百貨店アパレルの黄金期を築いたオンワード元社長・馬場彰氏が89歳で死去
オンワードホールディングスは、同社の中核事業を担うオンワード樫山で長年トップを務めた馬場彰(ばば あきら)氏が8月5日に死去したと発表した。89歳だった。通夜や葬儀・告別式は、近親者のみで執り行われ、後日お別れの会が開かれる予定だという。
馬場彰氏は1935年、神奈川県生まれ。1958年に当時の樫山(現オンワードホールディングス)へ入社し、紳士服分野でキャリアを積んだ。入社から16年後の1974年には、創業者・樫山純三氏の抜擢により、39歳という当時としては異例の若さで社長に就任。以降23年間にわたり、同社の成長をけん引した。
在任中には、米国の老舗ブランド「J.プレス(J.PRESS)」や、バレエ・ダンス用品大手の「チャコット(Chacott)」を傘下に収めるなど、国内外で積極的なM&Aを推進。1980年代以降には香港をはじめとするアジア市場への進出も進め、オンワードを日本を代表する総合アパレル企業へと押し上げた。
また、同社の基盤事業である「23区」「五大陸」といった自社ブランドの育成にも尽力。百貨店を中心に全国へ販路を拡大し、オンワードを「百貨店アパレルの雄」として定着させた。バブル景気の恩恵を受けつつも、その後の消費構造の変化に備えた多角化戦略を打ち出し、企業の安定的な成長を実現したことでも知られる。
1997年に廣内武氏へ社長の座を譲った後は、取締役名誉会長として経営を支えた。引退後も一般財団法人日本ファッション協会の理事長など業界団体の要職を歴任し、日本のファッション産業の発展に大きな役割を果たした。
長年の功績は広く評価され、1998年には藍綬褒章を受章。さらに2008年には旭日重光章を授与されている。これらの叙勲は、経済人としての業績だけでなく、日本の衣料産業を通じて社会全体に与えた影響が高く評価された結果といえる。
馬場彰氏は、1958年に樫山(現オンワードホールディングス)に入社し、取締役紳士既製服部長を務める。1974年には、創業者の樫山純三から抜擢され、社長に就任。1997年に廣内武氏にバトンを引き継ぐまでの23年間に、米国のJプレス社
やチャコット社の株式の取得、香港進出などを手掛けた。1998年に藍綬褒章、2008年には旭日重光章を受章した。