、文芸評論家の小林秀雄(1902~1983)。大正から昭和の時代に生きた文壇の天才二人は、互いの才能を認めあった友人であり、なおかつ長谷川泰子(1904~1993)という駆け出しの女優を共に愛したという事実談をもとにした『ゆきてかへらぬ』が、2月21日(金)より全国公開される。

 
 個人的なことではあるが、以前「中原中也を読む」という講演会で、中也と小林と女優・長谷川泰子の関係を知り、泰子についてとても興味がわいた。泰子は中原と小林、天才文学者を虜にしながら、結局は二人とも別れてしまい、結婚したのは実業家であるが戦争で夫の事業が行き詰まり別居、やがて精神を病み、最後は老人ホームで生涯を終えた。長谷川泰子は、今の女優さんだったら誰のイメージになるのだろうと、頭をよぎった。

 それが、広瀬すずだった。旬な女優さんではあるが、テレビCMは言うに及ばずその露出度に少々食傷気味という感も鑑賞前にはあった。しかし大正浪漫のファッションが抜群に似合い、一本筋の通った気の強い女性を華麗に演じきり、泰子にこれほど相応しい女優さんはいない、と思った。無名だった女優・長谷川泰子が令和の時代でよみがえったのである。

 
 かいつまんでストーリーを紹介すると、京都でまだ学生だった中原中也と20歳の長谷川泰子は出逢い、互いに惹かれ一緒に暮らし始める。そして中也と泰子が東京に引っ越した家に小林秀雄が訪れ、中也の詩人としての才能を誰よりも知る小林と二人の仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。しかし、小林も泰子に惹かれ、泰子も小林に惹かれ、泰子は中也のもとを去る。中也は、泰子を忘れられないまでも、遠縁にあたる6歳下の孝子と結婚する。中也、小林、泰子は運命を受け入れ、後戻りすることのない、傷だらけになっても進み生きていく男と女のドラマである。

 中原中也を演じるのは、22年Netflixオリジナルシリーズ「Frist Love 初恋」で佐藤健扮する主人公の若い頃を好演し注目を集め、現在NHK夜ドラマ「バニラな毎日」にも出演中の木戸大聖。帽子を被った中也の肖像写真をよく目にするが、木戸の中也像も違和感がない。小林秀雄を演じるのは、NHK連続テレビ小説「なつぞら」でも広瀬と共演した岡田将生。二人の爽やかな青年と広瀬の組み合わせは、絵になる美しさがあり、三角関係と言っても全くドロドロした感じはない。劇中では自分たちの関係を「奇妙な関係」と評している。

『ゆきてかへらぬ』と名づけられたこの企画は、多くの監督やプロデューサーが映画化を熱望しながらも頓挫していた。とりわけベテラン映画人の間では幻の企画と言われていたという。本作の根岸吉太郎監督もその一人で、根岸の自らのアプローチで、映画化に動き出し、根岸は脚本家の田中陽造と組んだ『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ』以来実に16年ぶりの長編映画となった。田中は、『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』という〝大正浪漫三部作〟を鈴木清順監督と手がけている。これまで映画化されていなかったのは、中原中也を演じられるイメージにあった俳優が見つからなかったことも一つの要因のようだが、木戸大聖の出現により「幻」でなくなった。

 映画の舞台となった大正時代は、和洋折衷ともいうべき「文化の百花繚乱」が咲き誇った時代である。広瀬すずが、洋装も和装も鮮やかに着こなし、大正浪漫の世界観を醸しだしている。

 中原中也、長谷川泰子、小林秀雄、それぞれが刺激し合い、悩み、傷つき、生きた時代が、スクリーンで美しくよみがえる。

ゆきてかへらぬ
2月21日(金)より、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生
田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
配給:キノフィルムズ
公式 HP:www.yukitekaheranu.jp

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